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同じ釜の(ご)飯を食べるようになった

筆者には、今年10歳を迎える愛犬むすめがいる。

ペットショップから迎えた彼女がうちに来て数ヶ月後、「先天性右心室不全」と診断された。それから紆余曲折を経て、現在はたいへん健やかな人生(犬生の方が適切だろうか)を送る彼女だが、1つ気がかりなことがある。

食が細く、なかなか太らない。

スレンダーボディ

先天性疾患に伴う腹水により消化器が圧迫されていた彼女は、子犬の頃から食が細い。誕生日のご馳走だけでなく、普段の食事も食いつきは良いが、量を食べてくれないので、回数を増やしてみたりした。が、思うように体重は増えない。
「どこか悪いのでは…」と不安がる筆者に付き合わされ、定期健診の度に血液検査を受けさせられる彼女だったが、健康そのものと太鼓判を押された挙げ句、「単なる痩せすぎ」と称されるスレンダーボディの持ち主である。

考えてみると、筆者も第三者から「痩せっぽっち」だの「貧相」だのと言われた経験がある。そうかと思えば、「ぽっちゃり」と言われたこともある。
そんなときはいつだって、こう感じてきた。

どうでもよい。

このことから、愛犬のボディ事情につき、過剰に不安がるのを辞めた。これが、今から2年ほど前の話である。

犬用料理のレシピ

もともと薄味を好む筆者。愛犬用の食事を手作りしようと考え、レシピを見たときには目を疑った。

これ、私のご飯じゃない…?

ほぼ調味料を使わず、蒸し・茹で調理が基本のレシピを見たことも要因だろうが、乳飲み子に与える離乳食とも似ているようにも思う。もしかすると、犬の消化器は赤子に近いのかもしれない(ただし、肉類の消化はとんでもなく得意)

とはいえ、いきなり食事を変えるのも良くないだろうと、手作りの食事は数日に1度の頻度で与えるようにした。彼女は、ドライフードも手作りも大きな差がなく、しっかり食べた。

ずぼら(ご)飯

半月ほど前、筆者は風邪をひいた。あまり体調を崩すことがないため、悪化する体調への対処法を失念し、順調に弱った。日頃から自炊が中心の筆者だが、買い物に行けるだけの体力的余裕がなく、炊飯器にお米を炊いてもらった。
そうこうしているうち、彼女のドライフードが底を尽きた。まずい。自分のことにばかり気を取られ、注文しそびれた。応急措置にと、冷凍の挽肉とさつまいもを蒸し、白米と混ぜたものを提供した。他人様に見せられぬほどずぼらなご飯だが、彼女、普段からは考えられないほどガツガツ食べた。成長期の男子高生か、ラガーマンくらいの勢いで食べていた。

しかも、おかわりを要求された。

筆者、ひっくり返りそうなほど驚いた。こんなに食用旺盛な彼女はいつぶりだろう。発熱も相まり、うっかり走馬灯を見てしまいそうだったが、よく食べる姿は見ていて気持ちが良い。この日から、愛犬の食事を手作りメインに切り替えたのだが、彼女に変化が見られる。

手作りご飯の効果

普段、あまり鳴くことのない彼女だが、水が欲しい時だけ鳴くことがある。厳密には、水を欲しがっていることに筆者が気づかない時にだけ鳴く。これ以外で鳴き声を聞くことはほとんどなかったのに、食事を変えてから、お腹が空くとクンクンと鳴くようになった。食事の時間になると自ら皿を差し出し、物足りないと再び差し出す。

総合的に見て、主体的な動作が目立つようになった。
なんとも喜ばしいことである。

ただひとつだけ。

思う存分食べた後の睡眠が、これまでとは比にならないほど深いため、息をしているか不安になる。抜き足差し足確認後は、彼女の寝顔を微笑ましく眺める筆者だ。
美味しいものをお腹いっぱい食べて眠ることに幸福を感じるのは、人も犬も変わらないようだ。

#ペットとの暮らし

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