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2023-24 Mリーグ 全チーム戦力分析⑦(赤坂ドリブンズ)

※チーム戦力は完全に個人の主観に基づいていますので、気軽に読んでください。
※チームや個人の通算獲得ptは昨シーズン(22-23シーズン)までの値を活用)、個人のスタッツのみ23-24シーズンデータを含みます

2023-2024戦力分析 
チーム⑦ 赤坂ドリブンズ

※()内順位は、戦力合計値の全チーム内順位。先に全チーム集計済み

総評

23-24の戦力分析も残すところ3チームとなりました。今回は赤坂ドリブンズ。何かと物議を醸しがちなチーム。いってみましょう。

昨年レギュラーを7位でフィニッシュ。その前の年21-22シーズンも同じく7位のため、2年連のファイナル進出逃しで選手入れ替え規定が適用されることになった。
過去4シーズン、全ステージ通算獲得は-512ptで7位。レギュラー通算獲得は-1066ptで7位。苦戦している。
Mリーグ開設時のドリブンズは、パイレーツと同じく麻雀ガチ勢を集めた集団として、前評判が高かった。協会(当時)のトップタイトルホルダーであるたろう、同じく最高位戦トップクラスの村上、タイトル経験こそ無いものの最高位戦A1所属でプロ内評価の高かった園田、と実績と経験を追求したチーム構成となっていた。これはMリーグの最強チームの一つになる!ハズだった。。
初年度こそ、FINALシーズンの爆発によってMリーグ王者を戴冠するも、以降4シーズンでFINAL進出が1度(3シーズンはレギュラーで敗退)。また、王者になった初年度も含め、レギュラーシーズンを一度も+ポイントで終えたことが無い唯一のチームという不名誉な記録も持つ。
本人たちは忸怩たる想いがあるだろう。期待値をひたすら追求。過去5シーズンの打半荘数が多くても150程度では実力は計れない、という姿勢も麻雀のゲーム性の捉え方としては、全く正しい。
しかし、Mリーグをエンタメとして捉えるファンにはなかなか受け入れられない。アンチが多いというのも事実だろう。チーム内で随一の人気を誇った丸山の登板数抑制、及び入れ替えの適用もファン離れに拍車をかけた。
麻雀を知能ゲームとして世界に広めたい、本人達はきっとこんなピュアな想いでMリーグに臨んでいる。だからこそ、エンタメという言い訳に逃げて、麻雀のゲーム性を歪めるような発言は決してできない。そんなストイックな集団が1チームくらいあってもいい。寧ろいなくてはいけないとも思う。
自分たちの信念が証明できるのか、それともただの口だけで終わるのか。ネット麻雀界のトップオブトップである渡辺、厳しいプロセスを経て選考された女流の浅見をチーム迎えたドリブンズ。彼らにとって、今シーズンはアイデンティティを賭けた戦いとなる。

戦力値

チームの半数が入れ替わったため、実績と予測が混じった主観的な値となることをご容赦いただきたい。攻撃は、園田、たろうが元々前がかるタイプであることに加え、渡辺、浅見もベースは攻撃的。過去のチーム和了率はそれほど高くないが、期待も込めて4点。守備(2点)は、その裏返しの側面もあるが、チームの放銃率実績が平均よりかなり高めとなっている。
勝負強さ、安定感は、新戦力勢については何とも言えず、過去の実績からそれぞれ2点、1点。
人気は、オフィシャルサポーター数で見ると低迷中(9月上旬時点約480名で7位)のため、2点とした。
総合戦力値の合計で見ると、今回最下位の9位となった。メンバーの"Mリーグ以外"実績を踏まえると低いように見えるが、Mリーグの実績が"プロとしての結果"であるのも事実。是非、下馬評を覆して貰いたい。

所属選手の特徴

まずは、"話が長い"が良い意味で代名詞となったドラ1園田。Mリーグのインタビューでは、話し始めて3秒で「もう長い」がコメント欄に並ぶ。そんな園田は、チームオーナーである博報堂の子会社でサラリーマン麻雀プロをしていたが、見事Mリーガーの座を勝ち取った。
昨シーズンまでの全ステージ通算獲得は-45ptで24位。レギュラー通算獲得は、-78ptで23位。レギュラーでは、マイナスながら園田がチームの勝ち頭となっている(村上、丸山の実績含む)。全ステージでは、昨年まででたろうが何とか一人プラスにしているが(+75)、3桁以上をプラスにしているポイントゲッターがおらず、明確なエースが不在となっている。
園田は、和了率が21.3%(10位)と優秀。一方、放銃率は11.2%で27位、平均放銃率(10.7%)よりも高い数値となっている。副露率は32%で小林剛に次ぐ2位。因みに、30%を超えるのは、小林、園田、優の3名のみとなっている。
なお、園田と言えば無冠の帝王としても有名だ。長らく最高位戦のA1におり、業界内でもその雀力は知るところだが、個人でタイトルらしいタイトルの獲得経験が皆無。プロ麻雀の世界では、実力者と見なされながら、タイトルと縁なくフェードアウトしていくプロも山ほどいることだろう。彼の牌譜検討を見る限り、読みの引き出しや精度に関しては多井や堀と比べてもそん色無いように見える。それでも勝ちきれないのは、何かが足りないのであろう。座学的な雀力以外で、トップレベルで勝ち切るための要素は何なのか。多井とか、どこかで語ってくれないかな。
続いては、鈴木たろう。彼はMリーグ外のタイトルで言えば、Mリーガーでもトップクラスの実績を誇る。若干30歳での最強位獲得(しかもオーラス四暗刻で逆転という離れ業で)に加え、途中3連覇を含む雀王4期獲得など、麻雀界を代表するプロの一人と言える。全ステージ通算獲得は、75ptで19位。レギュラー通算獲得は、-285ptで29位。たろうの実績からすると、非常に寂しい数字である。
しかし、ゼウスの選択と称されるオリジナルの打ち筋は健在。黒沢や近藤と並び、純粋な打ち筋でファンを魅了することのできる数少ない打ち手の一人だ。たろうは、常識に捉われない自由な麻雀を標榜する。実際、やや守備寄りな麻雀が主流だった2010年代前半、彼はとにかく攻めた。今でこそ局収支MAXを求めた押し返しの重要性が認識されているが、当時のたろうの押しは異質に思えたことだろう。その麻雀が協会内を席巻し、雀王3連覇という偉業をもたらすことになる。しかし、麻雀は進化する。他の麻雀プロだって研究し、対応する。その後、2020年に差し掛かるに連れ、ややたろうの押し引きの基準が期待収支と噛み合わあないようになってきたように思う。特に女流や若手も多いMリーグでは、より周囲への対応が明暗を分ける。実際のところは分からないが、やや自己都合過ぎるきらいがあるか。
スタッツ面でもみても、和了率(19%で28位)、放銃率(12.6%で37位)ともに物足らない。特に放銃率12.6%は1000局以上打っているMリーガーの中では断トツの数字となってしまっている。この放銃率だと、Mリーグの中でトップの和了率を担保しないと勝ちきれない。やはり"押しすぎ"な気がする。
新規参戦の渡辺と浅見については、Mのデータが無いため、他の対局やネット麻雀を参考にした感想までに。
渡辺は言わずもがな、唯一のトリプル天鳳位(4麻2回、3麻1回)。天鳳位に到達するためには、確かな実力に加え、狂気のようなゲーム数をこなす精神力、そしてここぞで上振れを引く運量も求められる。トッププロでも簡単になれるものではなく、それを3回も獲得している時点で、下手したら純粋な雀力は既にトップクラスである可能性すらある。
しかし、天鳳位2回を誇り、同じくネット麻雀界トップの一人であったアサピンがMの舞台で散った。本人も言うように、大きなM舞台でメンタルの弱さが露呈したことが低迷の一因であったようだが、鬼気迫るトッププロが集まるリアル麻雀で結果を残せるかどうかは未知数だ。
彼の配信や牌譜を見る限り、スタイル的にはかなり攻撃的。局収支に重きを置いて、筋カウントを丁寧に使いながらゴリゴリに押してくる。これがMで通用するのも見たい気がするし、それをトッププロが打ち負かすのも見たい気がする。
浅見の対局は数半荘しか見ていないが、彼女もスタイルは攻撃寄り。打ち筋はかなりオーソドックスな印象で、仲林や松本といった協会の男子プロに近いイメージ。Mリーグデビュー戦の戦いも素晴らしく、良い成績を残しそうな予感はある。あと、彼女は対局中の豊かな表情が素晴らしい。多井、瑠美が会長、副会長を務める、Mリーグ顔芸委員会への入会は決まったであろう。

終わり

次回は、セガサミーフェニックスを予定しています。
(1チーム、時に2チームずつ更新します)

過去分はこちらからどうぞ

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