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ソニーがEV(電気自動車)市場への参入を検討しているようですね。「自動車部品大手などと連携して車両を開発・生産し独自ブランドでの販売を視野に入れる」(日経新聞1月5日)
これまでもアップルカー(検討中)や中国のファーウェイ、台湾の鴻海などスマホ・メーカーのEV参入はニュースになってきたのでソニーが参入するのも時間の問題だろうと思っていました。もっともソニーはこれまでaibo(アイボ)など「AIとロボティクスの組み合わせ」を商品化しているので、単なる「走るスマホ」ではなく、一味違ったEVビジネスになるのではないかと期待しています。

ただ今回の事業領域がクルマだということが個人的には気になります。それは「安全性」です。パソコンやスマホなら使用中に「フリーズした」などというのも想定内ですが、クルマでは絶対にあってはならない。何もソニーに限った話ではありません。人命にかかわる商品だという自動車ビジネスの大前提は大丈夫だろうかという素朴な疑問です。世界の自然環境変化、例えばゲリラ豪雨のなかを走っていてスマホ・メーカーの作るクルマは大丈夫だろうか。豪雪で高速道路が動かなくなった時、車内のエアコンを使うと電池の持ちは大丈夫だろうか。ドライヤーのように電気を喰うのではないか。ヒーターが使えなくなったら凍死するんじゃないのか。おそらく自動車メーカーであれば「想定内の安全リスク」も家電メーカーには経験値のない問題が多いのではないかと思います。アップルが「アップルウォッチ」はすぐに出してもクルマはなかなか出さないのも、本当はこのあたりに理由があるのではないかと考えていました。

人の命にかかわるというのは、本当に責任重大で「間違ってはならない仕事」だと言えます。「吉田社長(ソニー社長)は安全第一であることは変わらないと強調している(日経新聞1月5日)」ので、既に安全性とリスクの検証をやっているでしょう。ただ「どのあたりまで想定しているのか」。当然のように時間がかかるし、儲けや競争を超えた課題でもあります。ソニーが作るのだからソフト・オリエンテッド、エンターテインメント性があってITテクノロジーを駆使した「面白いEV」になると期待していますが、それ以上に「当たり前価値」である「安全の担保」が気になるところです。