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明るい気持ちになれる本 「くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話」

本のタイトルに「くそ」が付いてるとついつい惹かれちゃう。

タイトルの通り投資の本だけど、他と違うのは著者が投資家でパンクスでバンドマンなところ。
ご本人のnoteから高円寺のライブハウス「二万電圧」で勤務してた事を知って「近!」ってなった。よく遊びに行ってたので、お会いした事があるかもしれない。

私は二十代まで投資とは無縁で生きてきたけど、「株をやると世の中の動きが分かる」という教えを母から聞かされていた事もあり、結婚して夫から株の話を聞いたり、友達がファイナンシャルプランナーの資格を取ったり、じわじわと身近な存在になりつつあった。

けれど、家にある投資関連の本を読めば高木ブーばりに眠くなるし、池上さんの分かりやすい説明を聞いても途中で有吉の壁見ようぜってなるし、真面目に自分に取り込もうとするほどに体が「もうええやんもっと歌って踊って楽しいことしようや」と言ってくる。

と、そこで知ったのがこの本。

このイラストを描いている漫画家経由で知ったのですが、著者プロフィールをみる限り土壌や考え方が自分に近そうだったし、何よりタイトルへの共感がすごかった。

コロナ禍のあれこれで加速してる気がするけど、未来が良い方向に向かっている実感が全くと言っていいほど得られない。いやちょっとはある。SDGsとか、テレワークとか。
でも、楽なことばかりを選んで何とな〜く生きてたら、何とな〜くちょっと悪い、もしくはめちゃくちゃ悪い未来になる気がしてる。

私も未来に対して何か出来るのかな?と思って手に取ってみた次第。

ざっくりとした中身の話

本当にざっくりとですが…前半は「お金の性質」について。

最初に私がお金を使った記憶は小学校低学年。母親に自動販売機にお金を入れさせてもらった時な気もするし、駄菓子屋のような気もする。
それが10歳未満だとして、そこから25年以上経ってるとお金については十分な知識がある気になってるし、めちゃくちゃ使いこなしてるような感覚もある。

その思い込みを一回べりべりと剥がして、客観的に「お金」とやらについて学ぶところから始めます。


後半はいよいよ「投資」の話。

著書が行ってる投資のスタンス、やり方、手段について具体的に。
初心者向きっぽいので既にバリバリやってる人には向かないかも。でも前半と同様、使いこなしている人が初心に戻るためのスイッチにはなりそう。


よくあるHOWTO本ではなく、ノリはかなりエッセイ。んでもって、文体もいい塩梅に軽い。おかげさまでめちゃくちゃ読みやすいし、身近な例え話でもって説明するのですごく分かりやすい。
海外で実際に行われていた経済の実験も紹介していて、「こんな事があるのか!こうしたら、人ってこうなるのか!」と、知識や発見も得られた。

未来は僕らの手の中、と思った時に明るい気持ちになった。

パンクと投資って対極にあるように思えるけど(ボロボロのファッションやざらっとした音質からはお金の匂いがしない)、パンクの「Do It Yourself」の精神は生きる上で何にでも当てはめられる。
この言葉さえ懐に忍ばせておけば、どうとでも生きられそうな明るい気持ちになる。

高校の時に流行ったダメージジーンズ。理想の色落ち具合と破れ具合を求めてアメ村を探し回った。今思えば、破くぐらいは自分でも出来たような気はする。
去年の夏、部屋の隙間にちょうどよくはまる本棚が売ってなくて、ホームセンターで材料を集めて自作した。案外簡単で、出来る事が増えるのは世界が広がることだと思った。

この本を読んで、未来を変えることもその延長線上と思えるようになった。「未来は僕らの手の中」、まさにあれ。読んでいる間ずっと明るい気持ちだった。


未来を明るくしてくれそうな会社に投資することで力=資金になれる。一人の力ではか細いけれど、それをたくさん集めて大きな力にするのが投資。
また、「あなたを応援してますよ」という気持ちも伝えられる。お金の向こうにそこまで考える企業がどれぐらいあるのかは分からないけど、応援されてると思えることは強い。

お買い物もクラウドファンディングもそうだけど、お金に意志をもたせる事が出来る、という事を、何とな〜く自分でもやり始めてはいたけれど、自覚的になれました。
自分のお金を使うから自分ごとになるし、世界への感度も高くなる。投資を始めたら色々と視点が変わりそうな気がする。期待。

自分なりのファイティングポーズの取り方が少し分かったのはものすごく大きな収穫です。世の中的に不安な気持ちが強い今、ちょうど読むべき本でした。
夫にこの本の話をしたらかなり近い感覚で株をやっているようなので、せっかく一番近くに頼れる先生がいる事だし、今年はチャレンジしてみようと思います。

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