秘密を知りたいと思っていた
どんなことでもいい
この世界が隠している本当のこと
自分には少しも関係のない何か
知る必要の無いことを知ることができたなら
その度に少しは大人になれるのだろうと夢想していた
鳥がささやく彼らだけの言葉
虫が這う葉の裏に刻まれた文字
路地裏を吹き抜ける風が運んでくる石の欠片
その欠片は、誰かが意味を持って砕いた、意味の無い一片でしかないのだろう
大人たちはいつも知らない誰かの便りを受け取っては
兄弟たちにその写しを託していた
わたしたちは、いつも――
真夜中にこっそり聞かせてくれたよね
最後の章が欠けてしまった物語
続きをせがむ幼いわたし
あの夜に思ったんだ
いつか続きのページを探しに行こう
海さえも越えて
まだ知らずにいる結末のすべて
自分の目で読み、耳で聞くことのできるすべてを
世界がわたしから隠しているものが本当は何なのかを
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