【毎週ショートショートnote】「失恋」「墓地」

「次はダメな男に引っ掛かりませんように」
女はお墓の前で祈るように手を合わせた。すると男が隣のお墓にやってきて、同じように花をたむけて手を合わせた。

「もしかしてそちらも命日ですか？」
「ええ、一周忌になります」
「忘れられないですよね。私の彼はギャンブル好きで。私のお金がなくなると怒って出ていってしまいました。そちらは？」
「浮気です。僕がダメな男だったんでしょうね。最後は修羅場で結局ひとりになってしまいました」
「それは辛かったでしょう」
「だからこうしているのです。次はお互い一途な関係になれますようにって」

ここは墓地。埋葬するのは遺体ではなく失恋だ。気持ちを整理し、新しい一歩を踏み出すための場所。

「あの、ここで会ったのも何かの縁。これから私とお茶でもどうですか？」
「いいですね。でもまだ一周忌でお参りしないといけないお墓が四つあるので、その後でもいいですか？」
女はそこで気がついた。

こいつ、五股が一気にバレた浮気野郎だ。

（410字）

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前回のお題「2次会」「デミグラスソース」

以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。

【別れに苦しむあなたへ】辛い失恋を乗り越える100の言葉

アイディアの羅列
失恋：悲しみ、髪を切る、未練、フラれる、別れ、
墓地：ゾンビ、お参り、

アイディアの組み合わせ
恋の墓参りで恋に落ちそうになる話：失恋した男と女。男が浮気者であることがわかるオチ。出会いは墓参り。女はダメ男に引っ掛かるタイプ。お参りする墓が多ければ浮気性。多いだけだと失恋回数が多いだけだから失恋日を同じにする。失恋日は恋の命日。