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「手紙」と「みずいろのランドセル」

いま4年生。
1/2成人式を迎えることしは、いつもとちょっとちがうの。

4年前、幼稚園を卒園する1年以上前からランドセルは水色ときめていたの。ひとめみたその時から、これしかないって。お花の模様があしらわれて、ちょっとお姉さんっぽい。6年間いっしょなんだもんね。一瞬できまったけど。

とても人気があるんだって。なんどもテレビでうつされたんだってきいたけど、わたしには関係ない。これしかないときめたんだから。おばあちゃんが買ってくれるって約束してくれたの。もうわたしのもの♬

おとうさんがある人に教えてもらったかばん屋さんが、とってもいいランドセルをつくっているんだって。見に行ってみようって、入学の1年前に。気が早いでしょ。でも、もうその時にきまっちゃったの。わたしのランドセル。

6月のある日、フランスへ旅立つときに、お母さんに手紙を託したの。わたしの想いもかいてくれたみたい。インターネットは発売日につながらなくなったけど、手紙は届いていたみたい。いつになっても連絡がこないので、あきらめかけていたけれど、電話でお話してみると、注文ができていたの。わたし飛び上がって喜んだわ。

そう、もう決めていたんだから。

花がらで水色のランドセルが、わたしの背中でゆれている。
いまも、たぶん、卒業する時も。
もう昔のことだけれど、一生わすれないわ。あの瞬間のこと。
決めたらそうなるのよ。きっと。
もう10年も生きてきたんですもの。いろんなことがわかるようになったの。

もうすぐっていっても8年後だけど、車の免許をとるの。「でんじろう」がわたしをまってる。おとうさんもまってる。もう10年したら、日本一周の旅に出るのよ。おとうさんも連れて行ってあげる。寿命を縮めるかもしれないけどね。

水色のランドセル。

そのときは、よその国を旅しているのかな?
それとも小さくなって、わたしの机のうえに置かれているのかな?

ランドセルへ、手紙をかいておきたいな♪








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