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悪魔は年末にやってきた

筋トレから帰ってきて玄関のドアを開けた。
玄関とリビングの仕切りにピンク色の飛び出し防止ゲートがあって、
その前にシルバータビーが薄明かりの中、両前足を揃えて待っているのが見えた。

まずは右側の洗面所に行って手を洗う。その間に鳴き声が聞こえる。

      「早く開けろ〜〜」

手を拭いてゲート開ける。自分の両足に体を擦り付ける。愛おしい。
ひとしきりくるくると擦り付けると、続いて冷蔵庫横にかけている爪とぎ板で思いっきり研ぎ始める。
どうやら調べてみると感情の爆発を抑えるための行動らしい。
多くは飼い主への愛情が爆発してしまうからとのことだが、自分のところもそうであって欲しいなと思う。

と、これまでならこんな日常だったのだが最近違うかった。
ゆっくりこっちに来るけども人間のことはほっといて、玄関の床を必死に舐め出すのだった。
こらこらと言いながらゲート内に追いやってみたが、次は台所に上がってガスコンロを舐め出したのだ。
普段と明らかに違う行動をしだしたのでかなり不審に思ったが、一回辞めさせたらしばらくしないので特にこれといったアクションをしなかった。

次第に全く走らなくなった。明らかにおかしい。
食欲もだいぶ落ちたし、大好きなちゅーるも2.3口で終わってしまう始末です。食べた後は冬眠するように寝たきり

30日の朝、病院に連れて行くことにした。
検査の結果、重度の貧血だった。

近所の病院では精密検査ができないということで、2つ隣の大きな病院へ直行。同行した彼女は静かで遠い先を見つめていた

その病院で分かったことは非再生性貧血っぽいとのことで入院確定した。
場合によっては輸血が必要なレベル。
幸い実家に同じアメショの大きな猫がいるので供血できる可能性は高かった。
入院前に検査台に乗せられたソラは水色のカラーを装着し、右腕にいつでも採血できるように針が刺さったままだった。
時々針が痛いのかストレスで腕をぶるぶるっと震わせて外そうとしていた。
首元も痒そうで舐め取りたいのにできない様子。2人で優しく掻いてあげたし、背中もそっと撫でてあげた。

無意識に4枚ほど写真を撮っていた。目は遠くを見つめていた。

帰り道、手荷物が少なくなっており身軽になっていた車の中は少し暖かい。
暖房が効いていることよりも、年末にも関わらず日差しが強かったことによるものが大きい。とっくに日は落ちていたが、温もりが残っていた。
しばらくするとさすがに冷えてきたので暖房をつけた。それと静かすぎる車内をラジオで埋めた。
オザケンが流れていた。とってもハッピーなリズムで助かる

大晦日、電話がかかってきた
輸血が必要とのこと

退院できたら記念写真が撮りたい。
とびきりかわいい姿を収めたい。

来年8月にはマイホームができる。
大きな吹き抜けのある玄関にしたんだ。
一緒に暮らすと決めたし、漆喰の壁に足跡をつけてあげる。

どうかこの幸せを掴ませてください。お願いします。

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