見出し画像

Music of Delusion 第5話 ~水を追う者~


〜朝〜

タビロドは依然として波に飲み込まれていた。
「この波はいつまで続くんだ…」

よく目を凝らしてみると波の正体は
素早く動く水の獣のように見えた。

「これは大物だな!」

次の瞬間、その獣は矢の形をした水の流れに撃ち抜かれ
やがて波もおさまった。

「んーー?君は水ではないねぇ?」
「僕はタビロドと申します。」
「そうかそうか客人とは珍しい。歓迎するよ」
「僕の名前はミヌオウモノ
「ミヌって呼んでくれればいいよ、」

「ミヌさんよろしくお願いします。」

〜昼〜

「ミヌさんって僕の姿何に見えてますか?」
「風かなぁ」

「ミヌさんは馬に乗っていないんですね」
「まあね。波が馬みたいなもんだから」

「さっきの獣は?」
「水だよ。水。わかるだろ?あの水が地上まで進んでいったら水没してしまうよ世界は」
「確かにそうですね。」

「よくあんな速さの水を射抜けますね」
「まあ。毎日追ってるからね流れを」

「質問なんですが、この世界は放っておくと滅びてしまうんですね」
「そうなんだよ。大変だろ?。まぁ暇じゃないのはいいことっちゃいいことだが」
「でもなかなか心休まらないですね」
「確かになぁ。持ち場ってのがあるからアイツにも会いに行けないしなぁ」

「アイツって?」
「ああ、ヒブサメってやつだよ。森の中で暮らしてる」
「僕会いましたよ!」
「おぉそうか!元気だったか?」
「元気でしたよ!」

〜夜〜

「この世界の構造って変わらないんですかね?」
「そんなこと考えたこともなかったなぁ。でも君みたいな風を操るものがいれば…」
「風ですか?」

「あぁ昔はいたんだけどなぁ。最近めっきり見なくなってしまって」
「風があると変わるんですか」
「草や雲、土、水の侵食をいい感じにしてくれるんだよ」
「そうなんですね。」

その時、海底が一気に上昇し始めた!

「なんだ!?」

「土の侵食だ….」
「えっ!?」
「これはまずいぞ…」

土に追い出された水は大波となって地上へ流れていき、
草木は成長をし続け空を覆い、
地表が上がったことにより空に到達し、雲が地下を覆つくした

「何が起こってるんだ!?」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?