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イーロン・マスクによる買収でTwitterのビジネスモデルはどう変わるか

イーロン・マスクによってTwitter社が買収された。その後の大胆なレイオフのニュースは、大きな話題を呼ぶことになった。一説には社員の半分に当たる3700人を解雇したのだという。

イーロン・マスクのツイートによれば、一日400万ドル(6億円くらい)の赤字を出している状態で、やむを得なかったという意見も多い。

しかし注目すべきはこうしたコストカットの部分だけではない。イーロン・マスクが、事前告知なくはじめた全体ミーティングの内容が話題になっている。その中では、Twitterのめざすべき方向と直近の取り組むべき内容などが語られており、ここからTwitterの未来を垣間見ることができる。

決済プラットフォーム化とクリエイターに対する収益化

ここで注目しておきたいのが、決済プラットフォーム化の話である。Twitter上での決済が行われていない状況では、Twitterにクレジットカードを登録する意味はほとんどない。イーロン・マスクはまず、そこを変えようとしている。

Twitter社から認証を得るのに月8ドルという金額が注目されているが、イーロン・マスクは会議の中で、「8ドルは重要ではない」と語っている。これは、Twitter社の収益源というだけでなく、クレジットカードを登録させ、TwitterからBotなどの偽アカウントを排除し、同時にクリエイターのマネタイズがなされるプラットフォームへと移行するためのステップなのだ。

このビジネスでまず大切なことは、ユーザーに対し、Botなどに煩わされない良質な情報を提供し続けるプラットフォームになることである。ミーティングの中でマスクは、「Twitterで1時間過ごしても後悔しないようなものにしたい」と語っている。

もうひとつのポイントは、クリエイターにとって魅力的な収益機会となっているかということである。「YouTubeやTikTokで稼ぐのと同じか、少し多いくらいの収入を得られるような選択肢を提供する必要」と語る。そうして魅力的な収益機会を提供できれば、質の高いコンテンツが増え、ユーザーも増えていく。こうした好循環が回り始めるだろう。

ユーザーとクリエイターのツーサイドプラットフォームとしてのTwitterのビジネスモデルの再定義に、決済機能は欠かせないのである。

Twitter社に加わる新たなビジネスモデル

小山龍介

一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会 代表理事

京都大学文学部哲学科美学美術史卒業。大手広告代理店勤務を経て、米国MBAを取得。松竹株式会社にて歌舞伎をテーマにした新規事業立ち上げに従事。2010年、株式会社ブルームコンセプトを設立し、現職。メンバーの自発性を引き出す、確度の高いイノベーションプロセスに定評がある。翻訳を手がけた『ビジネスモデル・ジェネレーション』で紹介したビジネスモデル・キャンバスは、多くの企業で新規事業を考えるためのフレームワークとして採用されている。

2015年より名古屋商科大学ビジネススクール准教授。2014年には一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会を立ち上げ、2020年からは亀岡市で芸術を使った地域活性化に取り組む一般社団法人きりぶえの立ち上げにも携わるなど、アートとビジネスの境界領域での実践を進めている。

著書に『IDEA HACKS!』『TIME HACKS!』などのハックシリーズ。訳書に『ビジネスモデル・ジェネレーション』など。著書20冊、累計50万部を超える。

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