[PRキャッシュ]課題明確化と方針策定で最適なアクティビティを特定する
今回も大事な大事なコミュニケーション企画立案の話です。
PRキャッシュの考え方では、というよりも一般的に、戦略>戦術>オペレーションという順序で企画立案をしていきますが、「戦略」や「戦略構築」という言葉は使う人の視座や視野で異なるものを指す場合があるので、この稿では「課題明確化と方針策定」という言葉を使わせてもらいます。
そもそもコミュニケーション企画立案とは?
そしてコミュニケーション企画立案というのも人によってさまざまに使われている言葉ですよね。
「メディアを選定することだ」と言う人もいれば、「コンテンツアイデアを考案することだ」なんて人もいます。
が、誤解を恐れずに言えばわたしはこれらを「コミュニケーション企画立案」と呼ぶことは間違いだと考えています。
コミュニケーション企画立案とは目的などの与件・環境に対して「課題明確化と方針策定」によって最適なアクティビティを特定する作業です。
ここで一部に反論・疑問があるかもしれません。
「最適なアクティビティを特定する」というところは同意できても、「課題明確化と方針策定」なんてほんとに必要なのか?と。
この反論・疑問への回答は
必要です
ということになります。
「課題明確化と方針策定」のないものは「企画立案」とは呼びません。
下の図をごらんください。
企画立案に着手したばかりの状態では、アクティビティ候補の数は無限にあります。が、一般的に、かけられるリソースのほうは有限ですので、どれかを選択せねばなりません。
ここで「課題明確化と方針策定」を行わないとしましょう。
その場合は「経験則」なのか「気合とセンス」なのか「好き嫌い」なのか「自分の持ち物」なのか、まあなんでもよいのですが平たく言えばあてずっぽうにアクティビティを決めることになります。
世の中にはあてずっぽうが大好きな人もたくさんいるので、関係者全員があてずっぽう大好きであればそれでよいのですが、たぶんそうでないケースのほうが圧倒的に多いので、なにかしら合意形成をせねばなりません。
そのときに強力なツールとなるのが「課題明確化と方針策定」です。
「課題明確化と方針策定」を行うことで、合理的にアクティビティを特定することが可能なのです。
「課題明確化と方針策定」の実際
上の図では一件の企画立案における「課題明確化と方針策定」は1回だけ行うように描かれていますが、実際にはここまで単純ではありません。
企画立案における目的・与件が大きなものになればなるほど、領域を特定し、思考の範囲を狭めねばならない瞬間が多く発生します。
そしてその際にはいつでも「課題明確化と方針策定」が行われるべきです。
一件の企画立案では、しばしば、コミュニケーションキャンペーンの特定、段階分けと各段階の定義(いわゆる「フェージング」)、各段階における施策群の特定、個別施策の特定、など、上位から下位への範囲の絞り込みが行われます。
この絞り込みの際にはいつでも「課題明確化と方針策定」を行うべきでしょう。
どこかひとつでも「あてずっぽう」が侵入してしまうと、企画全体があてずっぽうになってしまうからです。
「課題明確化と方針策定」はどの段階でも行わねばならない
こういう反論があるかもしれません。
「自分はメディアプロモーターなので課題明確化と方針策定は必要ない」
いえ、必要です。
このような反論は「課題明確化と方針策定」を大げさなものだとする誤解や偏見から生まれるのかもしれませんね。
通常、メディアプロモーターに仕事が依頼される段階では、コミュニケーションキャンペーン全体の課題は明確化され、方針は策定済みで、かなり具体的な活動テーマが与えられていることが多いでしょう。
たとえば「とにかくテレビの情報番組の露出を獲得してくれ」といったような。
であれば、「とにかくテレビの情報番組の露出を獲得する」ための課題を明確化し、それを解決するための方針を策定すべきです。
たとえば「情報番組での露出のためには題材を明瞭に理解させるためのキーワードが必要」というような課題があるかもしれませんし、それを解決するために「関係者が同意し、かつ番組制作サイドが興味を持つキーワードを作ろう」という方針が生まれるかもしれません。
最上位の課題を把握することで各段階の課題明確化をスムーズに
最後にとても重要なことを。
ということは、コミュニケーションビジネスに携わる人は誰でも「課題明確化と方針策定」をせねばならないということになります。
その一方で、企業・団体・組織全体のコミュニケーション課題を明確化する仕事というのはそうそうあるものではありません。
では企業・団体・組織全体のコミュニケーション課題に無頓着で良いのか?というともちろんそうではありません。
自らに課された領域の「課題明確化と方針策定」は必ずその上位で狭められた方針の範囲内で行われる必要があります。
その方針を理解し、それが導き出された課題の把握はむしろ必須と言えるのです。
そう考えるとコミュニケーション企画立案というのは実は狭められた領域の中でさらに領域を狭める作業なのかもしれません。
一般的には「拡散」「広がり」を伴う作業ってイメージが強いですけどね。
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