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スクスタのリリースから1.7周年を振り返る。

ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS(スクスタ)はここからどう巻き返すのかなという話です。

先日、KLabの2021年1Q決算が発表されました。普段は自分の業種に関連する会社の決算資料しか読まないので何だか新鮮。今回、スクスタについて「売上予算を大きく割り込んだことが主な要因」とし、減損損失が計上されました。減損損失については私も正確に説明する自信がないので各自で調べていただければと思います。

どれくらい売上が落ち込んでいるのかなと雑に売上(どんぶり勘定)を調べたところ、2020年は3億円を割り込んだのが6月と11月だけだった一方で、2021年は未だに3億円に到達した月がありません。会社の年間売上高500億円を目指す2021年からの3年中期経営計画では、既存タイトルについて「減衰を極力減らし、トップラインを維持」することを方針に掲げています。早々にトップラインの維持が難しくなっているので、売上を伸ばすなりコストを削減するなり諦めるなり何かしらのテコ入れは必要になってくるでしょう。

1.5周年を迎えたところで……気がついたら1.7周年くらいになっちゃいましたが、現状と改善点を私なりに振り返ってみようと思います。ちなみに私の立ち位置はイベントで50000位以内(2021年4月時点の仕様で2枚目のポイント報酬SR獲得)を目指す無課金ユーザーなので、私が思う改善点を改善したところで無課金ユーザーが喜ぶだけで売上が改善するとは限りません。

・3Dモデルによるダンスパフォーマンスについて

リリース直後はアーケードで遊べる「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ~after school ACTIVITY~ Next Stage(アケフェス)」とどうやって差別化するのだろうと思っていました。時が経ち、アケフェスが実質死んでしまった今となっては新衣装の3Dモデルが楽しめる唯一の媒体です。ゲーム会社に勤めている友人曰く、現状の追加ペースを考えるとかなり力を入れているのではとのこと。顧客の課金モチベーションのひとつは「推しの新衣装を手に入れる」だと思われるので、この部分は大切にした方がよさそうです。コスト削減により実装ペースが落ちてきたら、いよいよ終焉が見えてきたと考えてもいいんじゃないでしょうか。私の中では最後の砦です。

・ゲームパートについて

リリース直後、私は「ボルテージ以外に特化したステージの導入」「(SR以下を育てる意義がないので)UR枚数を制限するコスト概念の導入」「属性一致の優位性向上」「ユニット一致の優位性向上」あたりを導入すればもう少し面白くなるんじゃないかと提言していました。そしてこれらは形は違えどだいたい意図を汲みとる形で実現されました。めでたしめでたし。であればよかったのですが、同時に改善点として挙げていた「触り心地の悪さ」が大きく足を引っ張っています。スクスタに限らず、ゲームの面白さは複雑さとめんどくささの絶妙なバランスの上で成り立っていると思っています。スクスタだと楽曲ごとに編成を考える面白さが増した一方で、楽曲ごとに編成を組み直すめんどくささも増して、今は圧倒的にめんどくさいです。編成を楽しむゲームで編成操作がストレスなのはあまりにも致命的。インターフェースの改善はもちろん、各楽曲にひと枠ずつ編成を記憶させることができれば、もう少し気軽にいろんな楽曲を遊べるのになと思います。

・イベントについて

「特定の曲を100回遊ぶこと」を推奨しているような仕様は早々に撤廃されました。現状、10日程度の期間で開催されるイベントは、ただただポイントを稼いで順番に報酬を獲得するものとポイントを好きなアイテムと交換しつつスコアを競えるものが交互に行われています。初期のころは後者のほうが面白みがあるように感じていましたが、ゲームの面白さは複雑さとめんどくささ(以下略)により、何も考えずにスキップなり放置なりしていれば済む前者のほうがありがたいなと思うようになってしまいました。それなりに課金してユニットが強化できているユーザーからすると、スコアを競うボルテージランキングは試行回数制限もないに等しく、とことん突き詰められるので楽しいらしいです。イベントは特定のキャラクターを編成に組み込むことでポイントボーナスがつきます。2021年5月の仕様変更によりイベントガチャで登場するメンバーのボーナスが大幅に上昇しました。イベントガチャに対する課金モチベーションを向上させるためでしょう。好みの問題で私はポイントボーナス付きのメンバーを編成に組み込まなければならない仕様にあまり納得していません。公式ホームページのイントロダクションにも「お気に入りのメンバーでデッキを組もう!」と記載されており、私もこのゲームの本質は、好きなメンバーに好きな衣装を着せて好きな楽曲を好きなだけプレイすることだろうと思っています。お気に入りや最強メンバーのデッキを崩してポイントボーナス付きのメンバーを入れないとポイント効率があがらない仕様は本質と噛み合ってないんじゃないかなと思います。同じ理由でボルテージランキングもポイント効率を犠牲にして挑まなければなりません。心を無にして作業するだけなので別に構わないのではと言われればそれはそう。それでも、所持しているだけでボーナスが反映されるなら編成の手間からも解放されて楽なのにと常々思っています。半強制編成の長所を挙げるとすると普段入れないメンバーを入れることになるので絆ポイントが極端に偏らないところでしょうか。

・イベント間イベントについて

スクスタビッグライブ(SBL)とドリームライブパレード(DLP)が実装されました。開催期間は先述したイベントとイベントの間です。SBLはそこそこ評判がよさそうです。DLPは最初期に比べるといくらか改善されましたがまだ試行錯誤を繰り返しています。どちらもスキップチケットが使えないので、私の場合はイベント以上にまとまった拘束時間が必要です。休みをくれ……! というのが率直な感想です。「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル(スクフェス)」もそうですが、どうも「接触時間の増加は課金モチベーションの維持向上に繋がる」と思われている節があるようです。既にいるユーザーを手放さないための戦略として一定の効果がありそうな一方で、既に他のゲームを遊んでいるユーザーを新規で取り込んだり、他のゲームに手を出してしまったユーザーを取り戻すには少しばかり忙し過ぎる気がします。ついていけなくなった瞬間に事切れるリスクがあります。そもそも顧客がだだ被りと思われるスクフェスとの並行がきつかったりもします。既存ユーザー頼みの「来る者に期待せず去る者は追わない」大胆に割り切った戦略です。中期経営計画で掲げている「サブスクリプション及び広告を導入することで、従来のガチャ課金にプラスαの収益を獲得」に繋げるためには、他のゲームと並行しながらでもサブスク課金を促せる気軽さが大切なんじゃないでしょうか。

・ガチャについて

売上の大きな源泉。基本はイベントガチャ、パーティー限定ガチャ、フェス限定ガチャの3種類です。戦力として強いのはパーティー限定とフェス限定。じゃあイベントガチャは推しでもなければ引かなくてもいいじゃんとなってしまうので先述したイベントを有利に進めるためのポイントボーナスの仕様変更を行なったのでしょう。私自身がガチャを回しまくらないので、ガチャの良し悪しについては、あまり語れることがありません。ステップアップをしてみたり、開催期間を調整してみたり、なんとかして回してもらおうという意思の表れは感じます。こちらも顧客がだだ被りと思われるスクフェスとの並行がきついんじゃないでしょうか。実際、スクフェスの売上(どんぶり勘定)はスクスタリリース後から周年イベントの4月を除いて2億円を割り込んでいます。プレイするゲームが増えても財布の中身は増えないんですよ。共倒れしないことを願うばかりです。

・ストーリーについて

リリース直後に解放されていた第7章までは結構好きでした。これまで活躍されていた9人とあなたの物語でした。そこから10人目の三船栞子が加入するまでの第17章を経てメインストーリーの方向性がわかった気がします。

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あ、これ新規メンバーを増やすためのものだ。現在、否のほうが多そうな賛否両論を巻き起こしながら展開しているセカンドシーズンが進めば、ショウ・ランジュとミラ・テイラーもここに肩を並べることになるのでしょう。今のところ栞子同様に既存メンバーと対立してから和解するパターンが予想されるので、彼女たちにちゃんとファンがついてくれるのか若干心配しています。これが週刊誌くらいのペースで数ヶ月で決着がついていればまだしも、月刊誌くらいのペースで小出しに半年以上かけてしまっているので、突然のご都合主義で手の平を返されても困惑しかなく、ライターの手腕が問われるところです。ここに並ぶだろう面々はガチャの目玉になり得るわけで、売上向上に貢献できるかどうか、回してもらえるかどうかはメインストーリーの良し悪しに大きく左右されると思います。個人的な今のところのメインストーリーに対する感想は「やりたいことはわからなくもないけど月イチ配信なりのもう少しうまい見せ方はあったんじゃないか」です。何となくライターが矢面に立って集中砲火を浴びていますが、情報開示のタイミング等もあってライターだけではどうにもならない問題もあるような気がしています。

・まとめ

私としては、3Dモデルはよくできているのでゲームパートを遊びやすくしてストーリーをより魅力的に見せられるようにしましょう! ということになります。簡単に言うな。はい。体力があれば大型アップデートで起死回生を狙えなくもないですが、減損損失の計上は「体力ありません宣言」とも取れるので、ある程度の覚悟をもって資金繰りしない限りは、小手先の改変で延命を続けるよりほかないんじゃないでしょうか。メディア展開の相乗効果に期待できるのかと言えば、好評だったアニメ放送前後で売上が増加した形跡は見られず、むしろアニメ時空という新たな拠り所ができてしまったがためにスクスタ時空の存在意義を問われかねない状況です。私の想像力では上手い策を思い付けていないので、スクスタ運営が収益確保に向けてどのような策を打ち出してくるのかは結構楽しみにしています。

余談
Liella! がスクスタ時空に巻き込まれるかどうかは結構気になっています。彼女たちの物語が終わっていないどころか始まっていない時点で安易に巻き込むとめんどくさいことになりそうなんだよなぁ。巻き込みやすさで言えば先にSaint Snowか。

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