『ファンベース』 ちょっとプランニングできたなぁと思った後に読む本。

** ファンとは「企業やブランド、商品が大切にしている『価値』を支持している人」のこと。**

単期施策のキャンペーンと、中長期施策であるファンベースを連携させて全体をプランニングすることで顧客のLTVを高める。

それぞれの部署や個人の頑張りが孤立して存在し、ブツ切りになっている単発施策、キャンペーンを意識的に繋げて、好意を持ってくれた人のLTVを高めて資産化することが必要。

念頭に置くべきは、ファンは未来を見てブランドを支持しているということ。ブランドに求められるのは、そういうファンとともに変化・成長し、未来の価値を創ること。クラブにとっても同じことが言える。

ソニーのデジタル一眼レフの例:
P3という3ヶ月に3回は必ず消費者とコミュニケーションをとる施策
①メールマーケティングで、高度なユーザーから初心者までレベルに応じた多様なコンテンツを提供。②顧客同士のコミュニケーション促進。 更にリアルな体験会・講座などを行い、リアル拠点でのコミュニケーションでO2O施策としても成立。

リーチの量からリーチの質へ

今やインフラとなりつつあるSNSの利用者のうち、約20%のヘビーユーザーが全利用時間の80%を占有している状況。

世の中のインフラのようなSNSにおいても、実態は一部のヘビーユーザーが頻繁利用しているような状況で、ちょっとバズったからといって明日もしくは明後日までその情報を覚えてくれている保証はない。

そんな状況では、拡散を狙ったバズ施策を展開するよりも、ファンとブランドの結びつきを強めてファンからオーガニックに質の高いリーチがとれるメディアとしてSNSを活用するのが効果的。

ファンベースでおさえるべき基本事項。

・価値に対する「共感」を強くする
・特別な体験にする、価値への「愛着」を強くする
・評価・評判を高めて「信頼」を強くする

伝わりにくい時代の中で、「伝えたい相手は誰か」を定めてフェーズ別にどうアプローチをしていくかをプランニングすることが出発点。

*ファンの支持を強くするアプローチ

『共感』
自社の大切にしている価値は何か。
自社が大切にしたいと考えている価値とファンが共感している価値のギャップに気付き、埋める事が必要。

そのために、

1、「ファンの言葉に傾聴して、フォーカスする」
→ファンの声にこそまだ気付いていない共感ポイントが隠れている。

2、他のファンのオーガニックのクチコミに触れて「ファンであることに自信をもってもらう」 

3、「ファンを喜ばせ、新規顧客よりも優先する」

具体施策の例として、ファンミーティングがある。
顔が見えない新規客ではなく、顔が見えるファンを相手にすることは顔が見える者同士の人間のつきあい。
全体の20%ほどのファン、その中の更に4%ほどのコアファンの声に耳を傾ける。彼らに情報を一足先に伝えることも大切。

『愛着』
**他に代えがたいストーリーやドラマがあるもの。 **

1、商品にストーリーやドラマを纏わせる
創業ストーリーや苦難のストーリー、開発秘話など。
モノの背景に「人」がいることをどうやって感じさせるかがポイント。

2、ファンとの接点を大切にし、改善する
SNSなどの接点は日々の愛着を強めるために重要で、ファン本位に、ファン目線で運用を改善していくことが大切。

3、ファンが参加できる場を増やし、活気づける
ファンになってくれた人に行き場をつくり、想いを共有するコミュニティを作り、活性化させる。

『信頼』
誠実、透明性は当然として、ファンだけでなく社員の信頼も大切にして最強のファンにすること。
ミッションやビジョンの共有が必要だけど、朝礼で唱和するとかではなくワークショップなどで自分たちの志を再確認すること。

*更に一歩踏み込んだファンベース

コアファン≒身内のような存在
全体の顧客のだいたい4%くらいのコアファンの存在は大きく、まだファンではない人たちを熱心に口説いてくれたり、共感が熱狂に、愛着が唯一無二に、信頼が応援へと変わるファンベースの核になる存在。

共感→熱狂

全体の4%ほどのコアファンを巻き込むこと。
地域密着のプロスポーツクラブなどは、この存在を見つけやすいと思うけど、新規顧客や離反しそうな顧客に多くの手をかけ、ここのコアファンに対しての施策が足りない気もする。
今よりもしっかり向き合い、身内のような存在としてもてなすことで、より新しいファンを連れてきてくれる可能性もある。
アンバサダー的な存在。

アンバサダープログラムを実施する企業も多いが、上手くいっているブランドは少ないような気がするけど、その理由として不特定多数の目に見えない利用者を対象としていることが原因だと思う。

ファンをアンバサダーとして任命して、依頼するだけというやり方は、”ファンだから自発的に発信してくれるだろう”というブランド側の思い込みにすぎない。
役割を任せられて、サポートされ、意見を求められたり招待されたり、身内として扱われることで「伝えたい」という気持ちが芽生えオーガニックのクチコミをしてくれると思う。

愛着→唯一無二

忘れられない感動体験をつくる。
コアファンと共創する。

誰かに話したくなる感動や体験をすること、更に大衆向けではなく、自分向けのおもてなしによる感動は愛着を強める。
また、自分自身が関わったり、意見したり、共に創る体験をしたものへの愛着は唯一無二のものへと昇華させるきっかけになる。

信頼→応援される存在になる

人間をもっと見せる、等身大の発信を増やすことで応援したいと思ってもらうこと。もちろん、人がメディアに出ることで批判が発生することもあるけど、大事なのは全員に好かれることではなく、ファンからの信頼を得ること、より親近感をもってもらうこと。

これらのファンベース施策を組み合わせることで、より顧客との結びつきを強める。ファンはどれだけ情報過剰な時代でも、自分がファンであるブランドやファンのキャンペーンには注目してくれる。だからこそファンの声を聴く傾聴は重要。ブランドが発信する価値が、彼らの支持する価値と近ければ近いほど共感を伴って情報が拡散していく。

時間がかかるのではない。じっくりと「時間をかけたい」のである。
手間がかかるのではない。丁寧に真摯に「手間をかけたい」のである。
手離れが悪いのではない。楽しいから「手を離したくない」のである。
効率が悪いのではない。できるだけ長く「労力をかけて付き合いたい」のである。

クラブに入って最も大切だと考えるファンベース。
1、スモールスタートかつ手作りでもまずやってみる
2、時間をかけて一人ひとりと向き合う
3、ゆっくり、少しずつ変化する過程を楽しむ

一気に成果を出すことは難しいけど、目に見えて変化させられることも沢山ある。




よろしくお願いします🙇‍♂️