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『医者が教えるサウナの教科書』

こんにちは!青い羽のタナカです。
超久しぶりの投稿です。

今回は日本サウナ学会の代表理事を務める加藤容崇さんの著書『医者が教えるサウナの教科書』です!

最近ブーム到来中のサウナについて、医学的な観点での効果や入る際の注意点について解説された一冊です。サウナに対する正しい知識を身につけ、今後の「ととのいライフ」をより良いものにしていきましょう!

1.「ととのう」とは?

サウナブームに伴ってよく耳にする「ととのう」。これは人によって感覚が異なるとされており、「多幸感」「浮遊感」「体の輪郭があいまいになる」「嗅覚や味覚が敏感になる」などと表現される。

これは、サウナ→冷水浴→外気浴と体に刺激を与えることで「リラックス状態(副交感神経優位)にも関わらず、血中には興奮時に分泌されるアドレナリンが存在する」という稀有な状態が生まれることによって起こる。この状態が生まれる理由を、サウナ時の自律神経(交感神経と副交感神経の総称)とアドレナリンの関係を示した下図で説明する。

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①サウナ室に入るとはじめは「温かい」という気持ちよさから副交感神経が優位に働く。

②すぐに「熱い」に切り替わり、交感神経が上昇する。冷水浴の「冷たい」でもこの状態が続き、体は過酷な環境に適応するためにアドレナリンを分泌し、興奮状態になる。

③外気浴を行うことで体が危機を脱したと感じ、直前まで交感神経優位に引っ張られていた分、反動がついて一気に副交感神経優位になる。これにより、普段のストレスフルな状態ではたどり着けないほどの副交感神経優位な状態に達する。また、交感神経優位の時に出ていたアドレナリンは血中半減期の2分間は血中に残っているため、先述した稀有な状態になるのだ。

2.サウナに入るメリット

サウナに入るメリットは「ととのう」ことだけではない。様々なメリットのうち、ここでは3つを紹介する。

・脳をオフらせる

ヤフーCEOの川邊氏を筆頭に、「できるビジネスマン」にはサウナーが多くいる。これは一部、サウナのコンディショニング能力が影響しているからだろう。

人間はぼーっとしている時、すなわち脳が意識的に活動していない時にDMNと呼ばれる脳回路が働いており、脳の7~8割のエネルギーを消費していると言われている。スマホで例えると、使用中のアプリの裏で余計なアプリが動いていて、どんどん電池を消耗している状態だ。これにより脳疲労が溜まり、仕事のパフォーマンスをダウンさせてしまっている。

一方で集中して仕事を行っている時に活性化する脳回路をCENと言う。眠気や空腹など、自分の内なる情報を遮断して外のタスクに集中することができ、エネルギー消費も脳の5%程度と少なくなっている。

DMNとCENは同時に活性化することはなく、一方が活性化するともう一方は不活性化するというシーソーの関係にあり、基本的にはDMNの方が優位に働いている。脳が最大のパフォーマンスを発揮できるようにするためにはDMNの消費量を減らし、CENを活性化させる余裕を作ることが重要である。

サウナでは体が危険を感じ、対処を行うことに全力を注ぐため、余計なことを考える余裕がなくなり、自動的にDMNが低下。結果としてCENが活性化し、集中力を増すことができるのだ。

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・体を作り替える

サウナに入るとHSPという物質が放出される。これは、熱による刺激が加わると活性化される特殊なたんぱく質のことで、紫外線や活性酸素によってダメージを受けたたんぱく質を「直せば使える」「もう使えない」などと見極めて処理し、細胞を修復する働きがある。HSP70はその中でも特に抗酸化力が強く、インスリンの感受性を上げるため血糖値を抑え、食後の眠気防止にも役立つ。

HSPは体の深部体温が38度を超えると大量に分泌される。深部温度はサウナで0.8度上昇、冷水浴で0.2度下落するため、1セットあたり0.6度上昇する計算だ。平熱が36度の人の場合、4セット行うことで38度を超える計算になる。その後HSPの分泌は4時間後まで増え続け、その後2時間で終了する。そのため、サウナ後4時間以内に食事、睡眠を行うことでスムーズに細胞の修復を行うことができる

また、HSPは免疫細胞も作り変えるため、免疫向上にも役立つ。

・医療的効果

アメリカのメイヨー・クリニックのレポートによると、週に1回しかサウナに入らない人と週に4~7回入る人を比較すると下記の効果がみられた。

・心筋梗塞が57%減少

・アルツハイマー病が65%減少

・認知症が66%減少

・うつ病を主とする精神疾患が77%減少

適度な塩分の排出や血管の弾力向上によるものとされている。

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3.正しいサウナの入り方

最後に、正しいサウナの入り方について解説していく。

・サウナの選び方

サウナ/サウナ室を選ぶ際の1つの基準となるのがサウナ室の明るさだ。「ととのい」を追求するのであればサウナ室は暗い方がいい。これは、人は明るい光を見ると日中の活動時間だと判断し、温度のセットポイントを高めにセットするからだ。これにより体は「これから温度があがるぞ」と身構えてしまい、負荷が小さくなり交感神経が活性化しにくくなってしまう。よって交感神経→副交感神経の振り幅が小さくなってしまうのだ。

また、行き慣れたサウナを作ることも「ととのう」上では有効だ。行き慣れないサウナでは人間は若干緊張してしまうため、DMNが活発になり余計なことを考えるようになってしまう。

・サウナ室を出るタイミング

サウナ室を出るタイミングは自律神経の状態をより客観的に把握できる、「心拍数」を目安にするのが最も安全かつ有効だ。目安としては平常時の脈拍が50~60回/分の人は120回/分程度、平常が100回/分ある人は軽くジョギングした際の脈拍を参考にするとよい。

また、体感を目安にするのであれば「背中の真ん中あたりが温まった時」を目安にする。背中の中心は体の深部温度を測るセンサーの役割を持っており、風邪の時に寒気がするのはこのためだ。

汗の量を参考にするのは適切ではない。サウナ室内は湿度と温度が非常に高いため、室温より温度が低い人体の表面には水滴が溜まる、結露のような現象が発生する、このため、体に付着している水滴が汗なのか水なのかを正しく見分けることができないのだ。

・冷水浴の温度

冷水浴時の水温は16~17度が最適である。先述した通り、「ととのう」ためには交感神経を活発にし、アドレナリンを分泌させるため、熱い→寒い等の振り幅の大きな環境変化によって体に負荷を与える必要がある。一方、人体にはTRP受容体という温度センサーが備わっていて、これは16~17度を超えると温度を痛みとして受け取る機能がある。これらから、「快適な(痛みを感じない)範囲のギリギリ」が16~17度なのだ。

温度が低すぎると快楽物質であるドーパミンが分泌されるため、サウナ依存症になる可能性がありおすすめはしない(施設側は売上の観点からそれを狙っている場合がある)。

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・冷水浴のやり方

水風呂には肩まで(可能であれば頭まで)入り、なるべく体が水平になるように浮くことをおすすめする。水風呂は下の方が水温が低くなり、水圧も高くなる。そのため、足元が局所的に冷えてしまい、冷え性の原因になったり、心臓への負担も大きくなってしまう。

水風呂を出るタイミングは脈が正常に戻った時。体感では「呼吸時に気道がスースーする」タイミングがよい。これは、冷やされた血液が体を一周して気道に戻ると、気道表面温と呼気の温度(肺からくる体の深部温度)の差から感じるもので、深部温度を冷やしすぎないために基準となる。水風呂に入ってから時間にして大体1分程度。

・外気浴のやり方

基本的に気持ちよさ優先でリラックスし、副交感神経を活発にさせる。体をなるべく水平にすることで血流をよくし、心臓の負担も減らすことができる。時間にして5~10分程度、体感では足先が少し冷たく感じるようになったら。

・サウナを出たら

サウナを出たらお待ちかねの「サ飯」タイムだが、この時脂っこいものやカロリーの高いものはなるべく避けた方がよい。サウナ後は消化・吸収能力が高まっているため、体に多くの栄養素を取り込んでしまうのだ。

一方、サウナ前の食事も避けるべきだ。消化器は副交感神経系のため、サウナで交感神経優位になると消化不良が発生してしまう。

4.書評

かく言う私もサウナが大好きで、夏休みにはこの本片手に九州までサウナ巡りに行ってきました!僭越ながら、私のベストサウナをご紹介したいと思います。笑

1位:テントサウナ

おい!って感じですが、やっぱり自然を感じながら好みの温度/湿度を調整できるテントサウナは最強です。笑

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2位:らかんの湯

集中できる真っ暗なサウナ室と頭まで入れる16度の水風呂、自然に囲まれたととのいスペースがたまらない!!

3位:湯らっくす

熱波師さんがノリノリで踊るアウフグースと落ち着けるメディテーションサウナ、そして何よりMADMAXな水風呂最高!

はい、なんかミーハー感すごいですけど、やっぱり有名なところはすごいということで。。。笑

空前のサウナブームが到来していますが、サウナには本書にある医学的なメリットの他にも、「新しい出会いがある」「サードプレイスが見つかる」など、趣味としても非常に魅力があると思います。

皆様もこれを機に、一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか?


それではまた次回の記事で!!

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