ネコーヒー:ブレンド #4杯目

 だから猫は福を招く生き物であり、霊感の女神の使者である。
 テトとマユは元保護猫である。同じ保護猫カフェから2ヶ月ほど間を開けてお迎えしたが、それ以前の経歴は知らない。既に成猫の歳でカフェいたのだから、保護が必要となるような過酷な状況の中からやって来たのだろう。と、思うのだが、今やテトもマユも我が家で好きなご飯食べ放題生活を満喫している。
 日の出が早くなってきた今日この頃では、朝6時半にマユの『ご飯ダンス』で起こされる。マユの重厚感ある足音と重低音の喉モーター音が、枕元でドッドッドッドッゴロロロロロロと響くのだ。ニャンともムーとも言わない。ただひたすら嬉しそうにダンスする。根負けしてドライフードをお皿に出すと、お皿の30cm離れた場所からテトの目力圧が降り注ぐ。煮干しを出せという要求だ。テトもそれなりに食べるのだが、私のことは煮干し給餌マシーンと認識しているらしい。煮干しを出すまでは瞳孔全開でひたすら黙って追尾される。呪われてはたまらないので、1回につき5匹の煮干しをお出ししている。
 テトもマユもあまり声を出して鳴かない。抱っこもあまり好きではない。それなのにしっかり私はコントロールされてしまっている。私の枕元には、マユお気に入りの赤箱入りドライフードと国産無添加天日干し煮干しの瓶が設置されるようになってしまったのだ。
 それでもなんだか幸せになる。家畜なのに人間を下僕にする、それが猫という生き物。

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