ライブステージの上と下
私の趣味はライブ鑑賞。
横浜アリーナや日本武道館のような大きな会場から、100人程度のいわゆる"ライブハウス"という場所まで、割りと色々ライブを観てきた。
有名なバンドやミュージシャンのライブはもちろんアツい。激アツだ。大当たり確定だろう。
しかしながら私がライブハウスも好きな理由は、その距離感にある。出演する歌手やバンドは有名無名に関係なく、例えば全国的に知名度こそ無いものの実力は間違いなく、とんでもなくステキな曲を演奏してくれるアーティストもいる。
そしてそんなアーティストの演奏を手の届く距離感で観ることができるのだ。こんな興奮することはない。
といった切り口で文章を綴ってみたが、そもそも若い頃は人のライブなんぞわざわざお金を払って観る気もなかった。
何故かと言うと私自身、長いこと趣味でバンドをやっていて、
人のライブ見るくらいなら、自分がステージに立った方が圧倒的に楽しい。
そんな理由からだった。
初めてステージの上に立ったのは16才の時にライブハウスで。その時はあまりの緊張にほぼ記憶が無いが、17才の時に学校祭のステージにバンドで立った時のことはよく覚えている。女の子バンドのヘルプとしてギターで参加した。
女の子バンドなので、ステージの目の前にはその友達やら後輩やらで見事に女子ばっかり。キャーキャー騒いでいる女の子達を眺めながら、バンドって楽しいな…と思った。そしてあわよくばモテるかなぁなどと考えた。
それ以来社会人になっても知り合いのツテでバンドに参加して活動を続けていたので、
ライブ=自分が上がる場所
というイメージが頭にこびりついていた。
そんな社会人バンドも年齢と共に活動が大人しくなり、結局開店休業状態になった。
そうなるとライブハウスに行くことも無くなり、楽器も触らなくなる。音楽自体がつまらなくなり興味が薄れる。
そんな枯れた日々を送っている間にプライベートで色々あり、気分転換のためにライブハウスへ行ったことがきっかけで完全に価値観が変わり
今度は観る側に。
プロのステージはすごい。
何がすごいとか、おおよそ形容し難いくらいにすごい。
私は年代問わず歌っているボーカリストの、内側から溢れ出る気持ちの塊を何とかして掴み取ってやろうと思いながらライブを観る。なので、メロディや歌詞に作り手の気持ちの抑揚がしっかりと感じ取れないような音楽は聞いても全く印象に残らない。
曲に込められた、そして歌に込められたその人の、敢えて古臭い表現をするならば「心の叫びを絞り出す」ようなライブが好きだ。
もちろん人それぞれ好き嫌いがあるので各々の楽しみ方について異論は全く無い。
関東で暮らしていた間は定期的にライブハウスに行く機会があったのだが、今となってはそういうチャンスがほぼ無くなってしまった。 コロナ云々以前の話だ。
東京から遥か遠くの地方にある地元に住んでいると、気軽にプロのライブを観ることが出来ない。
ただ、この度のコロナショックにより配信ライブに取り組むアーティストが増えていることは不幸中の幸いで、画面の中とは言え熱のこもったライブを観られることが嬉しい。
今ライブハウス及び多くのアーティストは非常に厳しい状況にある。廃業を考えなければならない状況の人も多いと聞く。
私は幼い頃から常に音楽が傍らにある人生を送ってきたので、このまま廃れていくことは絶対的に良しとしない。
と言って具体的に何が出来るわけではないので、自分に出来る限りではあるが少しの協力をしていくのみだ。投げ銭したりドネーションをしたり。
多くのアーティストの方々やライブハウスの方々にはこの状況を本当に、何とか乗りきってほしいものだ。
人生に音楽は必要だ。
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