ネコーヒー:ストレート #39杯目

 テトとマユの特徴として、尻尾を優雅に立てるというものがある。
 猫は威嚇や親愛など、意思表示の際に尻尾を垂直に立てる傾向がある。しかし初代の猫たちはあまり尻尾を立てた姿を見せなかった。その一方でテトとマユは手本にしたいくらい見事に尻尾を立てる。それは主に人間に食事を要求する場合のためいっさら撮影に成功していない。

 そもそもテトとマユは十分に美形なのだが写真撮影には全くもって向いていない。警戒心が強く人間の些細な動きにも敏感に反応する、熟睡しているように見えても人間の気配を素早く察知する、とにかく人間に気を許していない。

 密談を見咎められた黒社会のトップのような寝起きの顔を撮影できただけでも僥倖なのだ。

 屋内があまりに生活感に満ち溢れているため背景としてふさわしくないというのもあるだろう。それでもいつかジュネーブの噴水のごとき彼女たちの尻尾の立ち姿を撮影したいという野望は尽きない。使いづらくなったスマートフォンのカメラで美麗なフォルムと毛並みを納めるのだ。

 だがそんな人間の勝手な葛藤も彼女らにとっては「知ったことじゃない」のだろう。

 それでもマユのお腹は揉み心地が極上であることも言い添えておく。


今日の英語:Tails

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