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せめて私は、それを大切にしたいんだ。

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自分が書いた詩や小説等を集めています。
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2023年2月の記事一覧

【散文詩】一握の星屑の

テーブルの上には何も飾らない一輪挿しを置いていたい。あなたがいる、私がいる。灯りのもとでしか美しいものを見つけられないなら、真っ暗な夜空の下でその輪郭だけを見つめていたい。馬鹿みたいにはっきりあなたを誤解してみたくて、言葉を包んだカラフルな不織布だけを手元に残している。 "絶対に花束なんて、贈らないでください。" 愛は輪郭だけでお腹いっぱい。一輪挿しに夜空の下で見た輪郭を飾ればそれでちょうど良い、目をひらけば何もない方が。 *** 引用符:最果タヒ「不死身のつもりの流

【小説】輪郭

2023年1月17日~ これは小説です。小説として読んでください。描きたいものを、ここに書きました。 (分量としては約10,000字です) *** それは一体何なんだろうね。 そういうことを、ぽつりと口にしてもいいような空気が、あの子との間にはあった。 あなたならどうする? そう問いかけて、白い窓辺のあの子の方を見る。穏やかな日の差し込む南向きの窓の、すぐそばに備え付けた一人掛けの丸椅子に、マグカップを抱えたあの子がそっと腰を下ろす。あの子は言葉を選ぶように、窓の