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ラジオ等でお便りメールが採用されるようになるかもしれない書き方講座のようなもの。

本項は、ラジオ等のお便りに興味はあるけど送っていない人や、送っているけどなかなか採用されないので改善を試みたい方に向けた内容になっています。本項を読むことによって番組に届けられるお便りの総数が増えてくれると嬉しく思います。

季節の変わり目は番組の変わり目。3月から4月にかけてほどではないものの、6月から7月も節目のひとつであることには違いなく、悲しい別れをしなければならない人もいるのでしょう。かくいう私も「しゅかりごと」の終了と「浦の星女学院ラジオ」のパーソナリティ変更を突きつけられました。

もちろん番組の改編には人気以外にもいろいろな大人の事情が絡んでくるのでしょうが、上記の構成作家さん曰く、お便りには番組を継続に傾かせる力があるようです。

これまで「お便りの書き方のコツ」を誰かに共有することは単純にライバルを増やすことに相当し、特に自分にメリットがないんじゃないかと思っていました。しかし、番組が終わってしまっては元も子もないわけで、もしもリスナーのお便りのモチベーションを上げることかでき、番組に送られるお便りの数を増やすことができるのであれば、それは大きなメリットなのではと思い至りました。

「お便りの書き方のコツ」をこれまで共有してこなかったのにはもうひとつ理由があります。実は私もコツを知らないのです。知っていたらば苦労はしない! よって今回共有するのはあくまで「私がお便りを書く時に気を付けていること」に過ぎないことは、ご承知おきください。

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・とりあえず書いて出そう。
宝くじが買わないと当たらないように、お便りも出さないと届きません。まずは書いて出してみましょう。「うまく文章がまとまらない」という方もいるかと思います。わかります。白紙のハガキやメールと睨めっこしてもなかなか進まないものです。そんなとき私は誰かに話すことを考えます。例えばライブ終わりは「最高」「よかった」しか言えない語彙力になってしまいますが、打ち上げで酒が入れば何が最高で何がよかったのか聞かれもしないのに饒舌に語れるのではないでしょうか。人それぞれか。私は語る。とにかく勢いが大事。読まれることではなく届けることが目的ならば、細かいことを深く考える必要はありません。その一通が番組を救います。未だにハガキ文化が残っている番組もありますが、大部分がメールでコストも掛からなくなりましたし、番組のコーナーによってはTwitterのハッシュタグでも募集していて、ずいぶん気軽に出せるようになったものです。

・できるだけ早めに出そう。
「明日はハロウィンなのでハロウィンネタを送ろう!」「明日はキャストの誕生日なので誕生日ネタを送ろう!」というのは生放送でもなければ手遅れです。ラジオを放送する前には台本を起こして収録して編集する時間が必要だからです。1年前でもカレンダーに書けるようなイベントネタは、収録のタイミングを見越して投稿するのがよいでしょう。継続して聴いていると収録のタイミングがわかることもあります。わからないこともあります。また、間に合う間に合わないはさておいても、何かと早めに出しておいて損はないです。構成作家さんがお便りをランダムで読むのか送られてきた時系列順に読むのかはわかりませんが、私だったら時系列順に読みます。そして同じ程度の内容であれば先に読んだ方を採用します。特に入れ替える理由がないからです。言わばお便り勝ち抜き戦。勝てる武器が見つからない当たり障りのないお便りであれば尚のこと、早さこそが唯一の武器になるのではと考えています。

・複数出せるときは複数出そう。
無理に捻り出す必要はありませんが、一人あたりの投稿回数が決まっているわけではないので思いついたら思いついただけ出した方が採用してもらえる可能性は高くなる気がしています。出したもん勝ち。こんなにたくさん出してくれたなら一通くらい採用してあげようかという温情もあるかもしれません。ないかもしれません。念のために書いておきますが、まったく同じお便りを複数出すのは意味がないうえ、どちらかと言えば心象が悪いです、たぶん。

・話題はひとつに絞ろう。
例えばライブの感想を送るとします。「あの曲もよかったしこの曲もよかった!」というひとつのメールを送るよりは「あの曲がよかった」と「この曲がよかった」というふたつのメールを送ったほうがよいです。話題が複数あるとその後のトークでどちらに焦点を当てたらいいのかわからなくなるからです。採用されてもどちらかの話題はカットされていることでしょう。話題はひとつのお便りにひとつまで。小分けにすることで複数出すことの恩恵も受けられます。例外的に一行ネタが許されるコーナー用のお便りは、いくつかネタをまとめて一通にすることもあります。

・色々な方向性のお便りを出そう。
少し難易度は高いですが、どうせ複数のお便りを出すのであれば色々な状況に適応可能な投稿をした方がよいです。例えるならば「鯵」「鯖」「鮪」と魚で統一するよりは「鯵」「鶏」「人参」とバラしておいた方が選ばれる可能性があがります。収録やコーナーが魚の気分じゃないと前者は全滅してしまうのです。また、番組によって好きな食べ物が違います。言い換えると、自分のお便りのクセがハマる番組とハマらない番組が体感として確かに存在しています。どの番組にもありがちな大喜利的なコーナーが顕著で、私は最後まで「しゅかぎり」がわからなかったよ……。

・自分のお便りを読んでみよう。
お便りを投稿する前に、一度その番組のパーソナリティになったつもりで自分のお便りを声を出して読んでみてください。出さなくても出したつもりで読んでみてください。すらすら読めればいいですが、どこかで詰まってしまったのなら、そこは改善ポイントです。音の流れだけではありません。その番組のパーソナリティはその漢字が読めるのでしょうか。また、その言葉の意味を知っているのでしょうか。この点は構成作家さんをクリアして採用されたとしても本番で詰まってテンポが悪くなる(だけならまだしも最悪スベる)リスクに繋がるので、漢字をひらくなり、平易な言葉に言い換えるなりしておくのがよいです。同じお便りの中で「操る」と「繰り返す」を程近い位置で使ってしまい、パーソナリティを詰まらせてしまったことがあります。反省。

・採用されたときの番組の空気を想像しよう。
お便りを読んだ後にはトークが展開されます。自分で自分のお便りを読んでみたときに「……うん。で??」となるお便りは少し工夫したほうがよいでしょう。広がらなければ始まらない。改善案のひとつは内容に絡めた質問で締めくくることです。質問に答える形でトークの広がる可能性が高くなります。「私はハンバーグが食べたい!」と言われても困る場合がありますが「私はハンバーグが食べたい! あなたは何が食べたい? 」であればトークを続けることができます。私はお寿司と焼肉が食べたい。

・採用されているお便りから学ぼう。
野球が趣味の人が野球の試合を観て「今のバッティングのここがすげぇ!」と思ったり、ギターが趣味の人がライブイベントを観て「今のギターソロのここがすげぇ!」と思ったりするように、お便りが趣味の人はラジオを聴いて「今のお便りのここがすげぇ!」と思っているかもしれません。私は思っています。視点を変えれば、ラジオ自体がその番組のお便り勝ち抜き戦の勝者たちによるエキシビジョンマッチのようなものなので、読まれるひとつひとつのお便りに参考にすべき点が含まれています。構成作家さんによる修正も入った完成されたお便りの秀逸な展開に「その手があったか!」と膝を打ってばかり。悔しい。しかし認めることで学べるところは多いです。

・お便りは採用されないつもりでいよう。
とりあえず書いて出しているうちはいいですが、自分なりの工夫(今回挙げたのは言わば私なりの工夫)を始めると、どうしても採用されたい欲が強くなっていきます。認められたい。人間だもの。しかし現実としてお便り勝ち抜き戦を制するのは人気番組であればあるほど難しく、基本的には採用されません。採用されたらラッキーくらいの認識でいたほうがよいです。「何で採用されないんだ……!」と番組に対して苛立ち始めたら末期です。好きだった番組が好きでなくなるまであります。お便り採用はあくまでいつも聴いている好きな番組を盛り上げるための手段や結果であって、採用されることを目的としない方がよいです。目的にしてもいいですがそこそこつらいです、たぶん。

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以上、「私がお便りを書く時に気を付けていること」でした。気を付けた私の戦績はこちらこちらで一部紹介しています。あくまで私の主観的な話なので間違っていることもあるかもしれませんし、どれほどの効果があるのか定かではありませんが、みなさんのお便りライフの一助になれば嬉しく思います。

余談
「お便りの書き方のコツの共有」としなかった理由のひとつはコツと言うにはあまりにも大きな欠陥を抱えているからです。どこかと言えば「とりあえず書いて出そう」です。別項でも触れたましたが、私はnoteしかり定常的に文章を書いていますし、お便りに足を突っ込む前からネタ投稿に出していましたので「とりあえず書く」ことにも「とりあえず出す」ことにも抵抗感がありません。「とりあえず書いて出せばいいじゃん」と私は悪意なく思ってしまうのですが、周りの人に話を聞いてみると、どうやらこれは誰でもできることではなく、お便りを出すことの大きな障壁がここであることに気づかされました。この障壁を取り払うことができればお便りの総数を増やすことに効果的であることはわかっていても、私の中に習慣としてすっかり染みついてしまっているものをうまく言語化して説明することは残念ながらできませんでした。絵描き講座で「1. まずは線画を用意します」から始まったときに「その麗しい線画はどうすればいいんだ……! 0と1の間を教えてくれ……!」と思ったことが何度もあります。その部分こそ個性であり競争領域なので敢えて伏せているというのもあるかもしれませんが、講座をするほど描き慣れている人たちの中には説明しようにもうまく言語化できないだけのケースもあるのかもしれないなと今なら思えます。

頂いたサポートは、美味しいものを経て、私の血となり肉となり次の作品となる。