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「タコピーの原罪」を読むにあたって私が犯した罪と罰。

「タコピーの原罪」を読んだよという話です。核心的なネタバレはたぶん回避しているつもりですが、まっさらな状態で摂取したい方は回れ右して頂ければと思います。

いつ頃からかTwitterのタイムラインで「タコピー」という単語をよく目にするようになりました。酒のつまみか何かだと思っていたらどうやらそうじゃあないらしい。少年ジャンプ+で連載されている漫画でした。現時点で第14話まで公開中。

なかなかエグい描写が含まれているので、万人に読んで読んでとは勧め難く、嗜好が合えば気持ちと時間に余裕があるときにどうぞという感じです。金曜日の出勤前に気まぐれで読むもんじゃなかった。

どんな内容ですかと聞かれて当たり障りなく答えるならば、「不思議なタコのような生物とワケあり少年少女たちの異文化コミュニケーション」ということになるのでしょう。

まず圧倒的な画力に引き込まれます。人間や背景の描き込みが細かいです。逆に謎の生物であるタコピーはわりとテキトーに描かれています。いるように見せています。この絵柄のギャップが、人間の心の深い闇とそれをさっぱり理解していない謎の生物の対比をそのまま見事に表現しています。

語られない情報がたくさんあります。これは字書きの立場で漫画の羨ましいところです。小説の場合、相当うまくやらなければ、文字で語らないことは、良くも悪くも読者に伝わることがありません。漫画の場合は違います。文字で語らずとも、絵で、コマで、語ることができるのです。逐一説明されていないけれど絵を見ればわかる。後から振り返ると確かに描かれている。考察できる余地がある。このような要素が多分に含まれています。否、この作者の場合は、文字だから、絵だからという表現手法の話ではないですね。構成力です。語らずに語る抜群の構成力に舌を巻くばかりです。

そんな卓越した表現力と構成力で裏打ちされた素晴らしい作品をですね、あろうことか第13話から読んでしまいました。第13話、第14話を読んでから全貌が気になり第1話に戻りました。内容を知っている人が知ったら「何してんの台無しじゃん!」と呆れてしまうことでしょう。これが私の犯した罪。背負った罰は体験できるはずだったカタルシスを味わうことができなかったこと。

作品は、ちゃんと第1話から読みましょう(当たり前)

なぜ気まぐれで第13話から読んでしまったのか。ばかばか私のばか。記憶を消して過去に戻って読み直したい。

余談
私の読み方だからこそ見えた世界もたぶんあるはずなんですが、順番を変えるということは作者の意図に反することに他ならず、そこは何を言っても邪道です。などと供述しており。

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