レッド・ツェッペリンマラソン ランキング結果と軽〜い総評


これからおやすみの方も、お目覚めの方も、そしてこの記事を偶然目にしてしまったそこのあなたも。

どうも。音楽大好き男です。

Twitterの方で「レッド・ツェッペリンのアルバムを時系列順に全部聴いて、アルバムに番付をしよう」という軽〜い企画を自分で設けて勝手にやってましたけど、アルバムのマラソンが終わったのでランク付けしていこうかな、と思います。
ツェッペリンのアルバムランキングなんて腐るほどされてるでしょうけど、だからって別に今更やったって良いでしょ。

あと、俺の好み一存でランキングするので、「こいつは何も分かってない」「適当なこと抜かしやがって」とか俺に石とか投げないでください。それが一番怖いので。怖いお前らは鬼


まあ、もう順位は決まってるんですけどもね。一応、ツェッペリンにそんなに詳しくないよ〜って人のために軽くアルバムの説明をしつつ、文句言ったりベタ褒めしたりしていこうかな、と思います。
俺はレッド・ツェッペリンは好きですけどそこまで詳しいわけでもないので、評価もあくまで俺の主観メインと思ってください。


別にこんなんどっちでも良いとは思いますけど、順位が気になる人は下の目次は閉じて見てくださいね。

ほな、
最下位から順に行きます。


9位:Coda (9th / 1982)
https://open.spotify.com/album/228mANuRrV20jS5DCA0eER?si=3nGMsgdPQ52Ov-CMM5OJAg

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 バンドのラストアルバム。このアルバムですね、ツェッペリンのディスコグラフィーに格付けする際、全会一致でドンケツになる立ち位置のアルバムなんですよね。曰く付きのアルバムというか、その理由なんですけど、名ドラマーのジョン・ボーナムが急逝してしまい、その後すぐにツェッペリンは解散してしまいます。ツェッペリンはレコード契約の都合上、もう1枚アルバムのリリースを余儀なくされていて、仕方なく他のメンバーが未発表音源をかき集めて無理やり作ることになった、っていう経緯があるんですよね。バラバラの年代の録音のものを並べただけでは当然、「アルバム1枚の統一感」もクソもなく、不動の不人気盤です。
 他のツェッペリンのアルバムと比較してしまうと...、ってだけでお蔵入り音源とはいえ普通に聴けはするし、聴きどころがないわけではないので、ドクソです、最悪の失敗作です、ってほどでは全くないものです。
 ただ、忘れてはいけないのが、ツェッペリン側も出したくて出したアルバムではなく、大人の事情で仕方なくリリースされたものなので、ツェッペリンのクオリティが落ちてたというわけでも、方向性をミスったわけでもない、ってことです。Codaをネタにする人、ここんとこ忘れないでね。


8位:Presence (7th / 1976)
https://open.spotify.com/album/3uhD8hNpb0m3iIZ18RHH5u?si=RLLmdCKsSRWAQRAGn2kLJQ

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 正直、ここから上は全部1位って言いたいぐらいなんですよ。本当はね。でも、俺は自分にウソはつかない。今日は「自分にウソはつきまへん」のマインドで行かせてもらいますからね。石だけは投げんといてくださいよ。
 冒頭、「アキレス最後の戦い」で華麗に幕を開け、B面の「Nobody's Fault But Mine」も最高。なんだけど、ごめんなさい、その看板曲2曲のインパクトが強いのもあって、その他の曲があんまり追いついてないというか。ツェッペリンが今までやってきた路線の曲なので、あんまり目を引かないし、アルバム全体に明確な全体像が持てない気もするんですよね。どうしてもその2曲の印象に支えられすぎてる感じがあります。
 そしてもうひとつは、ロバート・プラントのボーカルに覇気不足を感じてしまうところです。初期の迫力あるハイトーンシャウトを聴いてからこのアルバム、となるとバンドアンサンブルも完成されてきてる頃なので、ボーカルという武器がひとつ減って、その分を演奏パートで補完してる感じもしちゃうんですよね。特に長尺の曲になるとインスト間奏部のプログレ的なアプローチも増えてきて余計にそれを意識してしまったり。
 ただ、あえて下位に選んだ理由を述べただけで、本当は腐す必要のない良い出来のアルバムではあるんですよ。ただ、若干他のアルバムと比べると...ってなだけで。


7位:Led Zeppelin Ⅱ (2nd / 1969)
https://open.spotify.com/album/58MQ0PLijVHePUonQlK76Y?si=98oV-aPKRwaPjsRW7oaGTQ

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 これは音楽好きマジギレ大炎上案件なんですよ、この順位っていうのは。もちろんわかってるんですよ、このアルバムが素晴らしいのは。気を衒って...、ないはずなんですけどもねぇ。
 1stの延長的な内容ではあるけども、若干ブルース色が抜けたっていうところで評価を下げた、としか言いようがないんですよ。この順位よりも上に俺がもっと評価したかったアルバムがあったってことです。だいぶもう言い訳になってきてますけどね。もうこのアルバムも評価されきってちょっと疲れてると思いますよ。ここでぐらい休ませてあげてください。
 「The Lemon Song」「Heartbreaker」「Rumble On」は特に最強で、問答無用の名曲だらけなんですけど、どうしても初期ツェッペリンの長尺曲がもう少し聴きたいなと思ってしまうので、1stの方が俺的には好みです。


6位:In Through The Out Door (8th / 1979)
https://open.spotify.com/album/1W5CtQ7Ng0kP3lXyz7PIT2?si=O_mV21KWRGytDOI8y09rsg

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 このアルバム、ツェッペリンのキャリアの中ではだいぶ異色作です。というのも、前作「Presence」から3年後のリリースなんですけど、その間に「パンクの登場」「ニュー・ウェーヴの浮上」などロック史上でもかなりの変革の時期だったんですね。そんな中、ツェッペリンが来る80年代に10年選手のバンドとして迎え撃とうとする気概が感じられるような作品です。
 内容としては、ビリー・ジョエル系のピアノを使った軽快なソフト・ロックがあったり、ロバート・プラントのボーカルにもエコーをかけたりしてて、ツェッペリンも試行錯誤の時期だったと思います。
 ここで評価したいのは、ツェッペリンが80年代以降も活動を続けられていたらどうだっただろうと考えたとき、このアルバムで出したシーンへの回答はその後の活動を示唆するものだったと感じるところです。ツェッペリンというのはかなり器用なバンドで、メンバーそれぞれのプレイヤーとしての総合力の高さと、後述しますが、バンドのこれまでの音楽性の蓄積が80年代のロックシーンでも通用しうる説得力を持ったサウンドを作れてたんじゃないかな、と思います。「Carouselambra」は前作から継承したプログレ風の大曲ですけど、79年の段階でイエスやジェネシスらのプログレバンドが80年代になってシンセサウンドとともにカムバックを果たす、というのさえ予見していたんじゃないかと思えるほどの感度の良さがあります。
 変わり続けようとするツェッペリンの脱皮がもう少し先でも見られたのかも、と思うとボーナムの死はかなりショックだし、今作のトライしようとする野心にも評価すべき点があると思います。というわけでこの順位。


5位:House Of The Holy (5th / 1973)
https://open.spotify.com/album/0GqpoHJREPp0iuXK3HzrHk?si=4oj13UN4Saa9ENvMLKnOng

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 このアルバムは大成功を収めた前作「Ⅳ」の後、アメリカのルーツ音楽を吸収しようとしていた時期のアルバムです。カントリーやファンク、レゲエなどを取り込んだ曲も登場したりと、初期にはなかった音楽性の幅広さを披露します。それらもツェッペリンの器用さでうまく調理されているのがポイント。アルバムとしてうまく集約されているところにこのバンドの素晴らしいバランス感覚がありますね。
 冒頭1曲目の「The Song Remains The Same」は疾走感のある爆走ハードカントリーという感じで、迫力満点のスリリングなベースプレイやテクニカルなドラミングが聴けます。
 今作以降、初期のような怒涛の展開、爆発力は影を潜め、「静と動」が常に混在するような緊張感のあるグルーヴを使うようになります。初期から中期への過渡期の作品といって良いと思います。
 僕の好みとして、ツェッペリンのアコースティカルな路線は好きだし、今作は比較的大人しめのカラーのアルバムなので、上位にあげたかったんですけど、4位のアルバムと僅差でしたが、ある理由を持ってこっちを下にしました。その理由はというと「どっちのロバート・プラントのボーカルが冴えていたか」です。


4位:Physical Graffiti (6th / 1975)
https://open.spotify.com/album/4Q7cPyiP8cMIlUEHAqeYfd?si=krw0qIn_S-Kaog17xbPdZA

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 ツェッペリンの最高傑作としても名前がよく挙がる2枚組の人気盤。全編を通してツェッペリンの持つブルースの魂が、アンサンブルの完成、スローで重厚なサウンドの完成とともに昇華されています。
 まずは1枚目。前作で培った土臭いアメリカンルーツの音楽性をより濃度を高めてヘヴィなブルースに収斂させてます。さらに前作あたりで不調だったロバートもこのアルバムでは風格ある雄叫びをキメてくれます。極め付けはやっぱり「Kashmir」。荘厳な雰囲気には迫り来るような悪魔のワルさが備わっています。ブルースは悪魔の音楽だ、というイメージは彼らも持っていたと思いますね。
 正直、2枚目になると1枚目で作った緊張感をキープできてなくて散漫な印象もあるんですけど、それでもアルバムには通底したカラーがあるし、後半も曲でも良いものはあります。ツェッペリンはそもそもブルースをベースにしたバンドでしたが、ここでひとつの音楽性の到達点を見たような気もします。これを最高傑作とする人の気持ちもわかります。
 余談ですけど、21世紀のツェッペリンことGreta Van Fleetの「Highway Tune」のフレーズは「The Rover」と「In My Time of Dying」から取ってるんじゃないでしょうか。


3位:Led Zeppelin (1st / 1969)
https://open.spotify.com/album/1J8QW9qsMLx3staWaHpQmU?si=fOk2uXQmQROs_Xsx-fqbXQ

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 ただ、俺の好きなツェッペリンはこっちです。初期の中でもこの1stにしかないものも多くて、本当は2位に置きたいぐらいのアルバムです。
 ヤードバーズというツェッペリン結成前のキャリアはあれど、デビューアルバムがこのクオリティは破格。名フレーズ、名ソロを弾きまくる天才ギタリストのジミー・ペイジ、悪魔的なハイトーンシャウトを得意とする破壊力満点のボーカリストのロバート・プラント。タイトで緩急ある演奏をコントロールし、単体でも美味いフレーズを聴かせられる名ベーシスト、ジョン・ポール・ジョーンズ。そしてバンドの核であり、仕事人で演出家、ドラマーの理想系、ジョン・ボーナム。ロックに深く名を刻む名バンドの原型は早くもこのアルバムにあります。
 ツェッペリンが武器としていた「緩急」「静と動」のスイッチ。「Babe I'm Gonna Leave You」や「幻惑されて」などではロックの新境地の開拓に成功してるし、「You Shook Me」などのブルースナンバーでも新しい方法論を持ち込んでいます。
 「Your Time Is Gonna Come」「Black Mountain Side」のメドレーでの「Ⅲ」に繋がる牧歌的でフォーキーなメロディや、今作特有の眩いハモンドオルガンも好きなポイント。


2位:Led Zeppelin Ⅲ (3rd / 1970)
https://open.spotify.com/album/6P5QHz4XtxOmS5EuiGIPut?si=7fWU1ajEQRC2rRWn81hCOQ

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 2位はかなり意外な選出になったと思います。というのもこのランキング企画自体、俺の独断で選ぶものなので、「Ⅲ」がここにきたのは、「こいつの好みはこれなんだ」ということです。
 というのも、一般的にはツェッペリンのカタログの中でだと、さほどなポジションのアルバムなんですが、その理由としては、B面の「牧歌的なフォーク」路線にあります。A面はハードなツェッペリンのイメージなんですけど、B面は一気にトーンダウンして静かでナチュラルな印象になります。制作の経緯としては、前作までのライブやレコーディングの疲れから、リフレッシュに訪れた田園風景に魅了され、ブリティッシュ・トラッドや牧歌的なフォークに今作の着想を得た、というものです。俺はその路線が好きだし、終盤に集中力に欠ける瞬間はあれど、それを上回るほど評価すべき点がある、と思ってます。
 まず、なんだかんだ言ってもペイジのアコギは、エレキにも匹敵する魅力があるということ。今作以降、作品中にたびたびアコギを使うようになるんですけど、決して邪魔なものではなく、そのどれもがアルバム全体の熱気を静かにコーティングするような、機能性の高い要素になってるんです。この部分は今作での大きな収穫だったはずです。
 次に、ロバート・プラント全盛期のボーカルがこのアルバムで完成します。微妙な差ではあるんですけど、最も伸びがあって体が奮い立つようなシャウトをするのは今作と次作。それはオープナー曲の「移民の歌」や「Celebration Day」で発揮されている通りです。
 そして、傑作「Ⅳ」のクオリティを完成させるには、今作の存在は必要不可欠なものだったと思います。ツェッペリンが武器としてきた「静と動」が次作で大成するとして、動のパートはアルバム「Ⅰ」「Ⅱ」で、静のパートは今作で得たものが非常に大きいはずです。そして次作に匹敵する佳曲は今作の時点でも「Friends」や「Since I've Been Loving You」として形になっています。
 このアルバムの冒険心や音楽性の拡張が、今後の音楽性の吸収やアウトプットの器用さに直結している、というところからこのアルバムを高順位に持ってたというわけですね。


1位:Led Zeppelin Ⅳ
https://open.spotify.com/album/5EyIDBAqhnlkAHqvPRwdbX?si=udgSv8gXQ6yCMjcw4QrqTQ

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 ここまで長くなりましたが、1位はやっぱり「Ⅳ」。ツェッペリンの最高傑作、そして音楽史の中でも最高レベルの評価を得続け、金字塔アルバムとして常に君臨してきた文句なしの名盤です。
 「Black Dog」から始まり「When the Levee Breaks」で閉じる、一才の隙のない構成。ハイライトの「天国への階段」ではバンドの磨いてきた「静と動」の最高到達点があります。前半・静のアコギの旋律にリズム隊が参入して動を蓄えながら天に上っていく濃密でドラマチックな世界観。圧倒的だと思います。ロバートの歌唱も深みを増しながらパワフルに乗りこなしています。
 ボーナムの仕事人っぷりもアルバムにさらなる強度を持たせます。「Black Dog」や「Four Sticks」でのリズムのトリッキーさを新しい見せ場として持ってきたり、「When the Levee Breaks」では以降でも使われていく鈍重な迫力のスネアなど、サウンド面でも曲・バンドのイメージに変化をもたらせてくれてますね。
 それでも初期の王道でハードな部分やブルージーなテイスト、バラエティのある内容を集約できるバランス感覚は維持されているし、「The Battle of Evermore」などは前作の魅力をうまく継承していると思います。初期三作の集大成と呼ぶに相応しい、完璧な出来です。


いかがだったでしょうか。noteがそもそも初めてだったのでどんな具合になってるかわからないですけど、レッド・ツェッペリンにより興味を持って聴いてもらえたら書き手として嬉しいことです。このnoteが好評だったらまたアーティストマラソンでアルバム番付やろうと思います。

ありがとうございました。
ほな。

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