(10)麻酔の切れ目は恐怖の谷

平日は毎日更新しようと思っていたのが、ちょっと休んでしまいました。おととい退院後の外来で、電車に乗って出かけてお昼に外食という、退院後初めてが重なったら疲れてしまって、帰ってきてから翌日までダウンしていました。弱いなあ。

手術後はぐんぐん回復して気持ちいいくらいだったけれど、ある程度体調が戻ってくるとペースが落ちた気がします。完全回復までは焦らずのんびり行こうと思います。

硬膜外麻酔、おかわりくださーい

さて、手術前から背中にチューブを挿して硬膜外麻酔を入れているのですが、その麻酔液は、肩から掛けたポシェットみたいな布(網)袋に入っています。容器が2重になっていて、外側がペットボトルみたいなボトルでラベルに薬液の注意書きが書いてある。内側は水風船みたいで、水の代わりに麻酔液が入っている。初めは水風船がパンパンに膨らんでいるのが、少しずつチューブから私の身体に入っていって、最後には水風船がしぼんでくる。このしぼみ具合で「もうすぐなくなりそうですね」と目視できるのだ。

この麻酔薬に関しては他の薬よりも管理が厳重で、医師の立ち会いのもとに看護師が指さし確認して新しい薬液をセットしていた。パンパンに膨らんだ水風船のなんと心強いこと。

おかわりは1回まで

自分では、お替わりスイッチで「あ、もう中身がないんだな」ともっとはっきりわかる。麻酔液は、つながった手持ちのスイッチをカチッと押すと、ほんの少し麻酔液が追加できて、一時的な痛みに対応できるようになっている。押したスイッチは少し時間を置いてまたカチッと音をたてて自動的に戻るのだが、残りが少ないとスイッチを押した直後に戻った音がする(そもそもしっかり押せていないのかもしれない)。

そんなわけで看護師さんや先生よりも先に自分のほうが「残りがない!」と確実に把握できる。術後3日目くらいに1回おかわりしあと、次にこれが切れたらどうなるのだろうと心配していた。看護師さんから「なくなりそうですね。次は点滴か飲み薬の痛み止めになります」という説明を聞いてから1日ぐらいそのままで、はよ次の痛み止め来い!と念じていた。念じていただけじゃダメだったのかも。

冷や汗が止まらない

術後7日目、背中のチューブを外すのはあっという間の処置。夕食時の服薬時からようやく経口鎮痛剤が出た。朝昼晩と寝る前の1日4錠で、1回飲んだら4時間は次まであけなくてはいけない。やっと来た、という思いで飲む。これで収まらない場合は別の種類の鎮痛剤を頓服で飲むこともできるから、その場合は看護師さんに頼んで出してもらう。

この日は日中に造影CTの撮影があった。手術前のCTでは何ともなかったのだが、手術後で身体が弱っていたせいだろうか、それとも鎮痛剤が切れていたためだろうか、吐き気がする。実際に吐くまではいかないのだが、尋常でなく気持ち悪い。

消灯時間を過ぎても気持ち悪さがおさまらず眠れない。寝返りをうつとシーツとパジャマが冷や汗でぐっしょり濡れているのに気づく。

この夜のことは記憶がきれぎれなのだけれど、看護師さんに具合が悪いから頓服の痛み止めも追加してほしいと頼んだように思う。ナースコールではなくて、自分でナースステーションに歩いて行って頼んだんじゃなかったかな。そのほうが早くもらえるかと思って。だけど、その場で受け取ることはできなくて、いったん戻ってベッドで待つことになる。それが待っても待っても来ない。なんでこんなにつらいんだろうと、手術後初めて涙が出てきた。薬が来るまでずいぶん待った気がしたけど、つらいからそう感じただけだったのかなあ。伝えた看護師さんと担当看護師さんのやりとりでちょっとタイムラグができてしまったのかもしれない。

この苦しさは、CT造影剤の副作用だったのか、痛み止めの切れ目だったのか、硬膜外麻酔から経口鎮痛剤に薬の種類が変わったせいだったのか、それらが複合的に作用したのか。よくわからないけど、ものすごくつらい夜だった。手術後のつらさとは違う、薬の成分に身体の内側が翻弄されるような苦しさだった。

もしかして? 離脱症状

一昨日の帰宅後から昨日までのダウンも、じつはこれと近いものがあった。一昨日は病院に行かねばと朝から慌ただしくしていて薬を飲み忘れてしまっていた。診察時にはまだ体調がよかったので「でも痛みはないです」と伝えて、そのまま痛み止めは卒業していいと言われる。昼も両親と食事の約束をしていて外食し、薬は飲んでいなかった。つまり、外出や外食で疲れた以外に、これまで飲み続けていた痛み止めを急に止めた日でもあったのだった。生理痛がひどいときの全身のだるさとも似ていて、腕や足をもんだりさすったりして、なんとかしのいだ。

今朝は、まだ本調子ではないものの、昨日までのようなひどい倦怠感からは抜け出たように思う。それでいまこのnoteを書いている。書く予定だった入院中に麻酔が切れたときのことと、リアルタイムの退院してから痛み止めをやめた体験が、偶然ちょうど重なった。

あくまで私の「もうしかしたらそうかも?」という推測なので、硬膜外麻酔のポプスカインや鎮痛剤として服用していたトアラセット(トラムセット後発)に、そんなに強い離脱症状があるわけではないのかもしれない。でも手術の強い痛みをあれだけ抑えるパワーがある薬なのだから、急にやめたら身体に何かあってもおかしくないよなあ、というのが率直な感想。

次回は8日間の絶食について書こうと思います。


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