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TVアニメ「ラブライブ!スーパースター!!」2期第4話~四季メイ爆発しろ~

TVアニメ「ラブライブ!スーパースター!!」2期第4話「科学室のふたり」の感想記事です。以下、ネタバレが含まれますので、その点ご了承ください。

第4話が何の話だったのかと言われれば、米女メイと若菜四季が互いに素直になってLiella! に同時加入する話でした。

四季メイはいいぞ。

以前に私は「順当にスクールアイドルを好きな米女メイが入ってから米女メイを好きな若菜四季が後を追うのか、少し捻くれてスクールアイドルが好きな米女メイを入れるために米女メイを好きな若菜四季が先陣をきるのか」について後者が好きという話をしました。やってくれました後者でした。なかなか一歩を踏み出さない米女メイを見かねた若菜四季が先行してLiella! に加入した瞬間に私はガッツポーズ。米女メイが科学室から覗く双眼鏡の中で若菜四季はピースサイン。可愛い。

彼女たちはちょっとめんどくさい依存関係にありました。米女メイは若菜四季には自分がいなければダメだと思っている一方で、若菜四季は米女メイを自分なんか気にせず好きなことをやってほしいと思っていながら米女メイの気持ちを理解するには至っていません。スクールアイドルを絡めると「若菜四季は米女メイにスクールアイドルをやってほしいけどスクールアイドルを始めると若菜四季がひとりになるので米女メイが踏み出さないことに若菜四季は気づいていない」という関係になっているのです。紆余曲折あって「だったら若菜四季ごとスクールアイドルに引っ張り込めばいいじゃない」という落としどころに辿り着きました。

この落としどころに辿り着かせるためのパーツとして「若菜四季も実はスクールアイドルが好きであった」を持ってきたのがよかったな、と。米女メイと若菜四季は髪色も違うし、目つきも違うし、性格も一見すると違うのだけれど、根底は「自分に向いていない」を言い訳に居心地の良い現状に甘えているだけの似た者同士の二人。若菜四季は米女メイが好きだし、米女メイは若菜四季が好き。だったら米女メイがスクールアイドルを好きになったんだから、若菜四季だって……というロジックでした。好きな人が好きなものを好きになることはよくある現象。やり方として「若菜四季は米女メイが好きだから」という理由でバーター的にLiella! に加入させ、加入してからスクールアイドルに興味を持たせるという展開も考えられました。しかしその展開は選ばず、加入前からスクールアイドルが好きであることを確定させ、似た者同士の二人を従属関係ではなく、対等な関係としてスタートラインに立たせたのです。これまた私好み。拍手。

一見アンバランスな科学室の二人が実は同類であったことがわかった今、これまでの若菜四季の行動を振り返ると意味合いが少し変わる部分もあるかと思います。どんな気持ちでスクールアイドル部の募集を見ていた? どんな気持ちでLiella! の屋上ライブを見ていた? どんな気持ちで桜小路きな子に声をかけた? どんな気持ちで体育館ライブの最前を確保した? どんな気持ちでスクールアイドル部に仮入部した? どうして結女へ進学した? それは本当に米女メイだけのためだったのか?? 「私には向いていない」と気持ちに蓋をしていただけなんじゃないんか??? 言うてみ????

第4話の四季メイのシーンはどこを切り取っても尊いです。最高潮は何と言っても最後の科学室での米女メイからの告白シーン(違)でしょう。前段として科学室で米女メイが若菜四季からスクールアイドルに関する気持ちを聞かれ、顔を背けるも鏡を差し出され、「顔、真っ赤」「うるせーなー!!」というやりとりがありました。最後は立場が逆転します。夕暮れの科学室で若菜四季が独りでこっそりダンスをしていると米女メイに見つかります。顔を背けるも鏡を差し出され、「顔、真っ赤だぞ?」と米女メイからのやり返し。これは効く。テンドン好きな私に効く。素晴らしかったです。似たもの同士なんだから一緒に素直になってくれないか、と普通に手を握る米女メイ。その返事として、一旦、握られた手を解いて恋人繋ぎで繋ぎ直す若菜四季。ポロロンと鳴り響く劇半のピアノ。

ああああああああ。

何だこれは。何を見せられたんだ私は。何人か死んだでしょ。私は死んだ。想像の遥か上をいく四季メイを見せつけられてたいそう満足しました。

これまでスクールアイドルと間接的な接点がありながらも関心を見せなかった若菜四季の動機にある程度の説得力を持たせることができた要因のひとつは彼女の表情のギャップです。ここまで一切変わらない表情で淡々とした口調で言葉を紡いでいた彼女が、夕暮れの、科学室で、照れたんですよ! 綺麗な作画で顔真っ赤にしながら耳に掛かっている髪を崩してくしゃあってしたんですよ! 好きな人に隠してきた興味が露呈した瞬間のこの照れ。そうかそうか何だかんだでスクールアイドル好きだったのか。言うてみ?? 攻めたくなる米女メイの気持ちがわかります。

若菜四季が一切変わらない表情で淡々とした口調で言葉を紡いでいた理由が、ニジガクの天王寺璃奈のように感情に合わせて表情が作れない訳ではなく、感情の正体を自覚していないだけらしいところがまたよくて。この子、感情の正体を知らないままに「好きなものはメイ」とか公式自己紹介で言っていたんですよ。お前は「ときめき分類学」を学べ!

と言うわけで、第4話は完膚なきまでに四季メイ勢を殺すための回でした。若菜四季は「スクールアイドルに興味があること」を、米女メイは「若菜四季と一緒に居たいこと」を、素直に伝え合っていれば起こらなかった第4話。青春ですなぁ。

……スクールアイドル部の部長の話? そういえばありましたね。「自分には向いていない」と決めつけていた嵐千砂都が幼少期の澁谷かのんの言葉を思い出して部長に立候補しました。同じテーマで1年生とは違うところで2年生の物語が進んでいく群像劇的な構成は嫌いではありません。強いて言えば、だったら米女メイを説得するのは澁谷かのんではなく、同じ理由で踏み止まっていたけど一歩を踏み出した嵐千砂都でもよかったのでは。そのほうが展開としての取って付けた感が薄れ、「繋がる想い」的な見せ方ができたように思います。それよりも澁谷かのんの人たらし力を見せたかったのかしら。

この米女メイと渋谷かのんのシーンについて、キャスト登壇上映会イベントで若菜四季を演じる大熊和奏さんが考察されていました。普段、澁谷かのんを前にした米女メイは尊さのあまりふにゃふにゃした対応をしてしまうのに、このシーンは強気に立ち向かったのだと。それは米女メイの中で推しに対する気持ちより若菜四季に対する気持ちが勝っていたのだと。大熊和奏さんが若菜四季ではなく米女メイについてここまで考えた上で若菜四季を演じておられる事実がとても嬉しかったです。一方、熱弁を始めた瞬間に「これ長いヤツだ」と察したのか、隣の絵森彩さんはマイクを置いてファンサービスを始めていました。

第5話はサブタイトル的にそんな絵森彩さんの演じる鬼塚夏美回です。

彼女のこれまでの活躍を語るにはこの4枚で十分でしょう。第1話こそ桜小路きな子を勇気づける名シーンがありましたが、第2話からは株安を嘆いていたりフードデリバリーで低評価をつけられていたり引越しのアルバイトで腰をオニナッツーしていたりの出オチ変顔担当で、どのような形でスクールアイドルに関わっていくのか想像もつきません。まだLiella! の存在を知らないまであるんじゃないでしょうか。彼女の加入をどう描くのか。ここまで引っ張ったことが活きるアッと驚く構成だといいなと思います。2話分くらい使ってくれてもいいですよ。

四季メイも2話分くらい使ってくれてもよかったなぁ。いやしかし1話で高密度に仕上げたからこその完成度のような気もします。二人の根底にあっためんどくさい問題が解決してしまったので、四季メイのピークはここなのでは?? という少し寂しい気持ちはあります。入部してみたらスクールアイドルとしてのスペックがもやしっ子の若菜四季のほうが高く、米女メイが「やっぱり私には向いてない」と拗ねる展開は組めなくもないな……(めんどくさい問題をわざわざ起こすな)。

余談
ありがたいことにキャスト登壇上映会イベントに参加することができまして。間近で見られるトークイベントはもちろん、巨大なスクリーンで、良質な音響で、第4話を、髪くしゃあする若菜四季を見られてたいへん満足しました。連番者によれば第4話を見たり第4話関連のトークを聞いている私の姿はたいへん愉快だったそうです。やめろやめろ。イベントを楽しんでいる顔は世界でいちばん見られたくない顔って万国共通で決まってるって米女メイも言っていただろ!?

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第2話、第3話の話。

第5話、第6話の話。

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