ネコーヒー:ストレート #24杯目

 自転車で移動していると“ふと”猫に遭遇することがある。
 するとすぐさま私は写真を撮るかあわよくば撫でられないかと近付いていく。エンジンに依らない移動の醍醐味でもある。

 もちろん猫の屋外飼育は健康面でも安全面でも望ましくないのは理解している。土地によっては生態系を脅かすというのも承知している。それでも、自然環境が崩壊した都市部なら、少しは猫がうろついているのも許してもいいのではないか。
 それに、都市の構造の隅で愛されている地上の猫もいるからだ。

 屋外の猫は警戒心が高くなかなか絵になる写真を撮ることが難しい。しかし映画のセットのようなスナックの裏口でたむろする猫や、自身の住所を持たない人々に可愛がられているであろう猫を見ると、野良猫というのは本当に最後の自由ではないのだろうかという感慨が込み上げてくる。

 かつて猫は不衛生な都市でネズミを退治するため重宝されたとかウンチクもあるが、そんなことはどうでもいい。路上しか居場所がない猫もいるのだろう。私はそれを、見守っていきたい。


今日の英語:Nomad

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