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【毎週ショートショートnote】「1分」「シマウマ」

「これのお陰で轢かれずに済んだんだと思います」
事故現場の側でインタビューに答える男はカバンの中から木彫りのシマウマを取り出した。
流れ星が流れる間に3回願い事を唱えるとその願いは叶うという。このように限られた時間で難易度の高い何かを成し遂げると何かいいことが起こるとされる習わしは枚挙にいとまがない。
中には「1分間で木彫りのウマにシマウマの模様を描くと交通事故から守ってくれる」というものもある。横断歩道が白と黒の縞模様であることから、道路を安全に渡るためのお守りとしてシマウマが使われるようになったのだ。元は信号の色が変わるまでの間に塗り終えればよかったものが、時代の流れと共に時短が進み、制限時間は1分となった。白一色の木彫りのウマに好みで黒い線を引くのが今の主流。
「目の前に突然シマウマが現れてそれで慌ててハンドルを切ったんです。誰も轢かずに済んでよかった」
今日もどこかの横断歩道で1分シマウマが人の命を救っている。
(410字)

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次回のお題「君に贈る」「ランキング」

以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。

アイディアの羅列
1分:60秒、カップ麺はできない、
シマウマ:動物園、サバンナ、草食、白黒(オセロ、囲碁、横断歩道)、縞々(縦、横)、ゼブラ、

アイディアの組み合わせ
横断歩道とシマウマ:白黒縞模様を絡めて横断歩道とシマウマを関連づける。シマウマを交通安全のお守りにする。お守りと1分を関連づける。信号が変わる時間は1〜3分らしい。

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