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楽して稼ぎたいならお勉強しましょう

はじめに

 最近、私の周りでは「楽して稼ぎたい!」と言ってマルチビジネスに手を染める人が増えてきているように感じる。地元のカフェに行くと大抵1組は「この教材を買えば、簡単にお金が稼げる」なんて話をしている。

 もちろんそんな上手い手法があるわけはなく、ほとんどの人はそういったビジネスを始めるにあたって使った「お布施」すらペイ(回収)できない。

 やっていることはYouTuberを夢見ることと変わらないが、周りの人をマイナスの方向に引っ張って行くという点でそれとは違う。まさに人を「死神化」するのがマルチビジネスなのである。

 また、そういった商売をやっている人間は一向に自分がマルチ商法に加担しているという事実を認めようとはしない。自分のしていることが世の中で悪く言われているあの「マルチ商法」だとは夢にも思わないからである。

 だから、この記事を読んで、自分が加担しているのはもしかしたらマルチビジネスかも!?と感じた人はいますぐにでもその死神ビジネスをやめて真っ当に働くべきである。

そもそもマルチ商法とは

 そもそもマルチ商法とは何だろうか。長野県消費生活センターがわかりやすい説明をしていたので、それを参照しよう。

 マルチ商法は、ある販売組織の加入者が別の消費者に商品を売って組織に加入させてマージンを受け取り、さらにその消費者が別の消費者に商品を売って組織に加入させてマージンを受け取り、さらにその消費者が・・・というようなことを次々に行って組織をピラミッド式に拡大していく商法です。

 つまり、図にすると次のような感じになる。

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 売り付けられる商品の良し悪しというのは実際サービスによるが、悪いというよりそれ以前に使い物にならないものも多い。特に「アフィリエイトで1000万円稼ぐ方法を5万円で公開します!」のようなネットビジネス関連の情報商材には「ハズレ」も多い(らしい)。

 このことから、彼らが販売する商品の多くは「ハズレ」であるという風に考えると彼らはもはや周りの人に不幸をばら撒く存在であるから犯罪者と同値である。

 彼らの詳細な手法については『闇金ウシジマくん』に詳しい。(以下参照)

隠れ蓑とその論理

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 マルチビジネスをしている人間は意外と身近にいる。その隠れ蓑として代表的なものに「意識高い系」がある。

 彼らは自分のしていることこそが「意識の高い行動」であり、それを否定することは「意識の低い行動」として位置付ける。

 端的に言ってしまえば、彼らのしていることは多様性の「排除」に他ならない。

 彼らはいわゆる意識低い系の人間のことを「視野狭窄的」「脳死」「屍」という風に批判し、自分たちの論理がさも正しいかのように主張する。(社会心理学では「認知的不協和理論」によって説明される。)

 自己を批判する他者の論理を理解しようともせず「排除」し続けるのであるから、彼らはその沼にどっぷり浸かり続けるのだ。

 もはや自分(閉鎖空間)の世界に没頭している状態であるから、その概形はなんらオウム真理教と変わらない。

 「意識高い系を見たら、逃げろ」と言っても過言ではないかもしれない。 

高校時代にマルチ商法っぽいことしてた話

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 実は私もマルチ商法っぽいことをしていた時期がある。口下手だったので、成約に託けたことはなかったが、しかし、他の例と同じように私も周りの人間を勧誘していた。

 私はとある商品(念のため、名前は伏せておく)を売っていた。その商品はとてもいいもので相手にとって利益を生み出すものであると信じていた。

 そのため、私は中学の友人や高校の友人に「今度会わない?」という風な出会い厨みたいなLINE(ほぼ怪文書である)を送りつけ、直接会ってこの商品がいかに素晴らしいかということについて熱弁していた。

 高校の家庭科の授業でマルチ商法に関する話が出たときは友人に「お前がやってるのマルチだろww」と言われたこともあったが、それでも「私は正しい」と信じてやまなかった。

 しかし、ある日、私がメッセージを送った友人に既読無視をされ、LINEを削除されたときに「私はもしかしたら悪いことをしているのかもしれない」という気持ちになった。

 私の勧誘インセンティブはお金にはなく、「良いものを売っている」という気持ちにあった。そういう意味においては宗教勧誘に近いものがあったかもしれない。この一件があってからは勧誘をする度に罪悪感が生じ、自分の売っているものに自信を持てなくなったため、私は会社を離れた。

補足:給与体制について

 私が勤めていた会社ではやはりマルチビジネスと同じように子に勧誘させ、成約すれば、子に親が仲介料(¥25,000程度)を支払うという給与体制が構築されていた。実際、売っていた商品は1個¥500,000程度の商品であったため、割りには合っていなかったと思う。

マルチ商法の加担者に及ぼす悪影響

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①友人関係の崩壊

 よくある手法として「友人を勧誘すること」がある。

 SNSや掲示板で自分のことを知らない人間を勧誘するよりも自分のことを信頼してくれている自分の周りの人間を勧誘する方が比較的に成約率(以下、CVR)が高くなる傾向にあるからである。

 これは方法としては非常に手っ取り早いものであるので、マルチ商法をするほとんどの人が真っ先に実行する。

 しかし、勧誘された側の人間、特にマルチ=悪という認識の人間にとっては加担者は悪を運ぶ悪魔のような存在であるため、必死に勧誘を避けようとする。

 それでもしつこく勧誘しようものなら、勧誘された人間はその関係を断ち切ろうと躍起になるだろう。

 騙された人間も然りである。

 以上によって、人間関係が崩壊する。

②初期費用をペイできない

 ここで東京都が発表している「マイタケ健康食品」のマルチビジネスの参考事例を見てみよう。

 平成27年3月頃、学生丙の携帯電話に大学の先輩であるEからSNSで「最近やっている広告ビジネスの話がある。紹介したい。仕事でお世話になっている人がいるので、今度会わせたい。」とメッセージが送られてきた。丙は、「どんな仕事なのですか。」と質問したが、Eは「おれが話すよりも、おれが仕事でお世話になっている人から直接聞いた方が良い。」と返信してきた。丙は、話を聞くことを承諾した。
 数週間後、丙はEと会い、喫茶店に入った。喫茶店には詳しい話を担当するFがいて、M3のビジネスについて説明を始めた。商品のパンフレットなどを見せてもらったわけではなく、受け取ってもいないので、当該事業者が取り扱っている商品の名称や品質については分からなかった。Fは「M3は他のネットワークビジネスと違い、初期投資の額が小さい上に、少ない数の人を紹介するだけで元を取ることができる。」「おれのやり方を真似すれば、成功できる。簡単だ。」「M3のビジネスを始めるためには、初期投資として○万円が必要で、その後は毎月○万円が必要だ。」「君なら絶対に成功できる。すぐ決める人ほど成功する。○万円はすぐ取り戻せるよ。」と言った。丙は、初期費用やその後毎月掛かる金額は、M3のビジネスを行うためのビジネス料金のようなもので、商品購入のためのお金だという認識はなかった。また、人を紹介するだけで収入になると思っていた。収入を得るためには、丙自身も商品を購入しなければならず、また丙が紹介した人も同様に商品を購入しなければならないのであるが、そのことについては説明がなく、よく分からなかった。
 その後、Fは申込書面を取り出した。Fは、申込書面の個人情報の記入欄を指しながら、「ここだけ書いて。」と言ったので、丙は言われた通りに記入し、捺印した。記入を終えると、Fが申込書面を回収し、控えなどは丙に渡さなかった。丙は申込書面の申込内容記載欄は記入しなかったので、申し込んだ商品の名称、品質、数量、金額などは分からなかった。また、毎月購入することになった商品の名称、品質、数量、金額も説明されず、分からなかった。丙はこの日、概要書面を受け取っていないし、クーリング・オフについての説明も一切なかった。丙はその当時、連鎖販売取引をやるために○万円も払い、さらに毎月○万円も払っていく余裕はなかった。
(東京都生活文化庁より引用)

 上記事例を参照してもらえればわかると思うが、こういった美味しい話にはイニシャルコスト+ランニングコストを自分で負担するという場合が多い。

 また、さも「簡単に儲けられる」という風な話し方をした上で、本当のことは契約時には話さない。

 こういった場合には契約時には知らされていなかった予想外の費用が発生することもある。

 上記の例で言えば、勧誘して商品を買わせるだけでは収益を獲得することができず、自分もその商品を買わなければ収益が獲得できないということである。

③成功率が異様に低い

 マルチ商法の宣伝文句には「誰でも成功できる」と謳ったものが多い。

 しかし、実際に成功できるのは人間的なものを全て排除した一握りの人間である。

 マルチ商法を推奨するサイトではその成功率は5%と試算されているが、それに批判的なサイトでは成功率はわずか0.004%とされている。

 0.004%という数字はソシャゲのガチャでよく見る数字だからどちらにせよ成功できる!と思う人がいるかもしれない。しかし、人間の人生において試行回数には限界がある。0.004%という確率は25000回同じことを繰り返してやっと1回成功するという意味の数字である。我々の人生で25000回もの試行回数を重ねるのはまず不可能である。つまり、これは現実的ではない。

 さらに、統計的に考えても恐らくこの差は有意ではない。明らかにおかしい。上記で紹介したマルチ商法に批判的なサイトがそういったビジネスで有名なアムウェイの公表している数値から推定しているのに対し、MLMに肯定的なサイトは明確な根拠が示されていない。

 つまり、成功率5%という数値は現実を反映しておらず、0.004%という数値がそれよりも現実に近いということが言え、マルチビジネスで成功するのは現実的ではない。

まとめ

 マルチ商法は加担者の交友関係を崩壊させ、金銭を奪い、にも関わらず成功率の格段に低いビジネスなのである。

最も効率的に稼ぐには

 それでは最も効率的に稼ぐにはどうしたらいいのか。それはタイトルにもある通り「勉強すること」である。

 勉強をすれば、年収が上がるというのは統計データを見れば明らかである。

 中学、高校、大学などそれぞれの学校を卒業した男性がその後すぐに就職し、60歳で退職するまでフルタイム労働を続けて、60歳で退職金を受け取り、その後も平均的な引退年齢(69.3歳)まで働き続けた場合で比較してみました。
 生涯賃金はそれぞれ、中学卒で約2億1千万円、高校卒で約2億3千万円、高専・短大卒で約2億円5千万円、大学・大学院卒で約3億2千万円という金額が算出されています。
出典:テンミニッツTV(2016)「中卒と大卒はこれだけ違う!学歴と生涯賃金の差」(https://10mtv.jp/pc/column/article.php?column_article_id=725 2021年3月10日閲覧)

 このように、中卒と大卒の平均生涯年収には1億円以上の差があることが分かる。つまり、大学を卒業するだけでも生涯年収がかなり変わってくるのである。

 この他にも行政書士や電気工事士などの業務独占資格を取得することで貰える給与を増やすことができるだろう。

 以上のように、成功率の低いマルチ商法に手を出さなくても勉強をすることで「確実に」お金を得ることができる。確実な方法ほど楽なものはない。努力の先にゴールが見えているからである。


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