マレーシア留学記録〜地獄のロックダウン後編〜

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学生寮には本来食堂やジム、キッチンなどの共用スペースがあるのだが、ロックダウン中はそれらも全て閉鎖されてしまった。頼りはグラブフードと夕方5時に閉店してしまう寮内のファミリーマートだけだった。

日本に帰国する選択肢はあったにはあったが、大学に長い準備期間を経て入学したのにも関わらずたった1ヶ月半で帰国するというのは非常に悔しかった。また、外国人の新規入国も禁止されていたので、1度出国してしまえばいつ戻れるか分からない。その間に学生ビザが切れようものなら、またあの労力のかかる申請をしなければならないのだ。(マレーシア学生ビザ取得は非常に時間がかかる。)最大の理由はロックダウンの直前に恋人が出来たことなのだが、結局半年くらい対面で会うことが出来なかった。まあ今はあまり触れないでおこう。

授業ももちろん全てオンラインになり、なれない英語に加えてオンライン会議ツールを使いこなしていかなければならなかった。それまであまりパソコンに触れてこなかったので、タイピングもままならないような状況だったが、なんとか必死に授業に食らいついて言った。しかし問題は授業外の時間だ。休日にもなろうものなら、最初のうちはNetflixやYouTubeを見て楽しんでいたものの、さすがにそればかりでは当然飽きてくる。だが、それ以外にできることは無い。愛の不時着を全話ぶっ通しで見たり、夜に駆けるをエンドレスで聴いていたりしたので、いまだにその作品をどこかで見たり聞いたりすると、トラウマがよみがえってくる。今振り返れば、その時点で精神に軽い異常をきたしていたのだろう。運動不足解消のために狭い部屋で踊ってみたりしたみたが、その後に襲ってくる虚無感に耐えられず、断念した。

この頃のことを思い返すと、今でも胸が締め付けられる。寮外には出られず、ルームメイトもいない、出口の見えない前代未聞のロックダウン。しかも異国でだ。こんな経験を渡航直後にしたからこそ、多少のことには動じなくなった。もちろん経験しない方が良かったのだが、自分を強くしてくれたことには間違いない。よく頑張った、私。


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