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“どうぞご自由にお持ち下さい”をやってみた

東京に越してきて18年6ヶ月。
生まれてからずっと岐阜県の実家暮らしが長くて、結婚する前の短い間ですが、名古屋で暮らしました。

実家のあたりは、のんびりといいところですが、交通手段はほぼ自家用車。
小中学生は通学のために歩いているけれど、高校生は自転車通学が基本、夜遅くなる塾なんかは親御さんがやっぱり車で送り迎えをしています。

なんの話かっていうと、、、
東京に出てきて、え?こんなことするの?と思ったものの1つである『ご自由にお持ち下さい』箱のこと。

住宅が密集していて、人口密度が高い東京。
道を歩いていると、普通のお家の玄関先に段ボール箱が置かれていて、張り紙がつけてある。
そしてそれには『ご自由にお持ち下さい』と書いてあるんです。
中には、ちょっと年季の入った和洋の食器とか、グラスとか、本とか、子どものおもちゃとか、まあなんでも結構入ってる。
要するにその家で不要になったものが出されているんですよね。

バザーでもなければ、フリーマーケットでもない、ただただ何でもない日、何でもない時に、ポンと置かれているんです。

最初はびっくりしました。
こんなの誰か持ってくの?ホント?と。

でも、あちらこちらで見かけて、そのうちそれを見るのがなかなか楽しくなっちゃった自分がいます。
一般家庭が何かを出している時もあれば、お店を畳んだのだろうなぁ、と思わせるものもある。
この前はお寿司屋さんが閉店したらしく、まさに寿司屋!というような湯呑みとかのぞきとか、折敷が大きなプラスチックのザルに詰められていたし、何かの会社の事務所を閉めたのかもしれないのですが、いろんなサイズの未使用電球がズラリと並んでいたりして、面白かったんです。

うちの実家みたいな場所だと、家の前に置いても、みんな車で素通りしちゃって、覗き込むのは小学生くらいだろうけれど、これだけ人が暮らしていて、みんな結構徒歩で移動している東京だと、こんな風にリサイクル活動が出来ちゃうんですねぇ。すごいわ。

それでずっと18年以上、見てばっかりだった私、我が家ですが、ついに先日、やってみました。

結婚当時、先に東京入りしていた夫が
「とりあえず何かお皿がないと食事が出来ない」
というので、
「あとでイヤにならないようにとにかくまずはシンプルな白いのを買って」
とお願いして、夫チョイスで購入したただただ白い、まあまあ大きなお皿。
その後、どこで何を買うべきかも分からず、無印良品へ行って揃えたあれやこれ。

18年以上のお付き合いの食器たち。
愛着が無いわけじゃないくて、うちに置いておけるスペースが十分にあるならばとっておくんだけれど、、、
もう、今やとんと出番がないコたち。

実は一度「ガラス・陶器・金属ゴミ」の日に出そうとしたんです。
でも、いや、待てよ。
もしかしたら、もしかするよ?となりまして、こうなりました。

果たして、、、

いや、結構ドキドキです。
これ、1日置いて、何にも変わりが無かったら、それはそれで凹むなぁ、とか。

家の前は私道で人通りがないので、ちょっと先に出て、資源ゴミの回収ステーションの端に置かせてもらいました。
朝に置いて、夕方には引き取ろう。
そう心に決めてのチャレンジでした。

そうしたら、なんと。

お昼過ぎにはこうでした。

いやー、これにはちょっと感動です。
嬉しくなっちゃいました。

残されていた2枚。
これは最初の写真にある丸いボウルのような器のお皿になるものなんです。
なので、これ単体では多分使い道がピンとこないだろうなぁ、、、私自身もうまく使いこなせていなかったもの。

なので、この2枚だけは残念ですがサヨナラすることにしました。

でも、これ以外のものは誰かのお家へ旅立って行ったんですね。
なんの飾りもない、白、もしくはベージュ。
2枚揃っていたり、サイズ違いだったりしたのも、手に取ってもらいやすかったのかもなぁ、なんて思いますが、ああ嬉しかった。

欠けてもなければ、汚れてもなかったものをそのまま手放すということ、しかも自然に還らないものだし、と罪悪感があったのですが、もう少しでもどこかで誰かが使ってくれたら有難い。
うちにもリサイクルショップで購入してきたお皿があるものね。

思い切ってチャレンジしてみて良かったな。
いい経験が出来ました。
私、昔から「モノ捨て魔」だけれど、これからはちょっと一呼吸置いてみる、ということ習慣に出来たらいいな、と思います。
そういう環境にせっかくいるんだし。

サポートいただけると嬉しいです^^