エゴイスト

忌まわしい記憶が
こびりついたまま
逃げるように街に
出てきたけれど
時間が経っても
違う意味での苦しさに
心がザワザワしながら
今日も生きている

欲しがりすぎて
得たものの代償が大きくて
薄々は気づいていたけれど
自分はポツンと取り残されていた

人の目が怖くて
ずっと遠くを見ている
量産型になっていくことを
頑なに拒み続けながら日々を過ごしている

ステレオタイプになりたくなくて
違和感を毎日抱えながら
イメージが誇大化する世の中で
傷は音もなく増え続ける

早すぎたのだろうか
求めること自体が
つながりはカラダだけでは
不十分だったことに気づかずに
自分に正直なことは
ときに苦しみにつながる
だから少しでもぼやかすことを
覚えるべきだったんだ

急ぐことは
ないというのに急ぐのは
人とのつながりを
何も知らなかったからで

すぐに自由が
欲しかったあまりに失った
未来がどんなものか
想像すらせずに

羨ましかっただけなのか
それでもなりたいものには
すぐになれると思っていた
けれど甘くなかった

しばらく考えていた
どんな鎧を身に纏えば
誰もが振り返るくらいに
自分は強くなれるのだろうかと

恐れているのは
誰かと同化してしまうことで
紛れてしまうものの多さだ
そんなすべての場所から
少し距離を遠くして
自分がどうありたいのか
生まれ変われることなどない
魂の在処を探している

出逢うことも
肌を重ねることも
容易になった今に
何を思うか

承認欲求に
自分が苦しんでいないか
自問自答が
あてもなく続く

自由なんて
あってないようなものだ
自分というものさえ
失わせていく

目に見える現実が
容赦なく突きつけるのは
理想というものが
脆さ故に自らを深く傷つけるものだということ

だから理想など
安易に描くべきではなかった
これから訪れる現実を思い知るたび
立ち上がれなくなるからだ
理想の誰かになれなかったばかりに
ごめんなさいと謝り続ける
ループはいつまでも続いていく
自分の生が終わるまで


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