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義姉

義母がまだ生きていた頃のことだ。
義父の実家の葬儀に、夫と私、義母とで
車で向かっていた。
その頃の義母は、ヒステリーが病的に
ひどくなり、車の後部座席から低い
エネルギーが伝わって気持ちが悪かった。

義姉から電話が鳴った。
「お金を送れ」と怒鳴っている。
電話越しにもハッキリ聞こえる喚き声。
「金送れって、当たり前みたいにいつまでも!
いくら送ったら気が済むんだ!
金、金と、どいつもこいつも言いやがって!
俺の金なんだ!誰にもくれてやらない!」
そう叫んで電話を切った。

義姉その当時で52歳 独身。
義母81歳

私は怒りを堪えて、冷静に言った。
「自分の金だなんて言ってるけど、
息子が稼いだお金でしょう。
私たちは稼いだ分を正当にさえ受け取っていない。
そのことを訴えたことはあるけど、金金って
騒いだ覚えはない。
足りない分は、私が自分で働いて生活を保っている。
夫が稼いだお金を、義姉に垂れ流しているのは
自分でしょう。
義姉と一緒にしないで」

夫は隣で深く頷いて感動していた。
義母も言葉に詰まったようで、返す言葉もない。
今度は義姉のフォローをし始めた。

私は義姉を責めるつもりもない。
華やかな生活の義姉は交際費だ、
人を家に呼んでパーティーだとやたら
お金がかかる。
それぞれの生活だから仕方ない。
お金を送る人がいるから散財する。

よそに流れたお金、
義父母が握りしめて離さないお金
私達の消えた預貯金。
目の前にないお金に執着する気もない。

理不尽な行為を許せずにいるが、
その悔しさをバネにして生きてきた。
自分で稼ぐことが出来るようになった
のも、そのエネルギーのおかげだ。

誰かが汗して働いて稼いだお金を、
寄ってたかって自分のものにしたがる。
あさましさは恥ずべきことだと、
夫の家族を見て知った。

義姉はよく言ってる。
「相手がそんな態度だから、自分がイライラする」
自分が常にイライラしているのは、配慮のできない
周りの人間どものせいなのだ。

要するに、義母の反応が悪いから
「つべこべ言わず金を送って」
と言ったのだろう。
義母のせいならしい。

義母も「義姉があんな言い方しかしないから
喧嘩腰になる。〇〇ちゃん(私)みたいに
頼めれば優しくなれるのに」

親子そっくり。
仲良しね。

私は義姉の感情的な一面は疎ましいけれど、
尊敬をしている面もたくさんある。
精神的な忍耐力。
運動能力、適応力、順応性、センス
全てが秀でている。

でも、一緒にいるだけで疲れる。
義母も義姉もエネルギーバンパイヤ。

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