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「物理学」に殺される。

ねれない。
たすけて。
ねむいのに寝れない。
感覚が鋭くなってくる。
普段どうやって寝てたんだっけ。
歯をなぜか食いしばってて
骨を伝って体の血液の流れを感じる。
足の裏。あつい。左右。
ももがかゆい。
耳鳴り。いたい。あぁ。
目を閉じても
まぶたの裏側を見ている。
あああぁ。生きてる。
こんなにも生きてる。

わたくしは大学で物理学を学んだ。
物理学を学ぶって、海流が流れてるみたいですね。
すみません。
その中で高校より少し発展した
宇宙についての専門的な授業を取ったことがあった。

わたくしは、宇宙の広さを
みんなより知っていると思う。
思ったより広い。えぐい。ガチで。
わたしたち、小さ過ぎ。
その時先生とみんなで宇宙の広さを
数値で求めた時にそう思った。
文型の人よりも
化学、生物、地学をやってる人よりも
数学をやってる人よりも物理的に
数字、単位、スケール感に
触れてくる機会が多かったからこそ、
数値で見た時にビビっちゃった。

アリを踏んづけていても気づかない。
わたしたち。
小さなわたしたち。
踏んづけたアリの命に価値はある?
あって欲しい。
殺していることに気づかせて欲しい。
死が確認できるということは
存在していたということだと
思うのです。わたくし。

アリと何も変わらないわたしたち。
生きる価値。わからないわたくし。
価値なくない。なくなくなくない?
生きている意味なんてない。
約4年、物理学を学んだ。
ニヒリストになってしまった。

盲目的に生きたい。
自分達が暮らすこの場のこと、
適当に知るだけで満足してたい。
外、突然の雷、雨。
「ここらへんは、山が近いから
天気が変わりやすいんだよ」
母が昔、言っていた。
その程度でいいのに。

わからないことの引き出しの数が多いほど
世界は面白い。
スーパーナチュラル、
オカルト、宇宙、真理
ミステリアスな単語に惹かれてしまう性格なので
それらの解釈が欲しくて
「物理」という学問に片足を突っ込んでしまった。

洗礼を受けた。
ほんの少し指先を踏み入れただけなのに
この虚無感はなんだろう。
確実に「物理学」に殺された
「私」がいた。

知らなくてもいいことはたくさんある。
観測することでそのモノの存在が確定する。
量子力学で習った。シュレディンガーの猫。
なんて危ういんだろう。わたしたちにゃ。

目を開けて、見て、聞いて、聴いて、
人と関わって生きているだけで
観測を強いられてしまう。
そしていつか誰かの死を確定させてしまう。
無自覚に周りを殺し続ける。わたしたち。

どの繋がりも絶てない。
人には感情があるから
死を悲しいもの、怖いものと
解釈するのが一般的だと思う。
死を「死」たらしめている。
周りに迷惑をかけないために
見られてしまっている以上は
存在し続けなくてはならない。

みんな本当の意味で
1人にはなれないことを
わたくしは知っている。
知っている。
だから今日も
量子力学的に死ねないので
生きる価値への、存在することへの
自分なりの解釈を見つけれず
宇宙の黒に吸い込まれている。

AM4:50。
いじわるな宇宙から
「見ないほうがいいよ」と
わたしたちの両目を手で覆って
一人で守ってくれている
朝の空の寂しげな青を
わたくしは知っている。

AM4:50 / downt

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