ネコーヒー:ストレート #30杯目

 見た目と性格にギャップがあるというのは人間にも多いことだが、それは鋼鉄の頭蓋と胃袋を持つマユにも該当する。

 よく私が休日の朝寝過ごしていると、マユは妹分のテトをともなって私を起こしにくる。その際直接手を出すことはしない。まずは私が寝ているベッドの周囲でご飯ダンスをしながら周回する。するとその重いステップの足音によって私が目覚める。その次はベッドの脚に対して“すりすり”するのだが、ベッドのフレームにしばしば頭をぶつけ『 ゴィン』 と音をたてるのだ。

 その音はかなりの大きさなのだがマユは陽気に躍り続ける。フレームがパイプ製であるため音の大きさの割に衝撃は小さいようだ。それにしても金属のパイプに頭をぶつけたら痛かろうと思うのだが……。
 しかし給仕させてしまえば目的は達成。給仕させたご飯を気持ちよく食べ尽くすと、またテトをともなって昼寝に行く。食べたら寝る、清々しいほどの猫らしさだ。

 床に置いてあるフードの袋を破くことはないし、給仕の遅い人間を咬むこともしない。あくまで人間に給仕させる。ファミリー加入に相応しいか新入りを品定めしているかのような眼光をしているが、マユは鷹揚で気のいい猫なのだ。


今日の英語:Boss

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