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ブランド&マーケティングの教科書コラム

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ビジネスパーソンが知っておきたいブランドやマーケティングの一般知識、実務的な専門知識を月・水・金曜日にアップします。
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#インサイト

固定観念が出来上がっている事業ブランドの変革

ロングセラー・ブランドの悩みと言えばこれだと思います。かれこれ30年も続いているブランドをあらたに担当すると、いろいろな綻び(ほころび)や経年劣化が見られるものです。そしてそれに着手しようとすると、驚くことに社内の保守的な圧力が想像以上に強いことを思い知らされます。たいていは「変えることへの恐れ」を「これを好む消費者がいるから」という文脈に変換して語られます。今回はそのような「固定観念が出来上がっている事業ブランドをどのように変革するか」の話をしましょう。まず言えるのは変革し

ゲームを再定義するアプローチ

「ふとるがかち」という言葉をご存じでしょうか。これは「不取るが価値」と書きます。顧客には「不」という字がつくものがたくさんあります。不安、不満、不便、不都合、不経済。これらの「不」を取り除いてあげると「価値が生まれますよ」つまり「お金がもらえますよ」という意味です。僕はインサイトのコツは「不」を見つけることだと考えています。目の前の顧客をじっと見て「あなたはこれに困っている(不)でしょう」と見抜くことです。これはビジネスの普遍的なアプローチだと言えますが、長くその仕事をしてい

ブランド投資の対象になるもの

魅力的価値という言葉をご存じでしょうか?拙著「The Concept/一生使えるコンセプトの教科書(水野与志朗著/KDP出版)」で紹介したものです。ブランド投資をするコンセプトは魅力的価値を備えてなければなりません。そこらへんにあるようなアイデアやコンセプトに投資しても、そもそもブランドになどなりません。魅力的価値を簡単に説明すると「これまでも不便ではなかったが、これが出てきて生活が変わった。いままでのものが古く見える。こんな便利なものを知ってしまったら、もう昔には戻れない」

インサイト/顧客の価値観

今回はインサイトの話を少しばかりしましょう。ブランドが成功し繁栄しつづけるには製品ありきの発想や、言いたいことを一方的に言う売り手主体のコミュニケーションを戒める必要があります。そして顧客の価値観を大切にしたマーケティングを行うことが重要です。なにをいまさらと思うかもしれませんが、出来ていない会社は多いと思います。売り手主体のコミュニケーションは個人的な状況を考えるとわかりやすい。ひとは自分の価値観に基づいて相手に話しかけるものですが、相手の価値観がこちらと違っていれば、それ

新規事業立ち上げのコツ②

いま新規事業開発のプロジェクトを3つ、請け負っています。それぞれ業界もテーマも違いますが、僕自身はどれもワクワクしています。クライアントのプロジェクトチームの方々も同じように感じてくれていると思います。何がそんなに楽しいのだろうか。ふと、そんなことを考えてみました。その答えは「未来」「わからない」という要素を含むからだと思います。ここに「第一の楽しさ」があります。僕自身はこれまで何度もやってきた確立されたメソッドでチームを牽引しています。しかし扱う素材(テーマ)は毎回違います