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ホタルノヒカリ舞踏会

ほたるのひかり まどのゆき ふみよむつきひ かさねつつ

いつしか年月がすぎ、わかれたひとを記憶の隅に閉じ込めてきたのですが、あるできことで、ふと思い出してしまいました。闇夜からの招待状がとどいたので、さんざん迷った挙句、出かけることにしました。

学生のころ、旅するクラブにはいっていました。街を歩き、山に登り、火を焚き、恋を語りました。あのころは、小さなともしびでも平気だったように思います。恩師はおさけのにおいをぷんぷんさせて、教壇で昔の話を聞かせてくださいました。なつかしい思い出です。

ほたるのひかりを目で追いながら、そんな昔の時間が今によみがえってきました。道先案内人はそのクラブの後輩。学生のころに蛍の舞をみせてくれた、その人でした。数十年の時を超え、闇夜の舞踏会がはじまりました。

朔の前夜、ソラには「ななつぼし」。舞踏会は静かにはじまり、ひかりの舞が魂をさそいます。小さなこどもの手のひらに、大きな思い出がとまります。ひかりをはなつ小さな玉。大よろこびのこどもにも、いつか思い出となり、舞踏会で踊る日がくるでしょう。

先に往ってしまったひとたちの魂でもあるかもしれません。過去からのおくりものは、記憶の中に光の舞として静かにあたためておきたいものです。小さな魂にも伝えておきたい。いつまでも光り続けることを信じてほしいとおもいます。

ゆらめく光に目を細め、宇宙の星を数えながら、街の灯かりの中に帰っていきました。ヘッドライトをともして。


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