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掬う、救われた②

気持ちが晴れないまま過ごした1ヶ月間。

ところで、私は困った時に、人だったり、本だったり映画だったり、何か「こっちだよ~」と示してくれる物や人が現れてくれるのですが。それは、意図してそういうものを選んでいると言われればそうなのかもしれないですけれど、今回私の前に現れたのは
町田そのこさん著「星を掬う」という本だったのです。

書店で町田さんの本は見かけていました。でも、ちょっと内容が辛そうで読んでみる気にはなりませんでした。この「星を掬う」という本に関しては書店でも見たことがなく、最近読んでいた本の中にはさまっていた「新刊紹介」という薄い紙の中で紹介されていたものをちらっと読んで、何故か無性に欲しくなってアマゾンで購入した、という経緯がありました。

最近はアマゾンで購入することも大分減りました。気に入った作家さんの本をまとめ買いするときは使うのですが、他はフリマアプリで中古を購入するか、やっぱり本屋さんで直接読んでみないと感じが伝わってこないため本屋さんで買うようにしています。
ですので、あらすじだけをパッと見てアマゾンで即買いすることは久しぶりだったのです。そして、あらすじも特に「困った長男をもつあなたへ」的な物ではなかったのですが。

私が1か月近くもやもやしていた長男のこと。長男の人格形成をしてしまった自分の罪とか、でもそれっていつまで背負う罪なの?とか果たして本当に罪なのか?とか。でも、長男が人として問題ありそうな雰囲気は見て見ぬふりもできず・・の堂々巡り。

でもある日「もういいんじゃない?」と思ったのです。長男、成人だし。
と、思ったきっかけが私の母と電話をしていた時のことでした。
長男は私の母とは仲良しなのですが、浪人時代に色々あり(本当に色んなところで色々なことをやっている人間なのです・・)母も長男については「困った奴」という認識なのですが、やっぱりどこかに「ばあちゃんあるある」で「孫がかわいい、かつ、かわいそう」的な感情が残っているので
あれこれ世話をしてしまうわけなのです。

母にお正月の長男の話をして、腹が立っていることなどをつらつらと言っている中でなんとなく答えが見えてきたのです。

①子育ての仕方はわからないまま、私と夫の問題ある人間性のもと育てられた長男は確かに「かわいそう」な時期もあったかもしれない。
②下に兄弟ができたことで、父親との確執が生まれたり、父親との関係性が悪化したりしたことも事実である。
③親との関係が上手くいかなかった、あるいは上手くいっていないという事はあるにしても「母親」のことはたぶん好きだろう。だから母親である私にいつも注目されていたい、暖かく見守ってもらいたいという気持ちをもっているだろう。
④でも、色々問題はあったけれど、きちんと彼が望む教育は受けさせ、日常困らないような生活は送ってきた。暖かい家、時々さぼるけど普通の食事、きれいな衣服。大学進学にあたっては浪人も許容したし、遠方の大学に行った今は仕送りもしている。

これ以上、私たち、何かする必要ある?????

と母と電話しながら思ったのです。
もう充分じゃない?
そりゃ、もっといい親の元に生まれてくればよかったかもしれない。でも、それはお互いに選べない。
「正しい親」ってなんだかわからない。「正しい子育て」って知らない。果たしてそこに答えはあるの?
子供が犯罪をおこさず、人の役に立つように、自分で生きていくようになること。それが人としてのゴールだとするならば、そんなの最後まで見届けていられない。

子供を産む産まないは別にして、どんな方法でも子供が家にやってくる、とする。子供を育てる、子供と一緒に成長する、子供に教えてもらう。
まあ、なんでもいいや。とにかく自分以外の人と長い間生活していく。しかも相手(子供)は一人ではまだ生きていけない生き物。親と大人の責任で
最低限以上のものと、もちろん愛情の元でこの道だと自分たちなりに信じてやってきた。そのために、色々なことを我慢したこともあった。辛いこともあったけど、それ以上に楽しいこともあった。たぶん子供も。

もうそれでいいんじゃない??
そんなこんなで子供は無事20歳になりました。成人式のスーツも買ってあげました。成人おめでとう㊗と言いいました。

もう私たち「お疲れさまでした」って言われて良いのではないかしら?と
母との電話で思ったのでした。

なかなか町田さんの本の話に行けず・・。つづく。

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