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ロマ人自立支援NGOでのインターン経験3 #19歳僕のギリシャ2ヶ月放浪記11

ロマ人自立支援NGOでのインターン経験のまとめについて書いていきたい。

謝辞

まずロマ人キャンプやフリースクール訪問、ギリシャの警察庁訪問などの貴重な経験ばかりであった1ヶ月間を過ごせたのは、NGO団体長であるSotiris夫妻のおかげである。本当に心から感謝している。
彼らは僕の事を本当の息子のように接してくれた。実はインターン後の1ヶ月間も奇跡的な縁があり、彼らと同じ時間を過ごすことになるのだが、詳細は追って書いていきたい。

解決できない問題は存在する

ギリシャにおけるロマ人問題を解決することは不可能である、というのが僕の導き出した結論である。ネガティブに聞こえるが、民族主義が再び高まりつつある現在のヨーロッパでは、ロマ人問題など後回しの後回し問題である。もはや彼らに対する支援とは逆行する形で、日々「ロマ人排斥運動」は過激化している。

この問題は「ロマ人」「ローカル人(ギリシャ人)」のどちらか一方に問題があるといった単純な構造ではなく、歴史・文化・国際情勢などすべての状況が重なり合った結果から生じる問題である。
歴史的観点では、ロマ人の国境を跨いだ放浪的ライフスタイルが、現在の国民国家思想の中では受け入れられない。文化的観点では、結婚年齢の低さや子沢山社会といった彼ら独自の文化的スタイルが現在のスタンダードとは一線を画している。国際情勢も大きな要因の一つであり、各国の難民や少数民族に対する考え方は、2010年代の難民問題を皮切りに日々刻々と過激化しており、政府からの支援は小さくなっていくだけである。
上記のような理由から、ロマ人が、ロマ人らしく、ロマ人として誇りを持って生きていくことが可能な社会の実現は不可能である。

キャンプやフリースクール訪問といったロマ人と過ごす時間が多かった1ヶ月ではあったが、その道中で彼らに対する多くの差別的・排他的行動を目にすることもあった。そんな現状を目にしたこともあり、「ロマ人とローカル人のインテグレーションは可能である」といった現実逃避にも近い発言をすることはできない。ただ一方で、彼らのQOLを改善することは可能である。その役目を担っているのがNGO団体であり、彼らの小さな行動が集結することで、大きな前進を得ることは可能であると思う。
Sotiris夫妻はNGO活動に加え、個人的にギリシャハーブティーの栽培・販売を行っていた。その農園でロマ人を積極的に雇用するなど、メインの活動以外でも精力的に活動を行っていた。そんな彼らの熱心な活動による一歩一歩が集まれば、解決の糸口も見つかるのかなと他人事のような発言ではあるが考えていた。僕がどのような形で貢献できるかはわからないが、どこかのポイントで何かしらの貢献ができるような人生を歩んでいきたい。

Sotiris夫妻のギリシャハーブ農園

国際問題だけが社会問題ではない

最後にSotiris夫妻がなぜこんなにも僕の事を心温かく迎えてくれたかについてだが、気になっていたこともあり、Sotirisの妻であるBarbaraにこっそりと聞いたことがある。その時の話は今でも鮮明に僕の心に刻まれているため、ここに記しておきたい。
「なんでSotirisは全くの他人である僕に対してこんなに施してくれるの?」と聞いたら、「Sotirisは僕に対してロマ人の問題を解決して欲しいわけではないのよ、ただ自分の国の問題に熱心に取り組む姿を見せたかっただけだよ」とBarbaraは答えた。その時、僕には日本という生まれ故郷があり、そこに存在する問題を解決することが、僕がすべき行動であり、彼らへの恩返しにも繋がるのだと思った。

まとめと言いながら全くまとめられていないような気もするが、今僕の心の中にあったものをだらだらと書いてみた。

そんなインターン生活は終わり、残りの1ヶ月どのように生活していたかを簡潔に述べると「ギリシャの田舎でペンキ屋になってみた」である。そんなシリーズを次回から書いていきたい。

つづく。

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