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モノトーンな世界を色鮮やかにするのはキミ自身である。

TVアニメ「かぐや様は告らせたい」の2期に大好きな演出があります。2期を構成する大きな話の流れのひとつに「体育祭」があり、主要キャラのひとりでいわゆる陰キャである石上はひょんなことからいわゆる陽キャ集団の応援団に参加することに。ご想像通り、まったく馴染めないところから徐々に石上が変化していきます。注目すべきは応援団メンバーの顔です。登場時、応援団メンバーの顔は適当に描かれていました。モブキャラだし数も多いし、主要キャラを引き立てるためとか工数削減のためとかその辺りを目的とした演出かなと思っていました。ところが物語が進み、石上が応援団に心を開いた瞬間から、応援団メンバーの顔がハッキリと描かれるようになったのです。そしてそれは応援団に興味がなく応援団メンバーひとりひとりの顔を認識する必要がなかった石上が、応援団に興味を持ったことで顔を認識するようになったからだと作中で明かされました。目から鱗だよ。見せ方がうますぎる。目から涙だよ。よかったね石上……!

もうだいたい趣旨はおわかりかと思います。何事も興味を持たないと認識できないのではないか。世の中が単調に思える人は興味を持つ対象が少ないのではないか。そういうことです。

私自身、似たような経験をしたことがあります。先日、UNIQLOに服を買いに行きました。滅多に服を買わない私が秋冬に着られる服を求めて店に着いたまではよかったのですが、膨大な種類の服を前に「そもそも秋冬に着られる私に似合う服って何だよ……」と買い物カゴを片手に呆然と立ち尽くすことになってしまいました。よく考えると、だいたい私を反面教師にして育った弟のお下がりでこれまで生きてきたので、UNIQLOではパンツとソックスとTシャツくらいしか買ったことがありません。これは困ったぞ。もういい歳なので店員に聞くのもちょっと恥ずかしい。

困った私が取り乱しながら始めたのは、UNIQLOの店員やUNIQLOに来た客の服装を観察することでした。いまさら土壇場で何をやっているんだと我ながら可笑しくなっちゃいましたね。普段、電車に乗ってお出かけしているので、誰かの服装を観察する機会なんてごまんとあったはずなのです。でも、これまでは見てこなかったんですね。認識できていなかったんですね。興味がなかったから。そして困る私。この日以降、いくらか他人の服装を意識するようになりました。それにより、まだあまりよくはわかっていませんが、それでも「このタイプの服は持っていないな」とか「この服は私に似合うのだろうか」とか「この服とこの服はこう組み合わせられるのか」とか、人とすれ違うだけで日々新しい発見を楽しめるようになりました。

以前書いた「イラストを見る解像度があがった話」も「戦艦やウマを見る解像度があがった話」も似たようなものでしょう。同じ景色を見てもそこから何を感じとれるかは人それぞれ。知識や教養のレベルまでいかなくても、意識を変えるだけで世界はより色鮮やかになるのではないかと、そんな気がしています。

引っかかるアンテナが多ければ多いほどひとつの景色から得られる情報量は増えていくはず。であれば、ちょっとしたことでいいので色々なことに興味を持って世界を見る解像度をあげていきたいですね。noteのネタにもなりますし。

余談
大学時代に同級生らと「金は出すから好きなようにコーディネートしてくれ!」という遊びをしたことがあって面白かったです。第三者が私のよさを引き立ててくれる……! このときもう少し真面目に向き合っていたら自分に似合う服が自分でわかるようになっていたのかなぁ。

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