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#3 時代で変わる履歴書様式


こんばんは。
明日から7月、1年の折り返しですね。
すでに暑さにやられていますが、夏はこれから。
下半期もなんとか乗り切りましょう!


さて今回は、時代で変わる履歴書様式について書いてみたいと思います。


時代で変わる履歴書様式



転職や就活で必要となる履歴書。実はその様式は、数年ごとにリニューアルされているのをご存じでしょうか。
インターネット上には様々な様式の履歴書テンプレートがあり、どれを使えば良いか迷う方もいらっしゃると思います。正直なところ、先方からの指定がない限りどれを使っても問題ありません。ただし、履歴書様式がリニューアルされるということは、何らかの背景があります。

令和2年7月、トランスジェンダーの当事者やNPO団体から経済産業省へ、履歴書の性別欄削除を求める署名が提出されました。この要望を受け、これまで一般的とされていた日本規格協会の公式サイトからJIS規格の履歴書様式例が削除されたため、令和3年4月に厚生労働省が新たな様式を発表しました。

令和6年6月現在、厚生労働省から発表されている最新版の履歴書はこちらです。

令和3年4月発表



以前と大きく変わっている点は3か所あり、

①性別欄
②通勤時間
③家族の状況(配偶者・扶養家族数・配偶者の扶養義務)


です。

今までも何度か履歴書の様式はリニューアルされており、過去には「本籍地」「家族の勤め先」等を書くことが当たり前とされていました。驚きですよね。



①性別欄


まず性別欄に関して、性差別の禁止や性自認の多様性を考慮し、男女の選択肢が取り下げられ、任意記載となりました。これは時代に即した対応だと思います。
実際、私が経験してきた相談業務の中でも、性別に関する違和感やお悩みをお持ちの方が多くいらっしゃいました。
今まで声に出して言えなかったことも、社会が変わることで声にできるようになっていることはとても良いことだと思います。性別に関わらず適性や能力を公平にアピールできることも社会的に一歩前進した証だと感じます。

ただし今後、多様性の声が高まれば高まるほど、性別欄が完全撤廃される可能性もあると考えています。LGBTQへの理解が進んでいる欧米では、履歴書で性別を問うなど論外、顔写真も不要です。日本はまだまだ改善の余地がありそうですね。



②通勤時間


こちらは完全撤廃されています。その理由としては、プライバシーの問題、また採用には関係ない情報だと判断されたのではないかと思います。交通費などの関係からなるべく近くにお住まいの方が良いと考える企業が多いと思うので、企業側からすると少々不便になったのではないかと感じます。
ただ、今の時代GoogleMapなどに住所を入れればすぐに経路が出るので、そこまで重要な情報ではないかもしれませんね。



③家族の状況(配偶者・扶養家族数・配偶者の扶養義務)


こちらについても完全撤廃されています。これに関しては、昔から何のために必要なのだろうと感じていました。ただ、国の助成金が絡むと、この情報が必要になります。たとえば、配偶者がおらず扶養家族(子供)がいる方であれば、(他の条件もいろいろと当てはまれば)企業が国から助成を受けられる場合があります。また、企業は健康保険や手当支給手続きをする上でこちらの情報が必要となるでしょう。
ただし、あくまで履歴書は採用のための書類です。採用の基準である「本人の適性や能力」には関係ないですね。

その一方、家族の状況を事前に知らせておきたい方もいると思います。その場合は本人の希望記入欄に記入しましょう。例えば、「水曜日は保育園へ子供の迎えがあるため、18時までの勤務を希望いたします」といったような具合です。どうしても事前に伝えておきたい場合は、必ず求人票に書かれている勤務時間を満たす範囲での希望時間を伝えるようにしましょう。


採用選考基準の変化


履歴書の様式がアップデートされていることからわかるように、採用選考基準は時代に合わせて変化しています。
公正な採用選考を行うにあたり、企業側は以下の点に配慮が必要とされています。


次の①~⑪の事項について、応募用紙(エントリーシートを含む)に記載させる、面接時において尋ねる、作文を課すなどによって把握することや、⑫~⑭の事項を実施することは、就職差別につながるおそれがあります。
① 本籍・出生地に関すること
② 家族に関すること(職業・続柄・健康・地位・学歴・収入・資産など)
③ 住宅状況に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
④ 生活環境・家庭環境などに関すること
⑤ 宗教に関すること
⑥ 支持政党に関すること
⑦ 人生観・生活信条などに関すること
⑧ 尊敬する人物に関すること
⑨ 思想に関すること
⑩ 労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること
⑪ 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
⑫ 身元調査などの実施
⑬ 本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用
⑭ 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
(注1)「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることは①の事項の把握に該当することになります。
(注2)「現住所の略図等」を提出させることは、③④などの事項を把握したり、⑫の「身元調査」につながる可能性があります。
(注3)⑭は、通常、採用選考時において合理的・客観的に必要性が認められない「健康診断書」を提出させることを意味します。



企業側はこのような事項を把握した上で採用選考に臨み、応募者との信頼関係構築に努めましょう。また応募者もこの情報を念頭に、適切な選考が行われているかを確認しながら選考に臨むと良いでしょう。


まとめ


今回は、時代で変わる履歴書様式と採用選考基準について書きました。

一昔前の採用選考において当たり前のように聞かれていた質問も、現在では就職差別に該当する場合があります。依然として根掘り葉掘り聞いてくる企業もありますが、大企業など法令順守を重視する企業ほど採用コンプライアンス意識が高く、問題のある質問は避けられる傾向にあります。もし選考に際し不適切な質問があった場合には、その質問の意図を聞いてみることをおすすめします。またあまりにも酷い場合には回答を拒否することもできます。

ただし、選考に関係のない質問に思えても、実は求職者の「適性や能力」を知るための質問である場合もあります。あらゆる質問には意図が隠れているものです。なぜその質問がなされているのか、その意図を汲み取る力が大切です。そのためには日頃から、あらゆる物事の背景や目的に着目してみてください。すると目に見える情報以上の「意図」が見えるようになり、コミュニケーションの質も向上します。

応募者・企業の双方が気持ちよく働くためには、適切な質問と適切な情報開示への意識が大切です。良好な人間関係のもとで気持ちよくお仕事をするため、企業との出会いとなる履歴書であなたの想いを気持ちよく伝えましょう!

ご覧いただきありがとうございました!


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