AI時代の最強のビジネスモデル〜倫理〜
BMIA常務理事 三宅泰世
2つの「倫理」をベースにしたビジネスモデル
『分身ロボットカフェ DAWN ver.β』は、吉藤オリィ氏とその親友の番田さんの会話から始まったカフェです。番田さんは、4歳で事故に遭い、それ以来20年以上寝たきりで、学校にも行けず、友達もほとんどいません。吉藤オリィ氏の大切な親友です。そんな二人の会話から生まれたアイデアです。
「将来、カフェを開こう。私が料理をするから、番田がサービスをしてくれる。そして、自分自身を介護できるようにしよう。」「いいね。買い物にも行こう」
このやり取りから始まったのが『分身ロボットカフェ DAWN ver.β』です。残念ながら、番田雄太さんはカフェがオープンする前に亡くなってしまいました。
もう一つのビジネスモデルは「ヘラルボニー」です。知的障害の兄を持つ松田兄弟が作り上げたビジネスモデルで、知的障害者のアート作品の使用権を中心に展開しています。
異彩を放て。
このコピーのもと、さまざまな異彩をさまざまな形で発信し、福祉を基盤に新たな文化を創造しています。JRやJAL、Disney、ペニンシュラなどの大手企業とのコラボレーションも次々と生み出されています。
ネクタイやシャツなどのファッションアイテムの価格は、ハイブランドにも引けを取りません。その素晴らしさは、ハイブランドと遜色ありません。
この2つのビジネスモデルの強さやメカニズムは、どのようなものなのでしょうか?
ワークショップで行われた具体的なアクティビティやセッション
10:00 :オープニング
10:30 :あなたの「倫理」とその物語
11:00 : あなたの会社、部署のビジネスモデル・キャンバス
12:00 : ランチブレイク
13:00 : 『分身ロボットカフェ DAWN ver.β』のビジネスモデル
14:00 : 「ヘラルボニー」のビジネスモデル
16:00 : ティーブレイク
17:00 : 「がん患者を家族に持つ方のためのケア」のビジネスプランとマーケティングコンテンツを生成型AIで作成する。
17:45 :気づいたこと、難しかったこと、これからどうする?
18:00 : クロージング
生成AIがもたらす影響
今回はテーマを「倫理」と「AI」に据えたオリジナルOneDayを描き下ろしました。 生成型AIが登場したことで、私達のビジネスの世界は一変してしまいました。しかしながら、生成型AIを使いこなしていく人とそうでない人の差は歴然としています。生成型AIを使いこなす人は、好奇心があり、探求をしていく人です。その人が何かを作り出そうとするときに生成型AIは最高の相棒になります。そうでない人は、「指示待ちタイプ」の人でしょう。残念だけど、そういう人たちの仕事はAIやRPAなどにより代替されていくことになるでしょう。
一方で、生成型AIの登場によって、ビジネスプランを作成する時間は量子化したように感じます。何時間もかかっていた事業企画書は、2時間足らずでほとんどかけてしまいます。プロの作家が何ヶ月もかけて書く書籍は、今まで出版したことがない人でも1ヶ月で出版会社に持ち込めるレベルの11万文字の原稿が書けてしまいます。
それでは、わたしたちは何を拠り所にして、人生の指針やビジネスを考えていくべきなのでしょう? それは「倫理」です。あなた自身の「倫理」はあなた自身の人生の物語です。AIには倫理はありません。そして、倫理から作り出されるビジネスモデルは最強だと今回のOneDayワークショップで紹介し、その理由、メカニズムを参加者とともに探求し、その探求で得た知恵を個々人が持ち帰り、明日からの人生に活かしていく。そんなワークショップでした。
BMIAでは、これからもテーマ別のワークショップを開発しお届けしていきます。ぜひ参加してください。
三宅泰世
NTTアドバンステクノロジ株式会社 マーケティング部門 部門長
国立大学法人長崎大学 研究開発推進機構 FFGアントレプレナーシップセンター ゲスト講師
相模女子大学大学院社会起業研究科 兼任講師
FORTHイノベーション・メソッド公認マスター・ファシリテーター
1999年特許発明から光ファイバ通信関連プロダクトを開発。NTTグループで初のダイレクトマーケティングを導入 し20年以上収益逓増するグローバルビジネスに成功。2019年よりSalesforceを全社導入。NTTグループでダントツの定着率を実現。コロナ禍でも7期連続の増収増益に貢献。Salesforceを用いた全社DXによる経営改革は、アレックス・オスターワルダーのマルチレイヤ・イノベーションにインスピレーションを得たことで成功した。
東海大学通信工学科卒業。経営学修士。光コネクタクリーナーの特許発明を発端にダイレクトマーケティングや代理店マネージメントにより32歳で世界シェアトップのビジネス化に成功。特許発明からのグローバルビジネスの成功事例はNTTグループだけでなく日本でも希少。しかし、学歴差別や底辺社員の成功を当時の企業文化は許容せず成果は略奪され、新規事業開発部すなわち”追い出し部屋”に左遷。上司であった事業部長等がばらまいた嘘で以降、何年も誹謗中傷を浴び続けることになる。
2008年 改革派の社長が就任したことを契機に、社長直轄のマーケティングチームを開設。
社内改革をすすめる活動が、「ビジネスモデル・ジェネレーション」の帯にコメントをいれてくれた神田昌典氏の著作で何度も紹介されることで、NTT研究所、NTT東日本、NTTドコモ、総務省、教育機関からビジネスモデルデザインのワークショップや新規ビジネス開発のコンサル依頼があとを絶たなくなった。
2017年 マーケティング部門 部門長に就任
2019年 NTTグループで最も理想的な形で全社にSalesforceを導入。NTT グループでダントツの定着率を達成しマルチレイヤーイノベーションによる全社DXに成功している。
(文責:三宅泰世/写真:三宅泰世、山本伸)
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