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アウトプット習慣の前にインプットサイクルの一手

書くために読む。

プログラマー脳 ~優れたプログラマーになるための認知科学に基づくアプローチを読んだ。サブタイトルにあるとおりで、認知科学の本。脳という名のOSの仕組みをプログラミング視点で解き明かす。

ワーキングメモリやチャンクにメンタルモデル。認知負荷にいわゆる臭うコードの話と脳に沿ったプログラミングにおける鉄則が学べる。学習における基礎的な考え方なので汎用的。この手の本が初めてだとオススメできる。

ただ、テクニックは別書籍がよさそうだとの感想を得た。

5.4 文章を読むこととコードを読むことは似ている

P.93より、このタイトル。その中で以下の文章が印象的だった。

平均的なプログラマーは、コードを書くではなく読むことに勤務時間の60%近くを費やしていると推測されます。ところが、プログラマーは多くのコードを読まなければならないにもかかわらず、あまりコードを読む練習をしていないというのが現状です。

引用:プログラマー脳 ~優れたプログラマーになるための認知科学に基づくアプローチ
P.93

この章は学習における基本的な考え方として示唆に富んでいると感じた。

そもそも書くためには読まなければいけない。今こうして読書感想文のようなまとめを書けるのも読んでいるからだ。よく、インプットだアウトプットだという話があがるが書く前に読む行為が必ず必要になる。

読書であれば、文章を読む。コードを一行ずつ読むように一字一句を読み込むとは限らない。読み方には様々あり、指でおって読んだり音読したりと手法は様々だ。本書はそのテクニックが続く。

独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法にもあるが、目次より読むことについて、以下の手法が挙げられる。

●読む
34 知らずに使っている最速の読書法「転読」
35 必要なものだけを読み取る「掬読」
41 読むことを考えることに接続する「刻読」
43 難所を越えるための認知資源を調達する「筆写」
45 思考訓練としての訳読「鈴木式6分割ノート」
46 逆境を乗り越える要約注釈術「レーニンノート」

引用:独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法
目次より

コードの話より、そもそも自然言語としての文書にも読み方というものがあることに立ち返りたい。

書く前に読んでいない可能性について

今日、ブログの書き方の説明会を社内で実施した。文章を書く意図やテクニック。スモールスタートのやり方などを説明し、最後は皆のアウトプット習慣を聞く機会を得た。

アウトプットサイクルが回っている人の話を聞くと、手を動かすことや行動から生じる体験がインプットとなっていることが伝わる。体験しているから表現できる。聞くから話せる。読んでいるから書ける。

アウトプットドリブンなる言葉があるように、何かを書こうとする行為は読むことや調べることに繋がる。論文なり同人誌なり登壇資料なりは、読むことが必然的に求められる。書こうとする行為は読む行為に繋がる。

つまり、コードが書けないということは読んでいないということかもしれない。ドキュメントを読んでいない。コードそのものを読んでいない。読み方がわからない。だから書けない。

すごくシンプルな話だが、順番としては読んで書くが大前提にあると認識できた。つまり、書き方講座の前に読み方講座が必要なのかもしれない。文書の書き方はいろんな形で支援してきたが読み方の支援が必要かもしれない。

もちろん、読むことは自己学習の範囲。これをどこまでサポートするかという考えがあるので、社会人成り立てのときによく聞く言葉に、とにかくたくさん読めという考えがあったのだろう。

私が今本をたくさん読むサイクルができているから、アウトプットができていると考えると、インプットサイクルについてもう少し注目してもいいのかもしれない。

引用画像:https://rnavi.ndl.go.jp/imagebank/dc/854618_11b.jpg

引用:田中幽峰 著『百蝶図案』,五洞館,明29. 国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/pid/854618/1/11(参照 2023-08)


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