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歩く

大学生、成人男性の長男が帰省中。

私、子供の送迎が嫌いで、というか「子供なんて歩け」と思っていて
昭和の教育活動をそのまま行っているため笑
うちの子供らは雨の日も晴れの日もひたすら歩いて通学したり
サッカーに通ったりした。

それが普通でしょ?と思われるかもしれないけれど
この地域、学校まで車で送迎する親、ほんとに多いと思う。
住んでいる場所が学区の一番端のため、同級生のお母さんは
3人の子供が在学中15年ぐらいの間「自転車通学させて」と要望書を出したそうだが、最後までそれが受け入れられることはなかった。
小学校までは3キロぐらい、中学校までは4キロぐらいだろうか。
冬は無料バス券が配布されるエリアで教育委員会に書類を提出すれば
10月から3月の間はバスに乗ることができるので、もちろん近所の子供たちはバスに乗り歩きの子供はゼロ。いや、うちの子供だけ、ということになる。

バス??知らん。歩け。という母の厳命のもと、時には吹雪の中、時には炎天下、歩いている途中で帽子を脱いで天を仰ぐうちの子供の姿を見かけて
近所のお母さんが「スギさんはいやがると思ったんだけど、天を仰いでたから車に乗せてきちゃった!」と言ってくれたこともあったっけ。

1番目→2番目→3番目と段々甘くはなっていったけれど、
9年間歩き続けた(現在進行形の子供もいるが)お陰で?
スポーツをやっていない3番目もマラソン大会で妙に好成績だった。

そんな彼らだが、なかでも長男が一番よく歩いた。
サッカーの練習も5~6キロ先の場所に歩き、あるいは走りで行っていたのだが「夕日に向かって歩いているおたくの息子、今日も見かけたよ」と
よく声をかけられた。
その内、ちょっとしたところなら「出かけてくるわ~」
「何で(手段)行くの?」「え、歩き」と歩いて行くことがふつーになった。
今大学生活を送っている宮崎県も、うちの環境を上回るほどの田舎らしく
バスは少ないし高い、電車は3駅しかないのに謎の乗り換えなどなど不便極まりないらしく、自転車も壊れた今、歩きが復活したらしい。

そんな彼が車の免許をとった。宮崎で。ですのでもちろん冬道は初めて。
冬道講習も受けていない。
そして帰省して「車の運転したい」と言い出した。
一人で乗せて人様に怪我などさせてはいかんと思って、母、同乗したけれど
それはまあ怖かったなあ。
長男がよく歩いていたことを知っている友人は「あの、歩きの息子が車の運転?」と言ったけれど、ついに長男も車の魅力を知ってしまうお年頃。それでも「昔よく歩いたから今でも歩くことなんとも思わないわ」と言う。

私と同年代の患者さんは「私が今でも足腰が丈夫なのは小さい頃よく歩いたからだと思うの。先生のお子さん方もよく歩いているでしょう。きっと将来お母さんに感謝するわ♥」と嬉しいことを言ってくれる。

この文章を読み返して思うのは、うちの子供らが「歩いている」だけで
よく声をかけてもらうなってこと。
それほど本当に歩いて登下校している子供が少ないのだ!
「少年よ、大志を抱いて、そして歩け。」


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