ネコーヒー:ストレート #40杯目

 私は猫に容姿は求めない。実際猫に美醜を感じることはあるが、ここにいてくれる猫はそれだけで全て美しい。

 それにしても、だ。テトは若きネフェルティティもかくやという眉目をしているのに人間には全く触れさせてくれない。濡れた黒曜石の瞳で見上げれば人間なぞ意のまま、高級煮干も食べ放題。なのにその魅力の効果をより高めるつもりないようだ。……下僕としては残念極まる。
 そしてマユの眼光の鋭さよ。下らぬ報告をしてきた足軽の5.6人は竈に放り込んできたような武将のような面構えだが、食を愛しているだけの非常に気のいい姐さんである。擬人化すれば三白眼待ったなしの顔立ちであるが、この顔で都々逸も唄うしサンバも踊る。ただただ目付きが鋭さだけなのだ。

 我が家の猫は容姿に反して誇り高く人間で暖を取るということをしない。砕けた表現をするなら「もっと甘えてくれていいのに」、もっと砕けば「どうかモフらせてください!」。
 いつかこの猫たちの床暖房になることが私の宿願だ。


今日の英語:Pride

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