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「ぷちぐるラブライブ!」サービス終了の報を受けて。

その知らせはあまりにも突然でした。

ウソでしょ????
そういえば昨年のエイプリルフールに1周年を振り返ったガルパが、本文中で「ゲームの魅力は別記事でお伝えする」としたにも拘らず、お伝えする前に2周年を迎えてしまったな。そういえばそろそろ「ぷちぐるラブライブ!」も1周年を迎えようとしているし、以前書いたぷちぐる紹介も新バージョンに合わせて更新しないとな。などと思っている最中でした。

ウソでしょ????
しかしエイプリルフールを4日ほど待たずして発表されたこの知らせ。嘘ではなく年度末の決算を前に控えた経営判断と考えるのが自然でしょう。こちらのサイトで売上げの推移を見てみると、リリースされた2018年4月の5500万円程度からスタートし、早々に10分の1である500万円を割り込み(8月)、大型アップデートで一時的に1500万円まで回復するも(10月)、サービス終了が発表された2019年3月に10分の1である550万円程度に落ち着いていることがわかります。一方で、運営開発を行っているPOKELABOの他のコンテンツの2019年3月の売上げを同サイトで調べてみると、2017年6月にリリースされた「戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED」「シノアリス」がそれぞれ1.2億円程度10.7億円程度となっています。ぷちぐるが1周年で上っ面の施策を打っていくらか売上げが回復したとしても、他タイトルの売上げの誤差の範疇から抜け出すことが難しいことはこれまでの推移からも想像が難しくありません。

なぜ売上げがあまり伸びなかったのでしょうか。そもそもゲームがあまり面白くないのではという論もあるかと思いますが、そこそこゲームを熱心に遊んでいた私がその部分に触れるのは少々悲しいところがありますので、本項ではぷちぐるの「ゲーム収益モデルの弱さ」に絞ってお話していこうと思います。以下、長々と語っていますが要は「金銭を投じても誇示する場がない」に尽きます。

基本無料アプリ自体で収益をあげる方法は、今更言うまでもなくユーザーに有償アイテムを購入してもらう事です。有償アイテムは虹色をしているものが多いのではという調査記事が興味深かったりしますがそれはさておき、このゲームにも虹色のジュエルが存在します。ジュエルの使い道は大きくふたつ。「ハート(スタミナ的なもの)と交換してプレイする権利を得る」または「ガチャを引いてキャラクターやカードを得る」ことです。

・ハートと交換する
通常のハート入手手段を確認します。まずは時間です。15分で1回復します。最大値は5なので1時間15分に1回触ることができれば1日で96回復することになります。また、フレンドと24時間に1回、ハートをあげたりもらったりできるので、最大100人をすべてアクティブユーザーにすれば1日で200入手することができます。合計296ハート。経験則から1時間に遊べる回数はざっと20回程度なので、なんと1日12時間以上も遊べてしまいます。これは流石に人間の生活を捨てた理論値にすぎませんが、フレンドを選べば50-100ハートあたりは現実的です。学んでいたり働いていたりするとして、平日2,3時間遊べれば、休日それに加えて自然回復分遊べれば十分ではないでしょうか。私も等倍消費では使い切れていないのが現状で、普段使いでゲームがしたくてジュエルを購入することはまずないと言っていいでしょう。秋の大型アップデート以降、ようやくイベントにポイントランキング報酬が設定され、ハートを購入して走りまくる意味が出てきましたが、貰えるものがそこまで豪華なものでもなかったため、称号という名の名声が欲しいプレイヤー以外は走っていなかったのではないかと想像します。

・ガチャを引く
ガチャにはぷちぐる……所謂キャラクターを引くガチャと、秋頃実装されたカード……所謂装備品を引くガチャの2種類が存在し、仕様が若干違うため、個別に見ていきます。

・ぷちぐるガチャ

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ぷちぐるガチャ画面です。ガチャはジュエル500で1回引くことを基本とし、毎日、1回目は100で、2回目は200で引くことができます。特筆すべきは左のボタン。ゲーム内通貨であるゴールドでもガチャが引けることです。他のゲームだとゲーム内アイテムによるガチャは低レアしか排出されない等、制限が設けられていることが多いですが、ぷちぐるには貴賎なし。そもそもレアの概念がないため、ジュエルとまったく同じものが排出されます。上記画面ですと10000000Gありますので、ジュエルとまったく同じガチャを333回引くことができます。経験則から(サンフレ花丸を雑に使えば)1プレイ2000Gほど獲得することができますので15回ほどプレイすれば1ガチャ引ける計算になります。先述したハートの獲得可能数と合わせて考えると、なんと1日約20回ガチャ引くことが可能です。これは流石に人間の生活を捨てた理論値にすぎませんが、それでも何となくジュエルを使ってまでぷちぐるガチャを引く必要がないことはわかって頂けるのではないでしょうか。実際のところ、ぷちぐるの種類を揃えること自体にそれほどの苦労はしませんでした。重ねてスキルレベルをあげることもできますが、レベルがあがればあがるほど要求数が跳ね上がっていく中で、ジュエルを投じていまや1キャラあたり1%強の排出率に掛けてピンポイントでスキルレベルをあげていくことは得策とは言い難いのが現状です。

・カードガチャ

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カードガチャ画面です。先述した通り、ハートでもぷちぐるでもあまり儲かっていないのではないかとプレイヤーすら危惧し始めた秋の大型アップデートにて実装され、「ついにぷちぐるもガチャゲーになったか」という類の感想が多く聞かれました。確かにこの実装で一時的に売り上げは回復します。カードにはぷちぐると違って貴賎があり、☆1から☆5まで存在し、さらに☆5カードの一部にはスペシャルスキルというボイス付きアニメーション付きの強力なスキルを発動することが可能なものも含まれています。スペシャルスキルカード以外はスコア上昇に繋がるちょっとしたスキルがつく程度なので、基本的にはスペシャルスキルカードを狙ってガチャを引くことになるのですが、例えば今回の排出率(ピックアップなし)を計算したところ、0.5%もないくらいでした。渋い! あまりにも渋い! ステップアップガチャ等を導入し、スペシャルスキルカードを餌にジュエル購入を促していたりもしていましたが、ゴールドでぷちぐるを引いて育ってきた民にとってはあまりにもジュエル要求数が多く、それを乗り越えても欲しいスペシャルスキルカードが引けるとは限らないため、手を伸ばすのに躊躇してしまいがちな設定(50%でスペシャルスキルカードが排出される最終ステップまで合計9500ジュエル)でした。そしてあるときふと気がつくのです。「あれ? 狙ったキャラのスペシャルスキルがなくても攻略自体にはなんの支障もないのではないか」と。「とくにぷちぐるはガチャゲーになってないのではないか」と。ゴールドのように時間とハートの許す限り際限なくとはいきませんが、1日1-2回程度、カードガチャを回すためのメダルをゲーム内で獲得することも可能です。イベントやキャンペーンでもそこそこの入手が可能です。私の中では1日1回の運試しで、出たらラッキー程度のものに成り下がってしまいました。あまりにも出なさ過ぎてそれすらも怠った結果、上記の通り、450回以上カードが引けるメダルが貯まりました。一応貯めていたのには理由があって、実装当初にキャンペーンで☆5排出率が1.5倍になっていたので、1周年記念でキャンペーンが再来するだろうと思っていたのです。1周年キャンペーン告知より先にサービス終了告知が来てしまいました。悲しい。

このように、ライトユーザーおよびミドルユーザーはスペシャルスキルカードをガチで狙いにいかない限りは、有償アイテムを購入することなく、存分に遊ぶことができます。それ自体はアクティブユーザーを広く確保する戦略となり得るため、特に否定するべきものではありません。しかし、その戦略を打つならば、ヘビーユーザーから十分な売上げを確保する戦略も同時に打たなければなりません。ヘビーユーザーに有償アイテムを買ってもらう方法はいくらか考えられますが、手っ取り早い方法のひとつは競争させることです。人は獣。何だかんだで戦いを好みます。札束で殴り合います。ここがぷちぐるの最も失敗したところだと思っています。なんと、競争させる公式の場がないのです。ハートでプレイ試行回数を増やすのだって、ぷちぐるガチャを引いて種類を揃えたりスキルレベルをあげたりするのだって、ぷちぐるを育ててレベルをあげるのだって、スペシャルスキルカードを引くのだって、カードのレベルをあげるのだって、ゴールドでアイテムを買って使用するのだって、1点でも多くハイスコアを伸ばすためのものなのに、そのハイスコアを競わせて誇示するための公式の場がないのです。スコアアタックモードでフレンド週間ランキングが表示されたりはしますが、特に報酬があるわけでもなく、アクティブユーザーだからというハート目当ての理由で繋がった最大100人のほとんど知らない何処かの誰かに知らしめて終わりです。知らしめられる側も(少なくとも私は)誰が何点取っているのか興味がありません。スコアをtwitterに載せて全世界に発信することもできますが、求められているのはそうじゃない! 競いたいユーザーは、公式大会で順位を決めて表彰されたいのに、自己練習で出した記録を自分で登録して自己満足することしかできないのです。これではまったく競うモチベーションが上がらず、名声を望むヘビーユーザーからの売上げも期待できません。

もうひとつ、収益源としてアルパカパスポートについても説明しておきましょう。30日960円で毎日ログインしていればジュエル4000個(有償1000+無償3000)をお得に購入することができるいわゆる定期券です。私も購入していました。ミドルユーザー以上が手を出すにはお手軽な商品で、僅か5000人がパスポートを購入するだけで売上げ500万円程度にはなるわけです。つまり3月の売上げ550万円程度の内約のほとんどはパスポートなのではないかというのが私の見立てで……いやしかし、5000人も定期券購入ユーザー残っていたのかな……。

さておき、どうすればよかったのでしょう。売上げ1億円の壁を越えられたかどうかはわかりませんが、やはり週間でも月間でもいいので、ハイスコアや累積スコアを全ユーザーでランキングし、報酬を設けることが早々にできていれば、もう少し、売上げとゲーム寿命を伸ばせたのではないかと思います。有償アイテムを購入する必要性の薄いゲームは、ユーザーに優しい反面、経営に厳しいのです。

ひとりのミドルユーザーとして、どうすればゲームを残せていたのだろうという後悔にも近い思考を巡らせている中、サービス終了に向けたアップデートでキャラ同士の掛け合いという素晴らしい新機能が実装されました。μ's 9人、Aqours 9人、それぞれのキャラがユニット内で掛け合いをします。ひとつの組み合せで4通りあるようなのでその組み合わせはなんと576通り。なぜ今更とも思いましたが、終焉に向けて急遽作ったとも思えませんので、1周年に向けて用意していたものを、サービス終了の報を受けて前倒して実装することにしたのではと想像しています。残り2ヶ月。ゆっくりボイスを回収しながらまったり遊びます。こういうとき、どのような気持ちで終わりゆくゲームに向き合えばいいのでしょう。自分が遊んでいるゲームがサービス終了を迎えるのは初めての経験なので、初めての感情を抱きながらイベント「SUNNY DAY SONG」を走っています。

最後に、ぷちぐるのサービス終了から得られる教訓をひとつ。それはラブライブという強力なコンテンツの看板を立てたとしてもゲーム部分をうまいことやらないと死んでしまうよということです。絶賛開発中(と信じている)の「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS」が同じ轍を踏まないことを心から願うばかりです。

※サービス終了後の返金についてのお話はこちら

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