無数の浅葱の蝋燭の炎 (誤削除のため再投稿)

 春の淡い歓喜満ちる風も、夏のコントラストの濃い陰影も、秋の豊穣と黄昏漂う光も、冬の鋭利なまでにシャープな輪郭も好きだ。
 木々の生気を感じるなら春から秋だが、その姿を眺めるなら冬に限る。特に落葉した樹木が望ましい。その先端に新芽を蓄えた枝が最高だ。雲ひとつ無い冷たい空を背景に、生命萌えあがらせるつぼみの眠りは、何に例えよう無く美しい。
 死の空に向かって剥き出しになった枝。その先端で身を小さく丸める新芽。そこから香りたつ精気が無慈悲の空で揺らいでいる。生きている、何て美しいのだろう。
 鉱物質の天空は音さえ拒絶して佇む。まだ春は遥か彼方。








今日の英語:Branch

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