【短編小説】制服で側転したいんだ
廊下でクラスの男子数人が騒いでいる。バク宙の練習をしてみたり、側転を見せ合ったり。飽きることもなく最近はずっと。教室の女子に「男子危ないでしょ」と注意されると一旦はやめるけど、次の休み時間にはしれっと誰かが練習を始めている。
馬鹿だとは思った。マットもない廊下でバク宙の練習なんて。でも、教室の中ひとり騒がしい廊下の話し声を拾っている私よりは幾分清々しい。
誰もいない放課後の廊下で、私もやってみようか。体操部じゃないしバク宙はさすがに無理だけど、側転くらいなら今の私にもでき