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『MOTHER マザー』

7/3(金)に公開した話題作『MOTHER マザー』。早速公開日に見にいってきました。

コロナ禍で映画館が軒並み閉館、公開予定の映画が公開延期と続く中で、自粛明け満を持して公開の先陣を切ったのが『MOTHER マザー』でした。


話題作と言われたのにもいくつか理由があります。

ひとつは、実際に起きた17歳の少年の祖父母殺害事件から着想を得ているところです。なぜこの事件が映画の題材として取り上げられたのかというと、17歳の少年は不良少年というわけではなく、勉強意欲の高い "普通の" 少年だったからです。少年が事件を起こした背景に、母親という存在がありました。

2つ目は、その少年の母親を長澤まさみさんが演じるという点です。ネット上では「新境地」「こんな長澤まさみ見たことない」と、公開前からそのイメージとのギャップに注目を集めていました。


3つ目は、実際に事件を起こす少年の役を、本作がスクリーンデビューの奥平大兼(おくだいら だいけん)さんが演じることです。


といった具合で、公開前から前評判も高く、ネット上でも『MOTHER マザー』の公開を楽しみに待つ人が多くいました。


まず、この映画を見た後の1番の印象は、「落ちるところまで落ちた長澤まさみの衝撃作爆誕」でしたね。まさに。新境地と云われる理由もわかりました。あの美しく綺麗な面影は1ミリもなく、社会の底辺を這いつくばって生きている泥臭い母親でした。

そして、本作がスクリーンデビューの奥平大兼さん演じる周平。見てて本当に切なくなりました。誰か周りの大人が彼に救いの手を差し伸べていたら、そして彼がその差し伸べられた手にしがみついていたら。見た後にたらればが止まらない。奥平さんの演技も素晴らしいかったです。自分には母親しかいない。母親が全て。そう目で訴えかけてました。

そして、周平が事件を起こするという最悪の結末を迎える本作ですが、元凶である母親はじめ、周平を取り巻く人間の「弱さ」が事件を引き起こしたと私は考えます。詳しくは言えませんが、いろんなシーンで人間の、大人の「弱さ」が垣間見えてます。


エンドロールが終わって、映画館が明るくなった後に、しばらく立ち上がらなかったのは初めてです。見た人の心に強烈なインパクトを残してくれます。

見た後に、いろんな人から「良かった?」と聞かれますが、こればかりは人になかなかオススメできません。とてもいい作品であることに間違いないのですが、なんせストーリーが重すぎるし、悲しすぎます。

ただ、世の中に強烈なイメージを残すには充分な作品です。これを見た人は、他人事で終わらすのではなく、やはり少しでも自分のこととして考えていく必要があるのではと思いました。長澤まさみさんが「大人と言われる人たちに見てほしい」とおっしゃってたように、大人が見て、何か感じて帰る必要がある作品だと。


作品を見た方は、ぜひ、たくさん考えてほしいです。


【追記】

Filmarkにも感想を残してますので、よろしければそちらもご覧ください。