見出し画像

大阪府20世紀美術コレクション

 昨日の朝刊を見て、やるせない記憶が蘇った。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/265335

 そして、その記事を読んで、なんと無惨なことになっているのだと、ヨーグルトが逆流した。
ようやく表に出てきた当時の無謀な大阪府のコレクションのやり方、その当時を知る多くの方々は他界され、府の担当者の人も退職されたり、担当部署は変わったりされているだろう。

 大阪市とは管轄が異なるものの、このニュースはブルーシートで覆われ、作品は放置された死体のごとく「事件」に他ならない。美術に携わるものにとって、他府県であるから、自分の作品がそこに含まれていないから、と言うだけで通り過ごしていいのだろうか。80年代から90年代にかけてのバブル期の美術業界では、様々な「事件」があった。その中でも、今回のものは悲しく捨て置かれた公の「コレクション」である。

 この件は文化芸術のみに関わる問題ではないと思っている。大阪府の行政やその当時の美術関係者を含めて、責任の所在はどこにあるのか、はっきりとさせる必要がある。そして、これらのコレクションをこの先どのように見せていくのか、どのように修復保全するのか、その計画をきちんと示す作業をしてほしい。当時は知らなくても現在関わっている方々には、きちんと状況を説明してもらいたい。

 大阪府の筋が通らないコレクションが始まった以前から、この街で仕事をしてきて久しい。当時は美術館も地方行政の意識も今とは比べ物にはならない。その理由のみで起こったことではない。良くなっていくところに目を向けたいが、この「事件」はきちんと整えてほしいものだ。

大阪府20世紀美術コレクション
https://www.pref.osaka.lg.jp/bunka/art-collection/index.html



©松井智惠                  2023年7月26日


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?