日本の若者の給料が少なすぎる件について③
ついに第3回まできてしまった本シリーズ。
今回は「最低賃金引き上げは日本を崩壊させる!」という意見について見ていきたいと思う。
こういった意見を述べる人の論法は以下のとおりだ。
最低賃金を引き上げると企業が誰も雇わなくなり失業者で溢れかえるし、中小企業が潰れまくる。
現に最低賃金を引き上げた韓国は今ひどい有様じゃないか!
とこういうのである。
最低賃金を20年間上げ続け、廃業率も失業率も増えていないイギリスのことを完全に隠し無視している点はひとまず置いておくとして、上記の論法について一つ一つ検証をしていきたいと思う。
まず参考として韓国という国がどのような賃金引き上げ政策を行ったのか、また国としてどのような背景があるのかをおさらいしよう。
韓国では2018年に16.4%、2019年に10.9%、2020年には2.87%、3年で約30%の最低賃金引き上げを行なった。
その結果、韓国の失業率が跳ね上がり経済がボロボロになったというもの。
これは果たして本当だろうか。
まず韓国の失業率を見ていこう。グラフの青が韓国の失業率である。
ついでに日本の失業率も黒で表す。
筆者には2014年ごろから漸増しているように見える。それどころか2019年の後半には一時期失業率を3%切っている。(2020年は日本、韓国ともにコロナの影響で上がっている)
このデータを見ると2018年からの最低賃金引き上げが失業率の上昇に寄与したとはとてもいいづらいように筆者は思う。
続いて経済成長率も見てみよう。韓国の実質GDPを以下に示す。
2018年以降もコロナショックまで平均2%以上の上昇率を実現している。これのどこが経済がボロボロなのか。ちなみに日本はこんな感じである。
日本はここ10年GDPがほとんど成長していない。いや、30年くらいしていなかったはずだ。心配すべきは隣の国ではなく自国である。
極め付けは労働生産性である。まずは韓国。筆者にな2018年以降も鰻登りに見える。
対して日本。10年前から労働生産性がほとんど変わっていない。
こういったデータを見る限り筆者にはどうも韓国の経済はボロボロだ、に見えないのである。むしろ大失敗しているのは日本の印象だ。
平均年収もついに近年の統計で日本は韓国に敗北を喫した。統計上はもはや韓国の方が日本より裕福なのである。
確かに2018年の韓国の最低賃金の引き上げはやややりすぎた感はある。あれだけ急激に引き上げるのは確かに危険だ。
ただろくにデータもみずに最低賃金引き上げは日本を滅ぼす!と曰うのは違うと思うのだ。最低賃金の引き上げにはもっと建設的な議論が必要だと筆者は思う。
次回、まとめに入る。
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