雨上がりは美食の緑

 昨日の散歩では運良くポニーのサッコちゃんに会うことができた。そして飼い主の女性にも色々お話をうかがうことができた。やはり“ただの”道楽ではないと感心しきり。

 ポニーを飼育するにおいて、食餌代はそれほどかからない。主食は圧縮された牧草になるので、場所こそとるが金額は高くない。毎日散歩さえすれば飼育場所も自動車用のガレージでまかなえる(ただし散歩するごとに大量の道草を食うが)。
 やはり年に一度は蹄の手入れが必要であるらしい。人間による交配の結果なのだが、ポニーを含む馬は走ることに特化した特殊な足の形状をしているため、専門職による蹄の手入れは不可欠なのだそうだ。馬は胴体に対して脚が細いので、競走馬でなくても脚関節を痛めることが多いという。そしてこちらは草食動物の傾向なのだが、腹痛を起こすことも多いそうだ。馬の腹痛の原因は20種類と言われるほど様々な疾患が腹痛となってあらわれる。
 そして馬の通院、ことに都市部では大がかりだ。まず馬を診てくれる/診ることができる獣医院が極少数。そして連れていくにも馬専用車での移送になる。その車内は床がV字の傾斜がつけられており、万一馬が左右に倒れてもダメージが発生しにくいようになっているそうだ。

 飼い主の女性は言った『馬の値段なんてママチャリと同じくらいよ』と。白内障になるほど老いたサッコちゃんは、おそらく行き場がなかったのだろう。競走馬は消耗品。それでも馬が好きなこの女性はほんの僅かでも馬を救おうとしているのだ。
 無心に草を食む馬の姿は犬猫とも違う穏やかさがあった。これからも彼女に良き余生があらんことを。


今日の英語:Veterinarian

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