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TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」は人生の良薬である。

虹アニメの第5話も第6話も楽しくて楽しくてきゃっきゃしているうちに第7話も終わっていますが、第5話と第6話の話です。え、もう第8話も終わったんですか?? 時が経つのが早すぎる。私の筆が遅すぎる。

虹アニメは見ていて心地の良い作品です。少なくとも第9話までは各キャラクターが何かに気がつき、前に踏み出す物語だろうことが想像されます。ゆえにキャラクターたちのセリフによって視聴者もまた、前に踏み出せるような気がするのです。今回は第5話と第6話の名言を起点にお話を展開できたらなと思います。

やりたいと思った時から、きっともう始まってるんだと思う。

こちらは第5話においてメインキャラクターのエマ・ヴェルデから朝香果林に投げられた言葉です。「それな!!!」と心の中でエマと固い握手を交わしました。私自身、この行動原理に則って生きていきたいと思っています。「イベントに行こうかなぁ」と思ったら時から、きっともう答えは決まっているのです。行くべし。もちろん衝動に流されずに一旦落ち着いて考えることは重要です。「始めるべきではない事由」がすぐに見つかるのであれば、始めないことがいいこともあるでしょう。しかしそれが見つからないのであれば、いくら考えたところで答えは出ないので、機会損失を避けるためにも早く行動に移したほうがよいと思います。躊躇しているうちに景気促進で発売されたお得な地域振興券買い損ねたよね。買おうと思った時に買うべきだった。

閑話休題。

第5話は何のお話だったんですか? と言われれば表面上は「朝香果林がスクールアイドル同好会に入る物語」であり、ともすれば果林回になりそうな題材です。これをうまいことエマ回に昇華させたのが素晴らしくて。エマは自身のなりたいアイドル像が「人の心をポカポカさせちゃうようなアイドル」であるとわかっていながら、そのイメージを具体化するには至っていませんでした。なんやかんやあって彼女にとって最も身近な存在のひとりである果林をポカポカにする物語――「エマ・ヴェルデがスクール同好会に入りたい朝香果林の背中を押す物語」こそが第5話の本質であり、間違いなくエマ・ヴェルデの物語なのです。最後の落とし文句が先のセリフ。普段はほわほわしている癒し系スクールアイドルの彼女の口からあのセリフがでることは意外なようにも思えますが、スクールアイドルになりたくて遠く日本に来ていることを考えれば自然であり、実行力の高いことが改めてよく表現されていると思いました。解決編で語気を強めて「来て!」と果林の腕を強く引くシーンが大好きです。実は第4話時点で無自覚に宮下愛をポカポカさせていたりもするんですけどね。あ、こら、上原歩夢と高咲侑はポカポカいちゃつくんじゃありません!(ちゃんとサウンドエフェクトがついていた)

エマの新曲は「La Bella Patria」。読みは「らべらぱとりあ」だそうです。もともと私がケルト音楽を好んでいることもあり、虹ヶ咲アニメ挿入歌シリーズで今のところいちばん刺さっています。中の人の指出毬亜さんは虹ヶ咲歌うまのひとりなので、ライブ会場で聞いたら私死んでしまうと思います。この衣装は作中で果林が選んでくれたけど果林が場から離れてしまったために見せられていなかった衣装なんですよね。これをデート中に果林のためだけに歌うときに着るんですよ。固有結界なので実際は着ていないのだけれども。首に掛けている帽子は冒頭でエマと果林が初めて出会ったときに被っていたものでしょうか。エマと果林のファンが何度でも死ねる素敵な回でございました。

ダメなところも武器に変えるのが、一人前のアイドルだよ。

こちらは第6話において中須かすみからメインキャラクターである天王寺璃奈に投げられた言葉です。このセリフをカッコいい字体で背中に書いたTシャツが発売されたら私買います。これは全アイドルが、否、全人類が胸に刻んでほしい言葉です。虹ヶ咲アニメ挿入歌シリーズで今のところいちばんが第5話ならば、第6話は虹ヶ咲アニメ構成で今のところいちばんです。非の打ちどころがございません。

この回を語るために避けられないアイテムは「璃奈ちゃんボード」でしょう。彼女はキービジュアルが発表されてから数年間、様々な表情のボードで顔を隠して素顔がわからないスクールアイドルでした。ラブライブシリーズの中で飛び道具のような存在であった虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の中でもひときわ異色の存在です。ゲームが配信されてキズナエピソード解放でようやく素顔が公開されたのが約1年前。アニメではどうなっていたかと言えば、驚くべきことに最初から顔出しOKだったのです。この時点で「あぁ、ボードをはずすための物語ではなくボードをつけるための物語を展開するのだな」と思いはしましたが、ここまで美しくやってくれるとは……!

無表情から想いを相手にうまく伝えられなくて苦労してきた天王寺璃奈。スクールアイドル同好会を始めて楽しくて楽しくて少しだけ自分が変われたような気がしたけれど、それは内面の話でやっぱり顔には出ていなくて。外面は何も変わっていない現実に直面した彼女は、自宅の部屋の中の段ボールの中に引き籠もってしまいます。

メンバーが押し掛けて声をかける中で、かすみが優しく放ったのが先のセリフ。自分の表情で気持ちを伝えられなくて誤解されるのが怖くて顔を出すのが怖い弱みをどう武器に変えればいいのか。みんなの言葉をヒントに彼女が自ら気づいて出した答えは情報処理学科の強みを生かして自分の代わりに表情を映し出してくれるデバイスを開発することでした。表情豊かなかすみの場合、そもそも表情を映し出すデバイスを開発する必要がありません。璃奈が正攻法で努力したところで表情の豊かさでかすみに勝つことは難しいでしょう。璃奈が弱みを克服することを一旦棚上げし、強みでカバーすることを選択したことで、課題を解決しながら斜め上の個性を手に入れることができたのです。顔を隠すというとネガティブな印象を抱きがちですが、璃奈ちゃんボードは表情を隠すための後ろ向きなアイテムではありません。表情を見せるための前向きなアイテムだったのです。

フラスタの記事でも触れましたが、最近、ストレングスファインダーなる診断を受ける機会がありました。実行力、影響力、人間関係構築力、戦略的思考力に紐づく34の資質について、自分がどんな資質を持っているのか診断してくれます。私のTOP5は戦略的思考力3つと人間関係構築力2つに偏っていて、実行力と影響力が上位にありませんでした。私と付き合ったことがある方は「あぁわかるわかる」となるのではないでしょうか。雑に4種に分ける血液型占いよりよっぽど当たると思いますので興味のある方は診断してみてもよいかもしれません。面白いのは「実行力と影響力の資質が低い私はそれを伸ばすべきか」というところです。ストレングスファインダーの基本的な考え方はそうではなく「その資質が高い人に助けてもらうか別の高い資質でカバーしましょう」になります。資質は持っているだけでは持ち腐れ、投資することで初めて強みに変えることができます。「資質×投資=強み」なので弱点を愚直に克服するには人一倍の投資が必要になるんですね。勢いで実行に踏み出せない私は、実行力のあるエマのような人に背中を押してもらうか、戦略的思考力を活かして私でも実行可能な戦略を立案することで、少ない投資で実行力を代替し、また、勢いで実行する人とは異なる価値の提供にコネクトする可能性が生まれるのです。

男女次元問わず、世はまさにアイドル戦国時代。弱みを少しばかり克服したところで有象無象から飛び出すことは難しいのが現実です。怖がりでお化け屋敷に入れないアイドルがお化け屋敷に入れるようになったところで事態は変わらないのです(むしろ仕事が減るのでは)。強みを活かして弱みを克服しながら唯一無二の武器を手に入れる。これがアイドル戦国時代を勝ち抜く戦略のひとつであり、それを体現したのが第6話であり天王寺璃奈でした。

璃奈の新曲は「ツナガルコネクト」です。相変わらずピコピコちょこまか可愛らしいくて、これを器用な田中ちえ美さんがどこまで再現してくれるのか今から楽しみで仕方ありません。これまで以上に表情豊かなこの楽曲。璃奈ちゃんボードがあることに意味がある楽曲でもあるのでどのように演出してくれるのかも気になります。ボード無しでくるくる表情の変わる田中さんにも興味があります。

曲に入る直前、ガラスに映り込む表情のない自分の顔の口元に「U」を描いて笑顔の自分に幻想を抱く伏線の回収として、床に映るボードの顔が自分の気持ちと一緒に笑ってくれていることに自信を取り戻す演出が堪りません。とにかく第6話はひとつの物語としての完成度が高く、これまで虹ヶ咲アニメを観ていなくても単発で観てほしい作品で、私が2020年で最も感銘を受けた30分です。

段ボールを被って段ボールの中に引き籠ったアフレコする拘りっぷり。本項を書くために見直したときも段ボールのシーンで自然と涙してしまいました。素晴らしい演技力で悩める璃奈の心情を的確に表現してくれた田中さんに乾杯。

脱稿がすっかり遅れてしまいました。書きたいと思った時から、きっともう始まってるんだけど、書かないと仕上がらないのは残酷な現実なので、遅筆なところも武器に変えて、一人前に感想noteを書き続けようと思います。

余談
エマがプロモーションビデオ作製の過程で様々な衣装にお着替えしました。最初がメイド衣装で「似合うじゃん可愛いじゃん」で素通りしそうになりましたがよくよく考えてみるとエマでメイドと言えばこれでしょ。

森薫さんの「エマ」でしょ。仕込みが細かいんだよ!

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